【PGAツアーエキスプレス】Vol.26 リッキー・ファウラー「失敗は怖くない。今まで十分失敗をしてきたから」
ゴルフの最先端、PGAツアーの旬なネタをお届けする「PGAツアーエキスプレス」。第26回は、リッキー・ファウラーが4年ぶりに果たした復活優勝までの道のりについて。
PHOTO/Blue Sky Photos 取材/コーリー・ヨシムラ(PGAツアー アジア担当ディレクター)
苦しみの先に大きな光が
先日、リッキー・ファウラーが2019年のWMフェニックスオープン以来、4年ぶりの優勝を果たした。最後のパットを決めた後の安堵する姿は4年間の苦労を物語っていた。今回はファウラーの復活優勝までの経緯を振り返ってみようと思う。
2019年までは文字通り順風満帆なツアー生活だった。シードはもちろん、限られた選手しか出られないツアー選手権にも3年連続で出場していた。ライダーカップやプレジデンツカップのメンバーにも選ばれるなど、次世代を担うスーパースターとして着実にキャリアを積み重ねていった。
しかし、2020年1月のアメリカン・エキスプレスで10位タイに入ったものの、結果的にこれがシーズンを通して最後のトップ10入りとなってしまった。成績が出ないということは、当然ランキングも下がってしまう。20年の年末には世界ランクは52位まで落ち込んだ。
世界ランク“50位”という数字は、選手にとってとても大きな意味を持つ。なぜか? マスターズに出場できるかどうかのラインだからだ。つまりファウラーは21年のマスターズに出場できないということで、ルーキーイヤーの2010年以降、一度もマスターズ出場を逃したことがなかったことを考えると、当時の不調の具合がわかるだろう。これにより、連続メジャー出場記録が41大会でストップしたのだった。そしてその年の4月には世界ランクは101位に。全米プロで8位タイに入るものの、プロ生活で初めてフェデックスカッププレーオフ進出を逃すことになった。ここがどん底かと思いきや、そうではない。2022年には全米オープンの出場を逃し、世界ランクは152位にまで落ち込んでしまった。22年シーズン、最悪期にはランクは185位まで下がり、自身のキャリアで最低のシーズンとなった。
迎えた23年シーズン。日本で行われたZOZOチャンピオンシップで優勝争いをするなど、かつての輝きを取り戻しつつあった。5月のウェルズファーゴ選手権で14位タイに入ったことで、2020年11月以来の世界ランク50位以内に復帰。全米オープンでは初日に飛び出し、最終的には5位。そして、ロケットモーゲージクラシックでの劇的な優勝となった。
ファウラーはこの優勝で、「今まで苦しくなかったか? 怖くなかったか?」と、何度も同じ質問をされた。しかし彼は嫌な顔ひとつせずこう答えた。「失敗なんて怖くない。だって、今まで十分失敗してきたからね」
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