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【江連忠のPROJECT E】Vol.238 橘田規「武士が刀を振るような鋭さとさばきの上手さ」

片山晋呉や上田桃子など、数多くのトッププロを世に送り出してきた江連忠が、自身の経験をもとに、レジェンドのスウィングに宿った“本質”を語る!

TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Tadashi Anezaki、Hiroyuki Okazawa THANKS/オーシャンリンクス宮古島

橘田規 スウィング

前回のお話はこちら


●今月のレジェンド●

橘田 規

きった・ただし。1934年兵庫県生まれ。レギュラー21勝、シニア4勝。プロ入り後に米国留学して学んだ水平打法で帰国後に活躍。167cm52kgと小柄だった


小柄な人が安定して
飛ばすには最適の打ち方

橘田さんといえば当時は珍しかったフラットなスウィングが「水平打法」と名付けられて有名でしたが、僕が注目するのはまるで武士が刀を振っているかのような雰囲気のクラブさばきです。手元がフトコロから出ない範囲でクラブを鋭く振っています。

大きな円弧ではなく小さな円弧の中で最大限に遠心力を生かしていて、ボールとの間合いがいい。完全に球筋をコントロールできて、どんなに狭いホールでもドライバーで打っていけたのではと感じる打ち方です。


クラブを水平に振ると下半身は動きにくくなるものですが、橘田さんは下半身もダイナミックに使っています。それでいて地面は足裏でしっかりとつかんで粘りがあり、クラブの軌道はとてもシンプル。型にはめるのではなく、球筋からスウィングを作りながら体を使い切ると、こういう打ち方になるのだと思います。

小柄な人やパワーがなくなってきたと感じている人は、現代のプロたちのデータから作るスウィングではなく、こういう先人が体で覚えた打ち方を参考にしたほうが絶対にいいと思います

  • 橘田規1Wスイング正面1
  • 橘田規1Wスイング正面2
  • 橘田規1Wスイング正面3
  • 橘田規1Wスイング正面4
  • 橘田規1Wスイング後方1
  • 橘田規1Wスイング後方2
  • 橘田規1Wスイング後方3
  • 橘田規1Wスイング後方4

連続素振りをすれば小さく速く振れるようになる

橘田規 スイングポイント正誤

クラブの動きを止めない連続素振りをすれば、体とクラブを小さく速く振るコツが身につく。全身を使って大きく振るよりもミート率が高くなり効率良く飛ばせる

橘田の系譜を継ぐのはこの選手

今平周吾

  • 今平周吾1Wスイング正面1
  • 今平周吾1Wスイング正面2
  • 今平周吾1Wスイング正面3
  • 今平周吾1Wスイング正面4

重心が浮かず低いところで鋭く振り抜く
橘田さんよりも全身を使った大きな円弧で振っているが、重心の低さや腕の柔らかい使い方、横から当てるインパクトや軸の安定感などは通じるものがある

江連忠

江連忠

1968年生まれ。東京都出身。高校を卒業して渡米し、ミニツアーを転戦しながらジム・マクリーンに師事したのち帰国。日本のプロコーチ第一人者となり、片山晋呉や上田桃子を賞金王に育て上げた

月刊ゴルフダイジェスト2023年8月号より