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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.770「コツコツと努力し続けることの大切さをレジェンズルーキーが示してくれました」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

TEXT/M.Matsumoto

前回のお話はこちら


レジェンズツアーでプロ初優勝をした選手がいたり、女子ツアーは新星が次々に登場して華やかに見えますが、この潮流をどのようにお感じになっていらっしゃいますか。(匿名希望・62歳・HC12)


先月に開催されたステップ・アップ・ツアーの地域みらいグループレディス佐嘉窓乃梅カップでは、混戦を抜け出した高野あかり選手が初優勝を飾りました。

高野さんは昨年プロテスト合格を果たしたルーキー。

QTでは振るわずレギュラーツアーへの出場権は得られませんでしたが、ステップ・アップ・ツアー出場6試合目での快挙でした。

この試合のトーナメント中継の解説席に、わたしは座っていました。

彼女は高校時代からプロになりたいと思っていたものの、大学ゴルフ部を経てプロテストに毎年挑戦してもいい結果は出ず、

「これで最後にしようと決めて挑んだから合格できたと思います」

という昨年、5回目の挑戦でついに難関をクリア。就職もせずにチャレンジしてきた努力が27歳にして実った形です。

派手さはありませんが、オーソドックスなスウィングで落ち着いたプレーぶりはむしろ好感が持てます。


1打差の2位タイには、同じプロテスト合格同期の千葉華選手(23)や台湾ですでに何勝も挙げている新鋭ウー・チャイエン選手(19)などフレッシュな顔ぶれが並びましたが、現代にしてはやや遅咲きの高野選手には、ここからが本当のスタートと言ってあげたくなりました。

挑戦を続けることの大切さを感じさせてくれる優勝シーンでしたが、実を言うと、同様のシーンがそれからすぐにもう一つ、わたしの眼に焼き付くことになりました。

レジェンズツアー、今年のボンドカップ(三重県・近鉄賢島CC)は、5月31日と翌1日に開催し、レジェンズルーキーの酒井千絵選手(45)が初優勝しました。

わたしはこの試合でもたまたま解説をさせていただいていました。

酒井選手は1977年生まれの北海道出身。これまでレギュラーでもステップ・アップでもシード選手になったことはなくツアー優勝は一度もありません。

その酒井さんがレジェンズツアー出場2試合目でいきなり優勝したのです。

2007年のプロテスト合格といいますから、30歳になる直前だったわけです。

そこからスタートしてツアーに100試合以上出場してきた酒井選手が、今年はレジェンズツアーへ出場。

「今週、正直ステップ・アップかレジェンズ、どちらに出場しようか迷う気持ちもありました」

と話していました。それでもレジェンズに出てみようと思ったのは、親しくしている斉藤裕子選手から
「どんなステージでも優勝すると、それからのゴルフ人生に影響してくるもの。どんな試合でも、勝てば何かが変わるのよ」

と言われたことがキッカケだったそうです。

斉藤選手といえば、プロ入り12年目の36歳8カ月でレギュラーツアー初優勝をものにした、いわば職人肌で、今も向上心を失わずにコツコツと練習を怠らない尊敬すべきプレーヤーの一人です。

その助言通りに、酒井さんが見事優勝を遂げたシーンを目にして、わたしも心から嬉しさが込み上げ、これまで諦めずにがんばってきてよかったな、と。

選手というのは勝てば一皮も二皮もむけるキッカケになるものです。

若い選手に交じって試合をプレーしているうちに、ベテランとして自然に、自分のゴルフをマネジメントする方法が分かってきたのかもしれません。

そして、ギアの進化がベテランを後押ししている面もありますが、地道に努力を積んできたこうした選手の活躍は、ほかのプレーヤーの刺激にもなると思います。

それにしても、レジェンズツアーの雰囲気は、レギュラーやステップ・アップとも一味違い、出場している選手たち、そしてギャラリーもオトナの感じがします。

選手とギャラリーの距離が近く、それでいて常識をわきまえている落ち着きがあるといえばいいのでしょうか。

生涯スポーツとしてのゴルフの普及振興と社会貢献活動を目的に始まったシニア競技は、2008年シーズンから「JLPGAレジェンズツアー」と改称、拡充を図ってきましたが、コロナの感染拡大がネックとなって試合数が少ない状況でもあります。

若いプレーヤーが躍動する華やいだツアーもいいですが、巧みな技術の魅力が光るレジェンズツアーも盛り上げていきたいと思っています。

ちなみに、今年最後のレジェンズは今月21日から「JLPGAレジェンズチャンピオンシップ」(静岡県・裾野CC)が開催されます。いつになくワクワク楽しみです!

「前向きに取り組むことが継続する力につながってくると思います」(photo by AYAKO OKAMOTO)

週刊ゴルフダイジェスト2023年6月27日号より

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