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激闘必至の延長戦「プレーオフ」。過去には19ホールに及ぶ熱戦や“6つ巴”の戦いも【明日使えるゴルフ用語】

普段当たり前のように使っているゴルフ用語だが、その成り立ちや意味を問われたときに、正しく返せるだろうか? ここではラウンド中の会話やゴルフ仲間とのやりとりで使える、ゴルフ用語にまつわるうんちくを紹介する。

2008年の全米オープンで19ホールに及ぶプレーオフを演じたロッコ・メディエイトとタイガー・ウッズ(PHOTO/Kiyoshi Iwai)


プレーオフ【Playoff】


「プレーオフ」は通常、レギュラーシーズン終了後に行われる、ポストシーズンの試合を指すことが多い。ゴルフでもアメリカのPGAツアーでは、レギュラーシーズン終了後にフェデックスカップ(昨年は全3戦)と呼ばれるプレーオフシリーズが行われ、最終戦の優勝者が栄えある年間王者に輝く。

しかし一般的に、ゴルフで「プレーオフ」というと、各試合で1位の選手が複数いた場合に行われる「延長戦」のことを指す場合が多い。

プレーオフの形式にはいくつか種類があるが、1ホールごとに、スコアの悪いプレーヤーが脱落していく「サドンデス」方式が一般的。

プレーオフに残ったプレーヤーが2人なら、どちらかがより良いスコアで上がった時点で優勝者が決まる。3人以上のプレーオフの場合、スコアの悪いプレーヤーが脱落していき、最終的に1人のプレーヤーが残るまでプレーを続ける。

例えば、1ホール目で1人がバーディを奪い、他の選手が全員パーだとすると、バーディを奪った選手が優勝。バーディが2人いる場合は、パー以下の選手は脱落で、バーディの2人が2ホール目に進む。2ホール目も2人のスコアが同じなら、3ホール目へ持ち越し。こうなると完全なマッチプレー状態で、どちらかが1アップ(いいスコアでホールアウト)するまでは、延々とプレーオフが続けられる。

ちなみに2022年4月に行われた「KKT杯バンテリンレディス」では、吉田優利、小倉彩愛、西村優菜、植竹希望の4人が8アンダーでトップに並び、プレーオフへ突入。18番パー5の繰り返しで行われたプレーオフは、1ホール目で西村が脱落、2ホール目で小倉が脱落し、吉田と植竹の一騎打ちとなったが、なんと5ホール目まで両者引き分け。6ホール目で、バンカーからの3打目をピタリと寄せた植竹がバーディを奪い、ツアー初優勝を飾っている。プレー時間はツアー史上最長の2時間と、まさに死闘と呼べるプレーオフだった。

18ホールで決着がつかなかった試合も

死闘といえば、語り草となっているのが2008年の全米オープン。当時の全米オープンは、サドンデス方式ではなく、最終日の翌日に18ホールのストロークプレーによって決着をつけるという方式だった。4大メジャーの中でも最も過酷なコースセッティングで争われる全米オープンで、4日間72ホールを戦い抜いたあとに、翌日18ホールの延長戦と聞くと、それだけでも死闘という感じがするが、中でも08年の全米オープンは、なんと18ホールでも決着がつかず、サドンデスとなった19ホール目(5日間計91ホール目)で決着したという激闘。

そしてその死闘を制したのが、タイガー・ウッズ。当時45歳だったメジャー未勝利のロッコ・メディエイトがタイガーと最後まで優勝を争ったことも驚きだが、左ひざの痛みをこらえながら90ホール目の土壇場でメディエイトに追いつき、91ホール目で勝利を奪ったタイガーの姿に涙した人も多いだろう。

史上最多は6人? 7人?

プレーオフは、2人、または3人のことがほとんどだが、過去には6人で争われた例も何度かある。最近では、2021年の「ウィンダム選手権」で、最終日に15アンダーで6人がトップに並び、ツアー史上最多タイの6人でのプレーオフにもつれ込んだ。1ホール目はなんと全員がパーで、長丁場の様相を呈したが、2ホール目でケビン・キズナーが唯一バーディを奪い、激戦を制した。

また2021年の東京五輪男子ゴルフでは、松山英樹を含めた7人が3位タイで並び、世にも珍しい単独3位(=銅メダル)を懸けた7人でのプレーオフが行われたのも記憶に新しい。4ホール、1時間半にわたる真夏の激闘を制したのは台湾のパン・チェンツェン。優勝ではなく3位を争うという五輪ならではの戦いが新鮮だった。