【PGAツアーエキスプレス】Vol.20 PGAツアーが打ち出した“本気”の変革の中身とは?
ゴルフの最先端、PGAツアーの旬なネタをお届けする「PGAツアーエキスプレス」。第20回のテーマは、PGAツアーが打ち出した“変革”の中身について。
取材/コーリー・ヨシムラ(PGAツアー アジア担当ディレクター)
PHOTO/Hiroyuki Okazawa、Blue Sky Photos
PGAツアーの変革は成功するのか?
2023年、PGAツアーは新たな時代を迎えた。
昨年8月、PGAツアーのジェイ・モナハン コミッショナーが「PGAツアーのメンバー全員が変革の恩恵を受けることになる。世界のトップ選手がこのツアーに専念し、その精神を学び、力をつぎ込むことによって、ツアー自体が成長を続けられるだろう」と話したほど。
今回は、何がどう変わるのか、じっくりと見ていきたいと思う。
なぜ新たな時代を迎えなければならなかったのか? それは、言わずもがな、「LIV」の存在にほかならない。トップ選手が次々にPGAツアーを離れていくのを黙って見ているわけにはいかない、ということで策を打ったわけだ。
まずは賞金。WMフェニックスオープンやRBCヘリテージ、ウェルズファーゴ選手権にトラベラーズ選手権の4試合が昇格試合となり、賞金が大幅にアップする。
昨年の8月には、プレーヤーズ選手権、プレーオフシリーズ3試合を含めた9試合を昇格大会に指定していたが、ここに4試合が追加される形になった。
さらに、メディア露出など、 影響力を数値化した「プレーヤーズ・インパクト・プログラム」の上位20人は「トッププレーヤー」として位置づけられ、 ボーナスを受け取るためには、年間20試合以上の出場が義務付けられた。
この決定に、PGAツアーに忠誠を誓ってきたローリー・マキロイは「ツアーを魅力的な”商品”にするために、トップ選手がもっと頻繁に腕を競い合おうと決意した。ファンは常にトップ選手が出ていることを期待するからね」と話した。
マキロイが言うように、これにより、多くの人気選手の出場機会が増え、よりエキサイティングな試合が増えることが予想される。
さらに、プレーオフシリーズも変更になった。2023年のプレーオフに出場できるのは、前年よりも55人減り、たったの70人。
つまり、わずか70個のイスをかけ、トップ選手が必死になって戦うというワケだ。レギュラーシーズンでは、より狭き門をくぐり抜けるべく、今までにない戦いが繰り広げられるだろう。
2013-14年シーズンから始まった”年またぎ”の構成も、2022-23年シーズンが最後になる。24年以降は1月からのスタートになるため、選手たちも切り替える時間や休息の時間を得られることになる。万全の状態でシーズンを迎えられるように、PGAツアー側が配慮した形になった。
この体制変更は功を奏すか? 注目のシーズンはもう始まっている。
下部ツアーの制度も大きく変わった
米下部ツアーにあたる、コーンフェリーツアーからPGAツアーへ昇格できる人数が増え、より“開かれたツアー”へと変わっていく。日本からは、下部ツアーの最終予選会を12位で通過した大西魁斗が参戦中だ。
月刊ゴルフダイジェスト2023年3月号より