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【ゴルフ界の新興勢力】#3 LIVゴルファーはポイントのためにアジアへの“出稼ぎ”が必要になる!?

ゴルフ界の「新興勢力」について取り上げる当シリーズ。前回に続き、タケ小山と内藤雄士が、LIVゴルフの今後について語る。さらに、世界ランキングのポイントシステムが変更されたことによる、世界主要ツアーの勢力図の変化についても言及。

PHOTO/Tadashi Anezaki、Hiroyuki Okazawa、Shinji Osawa、Tomoya Nomura

タケ小山

世界中のツアーに精通するプロ。TBS「サンデーモーニング」の解説者としてもお馴染み。小誌で「世界パトロール」を連載中

内藤雄士

丸山茂樹のコーチとしてともに米ツアーを戦ったティーチングプロ。日本大学ゴルフ部コーチも務める。ハイランドセンター代表

>>前回のお話はこちら

LIVのバックアップを受けた
アジアンツアーにトップ選手が出場

GD LIVの選手たちにとっての悩みは、世界ランキングのポイントを稼げないことですね。

タケ C・スミスも豪州PGA選手権に勝ってポイントを稼いでいたね。どうせなら日本のツアーに来てくれたらいいのに。

GD P・リードもアジアンツアーに出ていましたね。でも、LIVに出場することを決めた多くの選手が、家族と過ごす時間を増やしたいから出場する試合数を減らしたいということを理由に挙げていましたが、LIVだけでは世界ランキングのポイントを稼げずにランキングの順位が下がってしまうので、PGAツアー以外のアジアやオーストラリアなどのツアーに“出稼ぎ”に行く選手たちが増えそうですね。でも、結局それだと出場する試合数を減らせないということになってしまい、LIV反対派から「矛盾しているじゃないか」と突っ込まれている選手もいるようです。

タケ アジアンツアーは中東のオイルマネーが入ってきているからね。そもそもLIVゴルフがアジアンツアーをサポートしていて、高額な賞金の大会が増えた。アジアンツアーの大会で上位に入るとLIVゴルフに出られるというルートもあったしね。LIVの出場枠は、日本からのはなくなりそうだけれど、アジアのルートは残りそう。日本ツアーにLIVを誘致するっていうのも面白いかもね。


GD 10年以上前から日本の男子ツアーはアジアンツアーと一緒にやるべきという声も一部ではありましたよね。実際、「アジアパシフィックオープンダイヤモンドカップ」はアジアンツアーとの共催でしたが、23年はJGTOの単独開催になり、シンガポールオープンもJGTOから外れました。

タケ LIVの選手たちが世界ランキングのポイントを稼ぐために日本でプレーするなんてことになったら日本のツアーも盛り上がるかもしれないね。

世界ランクのシステム変更により
存在感を増すコーンフェリーツアー

久常涼は欧州ツアー、大西魁斗と桂川有人はコーンフェリーへ

タケ でもLIVの選手たちが日本のツアーに来ても、世界ランキングは上がらないかもね。

内藤 システムが変わってポイントが減ってしまいましたから。

タケ 日本オープンなんて21年は32ポイントだったのに、システム変更後の22年は8.6ポイント弱。大幅に減ってしまった。システム変更後の優勝者の平均ポイントを見ると米2部ツアーのコーンフェリーの半分くらいになった。欧州ツアーも減って、PGAツアーの半分以下になり、コーンフェリーと同じくらいになっている。これではJ・ラームが「おかしい!」と言うのもわかるよ。日本の選手やJGTOはこういう状況をしっかりと把握しているのかな。

内藤 把握している選手は少ないと思います。

タケ 新たなシステムでは出場選手が多い試合のほうがポイントを稼げることになっているね。

内藤 PGAのプレーオフ初戦「セントジュード選手権」の優勝者が67ポイントなのに、最終戦のツアー選手権が30人しか出られないから39ポイント弱しかもらえないというのも、明らかにおかしいですよね。ツアー選手権で1位になるほうが価値があるはずですから。欧州ツアーのポイントが低くなったのも欧州の選手から見れば納得できないと思います。

タケ 現状のポイントを見る限り、PGAツアーが頂点で、欧州とコーンフェリーが2部、日本は3部という位置づけだね。実際、日本ツアーの上位3人が欧州の出場権をもらえて、その欧州の上位10人がPGAの出場権を得られるから、その通りといえばそうだけど。日本のツアーに留まっていたらメジャーに出るのは難しいね。

  • コロナ禍で延期となり続けていたJGTOとDPワールドツアー(欧州ツアー)の初共催大会「ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント!」の開催がいよいよ決定した。 12月6日に行われた会見では、同大会が23年の4月20~23日に茨城県のPGM石岡GCで開催されることが発表された。欧州ツアー83人、日本ツアー41人、招待選手8人の計132人が賞金総額200万ドル(約2億7300万……

内藤 海外に目を向けている若手の選手たちは、もう行動に移していますよね。久常涼選手は欧州のQTで合格して、さっそく上位に入る活躍を見せていますし、大西魁斗と桂川有人選手もQTを受けてコーンフェリーの出場権を獲得しました。魁斗は前半戦8試合の出場権を取りましたが、桂川選手はQTの順位が魁斗より下だったので、出場できる試合はそれほどありません。ですが、ウェイティングからでも出場しようとしていて、絶対にリランキングで上がると行く気満々。魁斗と「2人で頑張ろう! 一緒に行こうね」と言っていましたよ。桂川選手は22年は日本で8000万円近く稼いでいますが、それでも米ツアー志向が強いのでコーンフェリーに行く。凄いです。

タケ 本当に素晴らしいですよ。日本のぬるま湯につからない志がいいよね。若い選手はどんどん海外に行けばいいのよ。

内藤 でもそうなると日本のツアーが心配になります。

タケ 野球だってサッカーだってどんどん選手が海外に行くじゃない。でもホームタウンのファンたちは地元のチームに熱い声援を送り続けているよね。だから日本のトーナメントも地元に根付くことが大事なんだと思う。そして海外で活躍した選手が凱旋して出場すれば盛り上がるよね。

日本ツアーは米2部ツアーよりもポイントが下がってしまった

大会名2021年2022年
日本オープン32p8.57102p
マイナビABCチャンピオンシップ16p6.11653p
三井住友VISA太平洋マスターズ16p6.15248p
ダンロップフェニックス16p9.54342p
ダンロップフェニックス16p4.84235p

1試合あたりの平均ポイント
PGAツアー39.87864p
コーンフェリーツアー(米2部)18.43603p
DPワールドツアー(欧州)16.32683p
JGTOツアー(国内男子)7.09140p

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