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向かい風は「ティーを低く」は間違いだった! “高めティーアップ”で重い球を打とう

PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/太平洋C益子C

冬から春先にかけて、ゴルファーを悩ませるのが強い風。そんな風に負けない強い球を打つにはどうすればいいのか。シニアでも活躍する名手・植田浩史プロに、“重い球”を打つ秘訣を聞いてみた。

解説/植田浩史
日本プロゴルフ協会副会長。シニアツアー1勝。太平洋クラブシニアアドバイザー。ティーチングプロA級

ティーアップは「やや高め」が正解

GD 風に負けない“重い球”を打つにはどうすればいいですか?

植田 今のボールは、昔に比べてスピンレスなので、本当は風に強いんです。とくにアゲンストに強い。昔はティーを低くして、風の下を通すような打ち方をしましたが今は違います。

GD 特別な打ち方は必要なく、ティーをやや高めにするだけでいいと。

植田 そうです。ティーを高くしすぎると当てるのが難しくなってしまいますが、やや高めにセットすることで、「ギア効果」でスピンを抑え、強い球を打つことができます。

GD ギア効果とは?

植田 フェースのトウ側に当たればフック回転、ヒール側に当たればスライス回転がかかるのがギア効果。上下でも同じようなことが起こり、フェースの上め(芯よりやや上)に当たれば、スピン量が減って、風の影響を受けにくくなります。やや高めのティーにすることで、自然と上めでボールをとらえやすくなるわけです。ティーを低くすると、逆に下めに当たりやすくなり、スピン量が増えてアゲンストの風に負けやすくなるんです。

GD フォローの風はどうですか?

植田 ヘッドスピードがある人はスピン量を増やして、浮力で飛ばすやり方も有効ですが、ヘッドスピードが40m/sくらいの人は、ほとんど影響を受けないので、とくに変える必要はないと思います。

<ポイント>
高めティーなら低スピン球が打ちやすい

芯よりもやや上でとらえることで、風に負けない強い球を打つことができる。植田プロのアゲンスト用のティーの高さは4cm

無意識のうちに左体重になる
これがミスショットの原因

GD アゲンストでは、どうしても力んで構えてしまうんですよね。

植田 そう、そこなんです! アゲンストでは、飛球線方向から吹いてくる風に対して体のバランスを取ろうと、無意識のうちに左サイドへ体重をかけすぎるような構えになってしまいがち。いつもと同じ構えのつもりでクラブを上げようとしても、左足に体重がかかっているから上がりにくい。肩だけ回そうとして、腰が回っていないからトップが浅くなってしまう。すると切り返しで間が作れずに打ち急ぐ……。この悪循環が、ミスショットの原因です。

GD 風によるミスはメンタルが影響していると思っていました。

植田 アゲンストでのプレッシャーは、気持ちの面もありますが、それ以上に、構えに影響を与えているんです。バックスウィングの上げ損ないをいかに減らすかがカギとなります。

GD 何かいい方法は?

植田 構える前に、腰を回す体操を意識的にやってみる。スムーズにバックスウィングできますよ。

<ミスしやすい理由1>
バックスウィングで腰が回らない

左サイドを踏ん張ったままでは、バックスウィングで下半身を使えず、右ひざが固まって腰が回らないケースが多い。クラブがスムーズに上がらないのでいろんなミスにつながってしまう

<ミスしやすい理由2>
トップが浅くなり打ち急ぐ

左サイドで踏ん張ったままクラブを上げると、体が回らずにトップが浅くなり、手打ちになりやすい。打ち急いでスウィングリズムが崩れることもミスの原因になる

風に負けない球を打つには
打つ前の準備が大事

「強い風が吹く中で、しっかりと“重い球”でナイスショットを打つには、いつも以上にルーティンをしっかり行うことが大切」という上田プロ。打つ前にやるべことを教えてもらった。

<準備1>風向きと強さをジャッジ

「プロや上級者の多くは、あらかじめコースの全体図にその日の大まかな風の流れを書き込んでおきます。こうすることで、たとえばティーインググラウンドとグリーン上などで風向きが違ったときに、悩まずに判断することができます」

<準備2>球筋のイメージを明確に

「アゲンストよりフォローこそ、実はよりしっかりとイメージしておくことが大事です。高さが出る番手ならいいですが、あまり球が上がらない番手では、風に落とされる形で思ったよりキャリーが出ないケースがあるからです。手前にハザードがあるときは要注意ですね」

<準備3>大きめの番手を選ぶ

「球筋や弾道がイメージできたら番手を決めます。風の日は、番手選びに悩むことが多いですが、迷ったら大きめを握ること。大きい番手で軽く7割ほどの力で振ることで、ショットが安定するからです」

<準備4>“バックスウィング体操”で体をほぐす

両ひじと背中の間にクラブをはさんで構え、バックスウィングの要領で腰を回す。肩とクラブがボールを指すように、背中を90度回すことで、バックスウィングがスムーズに上がるようになる。

<準備5>グリップを指1本分短く握る

「指1本分ほど短く握ると、ミートしやすくなるだけでなく、スピン量を抑えやすい。より風の影響を受けにくい球を打つことができるようになります」

<準備6>連続素振りでバランスを整える

「仕上げに連続素振りをして、スウィングのバランスを整えましょう。インパクトでヘッドが芝をこする音が聞こえたら、ナイスショットの合図。風に強い重い球が打てる兆候です」。あとは連続素振りのリズムで打っていけばOKだ。

植田浩史プロの“重い球”スウィング

週刊ゴルフダイジェスト2021年2月9日号より