【浦ゼミナール】Vol.35 “180Y打てるUT”をモノにできれば100切りは簡単です
身長171㎝で420Yという驚異の飛距離を誇る浦大輔が、スキルアップのコツを伝授する連載「解決! 浦ゼミナール」。第35回は、100切りを目指す際に最も大きな武器になるUTの、正しい使い方と練習方法を教えてくれた。
TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Tsukasa Kobayashi THANKS/√dゴルフアカデミー
浦大輔
うらだいすけ。身長171cmで420Y飛ばす飛ばし屋にして超理論派。東京・赤坂で√d golf academyを主宰
PWよりもUTのほうが安全!?
――今月もアマチュアの悩みシリーズをご相談したいのですが、ズバリ100切りのコツって何ですか? 何をやれば100を切れるようになるんでしょう。
浦 一般的なヘッドスピードの男性の話をするなら、UTの練習をしてください。これがいちばん確実です。
――UTですか!? ドライバーとか100ヤード以下じゃなくて?
浦 100切りレベルの人はドライバーをうまく打とうなんて思っちゃダメです。100ヤード以下を乗せよう、寄せようなんて、高望みも甚だしい(笑)。「アプローチとパットがよくなれば」って、そんなことわかってます。でも現実的には無理なんですよ。いま100打っている人がショートゲームでスコアを作れるくらい上達するなんて、ハードルが高すぎる。でも180ヤードくらい打てるロフト19度とか21度のUTを、ある程度の幅に収められるようにするのはそんなに難しくない。これができれば100切りなんて簡単です。
――でもどうして180ヤードのUTなんですか?
浦 100を切れない人はOBが多いわけです。OBを打つのはドライバーを使うから。まずはそれをやめましょう。レギュラーティーから回ればパー4の距離は360ヤード前後が多いはず。だからティーショットも2打目も180ヤードのUTで打てば、大ケガせずにグリーン周りまでは行ける。2打でグリーンの近くまで行ければ、ボギーかダボでは収まるでしょう。100切りって、そういうことですよ。
――2打目を180も残したら、絶望的に感じます。もっと近くから打てたほうがラクなのでは?
浦 360ヤードのパー4で、ティーショットをドライバーでナイスショットして2打目が110~120ヤード残るとしますよね。そこからPWを持ってトップしてOBって経験ありませんか? UTならこのミスは絶対に出ません。ダフってもそこそこ前に行ってくれるし、トップしても死なない。アマチュアにとっては120ヤードからPWで打つより、180ヤードからUTで打つほうが安全なんです。だいたい、PWを持てば乗ると思っているところが甘すぎます。PWだってUTだって、乗らないことに変わりはない。だったらティーショットも2打目も大ケガのないUTで打ったほうがいいんです。同じクラブを2回連続で打てるメリットもすごく大きいですしね。
――そうかあ。でもPWならバーディチャンスにつく可能性がわずかとはいえあるから……。
浦 ないない! 何十ラウンドに1回の話ですか(笑)。何ならその期待度こそが危険なんです。180ヤードからUTを持ったときは「あの辺でいいや」ってなるでしょう。でも120ヤードからPWを持ったら「あわよくばベタピン」って思う。これが大叩きの元凶ですよ。
ウェッジでトップしたら大事故
でもUTならカバーしてくれる
ドライバーをナイスショットしたところから2打目にウェッジを持ってトップして大オーバー、大叩きというケースは多い。これはウェッジやショートアイアンならではのミス。UTならトップしても飛びすぎることはないし、ダフってもソールが滑るしフェースが弾くのである程度前に飛んでくれるやさしさがある
本当に100を切りたいならドライバーを持つな!
――ティーショットもそのUTで打つわけですか?
浦 何か問題ありますか?
――いや、やっぱり気持ちよくドライバーを振りたいなあと……。
浦 そりゃそうでしょう。ゴルフの醍醐味ですからね。でも「100を切りたい」と相談されたので、その最適解をお教えしたんです。「毎ホールドライバーを使って100を切りたい」と相談されたら、もっともっとハイレベルな技術が必要になります。100を切りたいのか、楽しく気持ちよくゴルフしたいのか。ここのところ、勘違いしちゃダメですよ。
――おっしゃるとおりです……。
浦 仮にドライバーを多用して100を切れる腕前があったとしても、「とりあえずドライバー」という発想は思考停止の極みです。スコアを出したいのなら、仲間の「え? ドライバーじゃないの?」という口車に乗っちゃダメです。まぁ私は言ってあおりますけどね(笑)。
――ひどいなあ(笑)。では、UTで180ヤードをある程度の幅に収められるようにするには、どんな練習をすればいいんですか?
浦 まずはそのUTでキャリー100ヤードを打つ練習をしてください。ポイントは、小さい振り幅でできるだけ強くインパクトして打つこと。ゆったり大きく振ろうとするとブレーキの動きが生じてゆるみやすいですしシャフトのしなりも感じられない。極力小さい振り幅でアクセル動作だけで100ヤード打てるように、シャフトに負荷をかけてスウィングすることが大事。そうすると、切り返しのタイミングも取れるし、ゆるまずしっかりインパクトできます。
――意外に飛びすぎちゃいますね。
浦 そうなんです。「UTで100ヤード打ってみて」と言うと、大概みんな150ヤードくらい打ってしまう。180ヤード飛ばせるクラブで100ヤードって、すごく小さな動きで打てるんです。それがわかったら、フィニッシュでシャフトがつむじのところで平行に収まるところまでスウィングを大きくすれば180ヤード。これはドライバーと比べたら全然曲がりませんし、大きなミスも出ない。
――コツはありますか?
浦 アドレス時の手首の角度を最後までほどかないこと。手首をキープしたままフィニッシュまで回り切れれば、この形に収まります。それからUTについてひとつ言っておきたいのが、クラブ選びに注意が必要だということ。一般男性には軽すぎるモデルが多いんです。クラブが軽すぎるとトップしやすいですし球も暴れて安定しない。一般男性であれば、できれば純正で70~80グラム台のシャフトが装着されているものを見つけて使ってください。もちろんリシャフトしてもいいんですが、リシャフト用のシャフトは合う、合わないが出やすいので、クセの少ない純正シャフトで重めのものがベターです。
小さな振り幅でしっかり打って100Y
100Yのスウィングを少し大きくすれば180Y
Point 1
アドレス時の手首の角度をキープ
UTでゆるめずに100ヤード打てるようになったら、そのスウィングを少し大きくすれば、180ヤードも高打率で打てるようになる。アドレス時の手首の角度を崩さないように振り切ろう。
Point 2
フィニッシュは「つむじでシャフトが平行」でOK
月刊ゴルフダイジェスト2023年1月号より