コンパクトでOK? 頭は動いていい? 今どき女子に学ぶ飛ばしの秘密<後編>
「トップは深いほうが飛ぶ」「頭は動かしてはいけない」……ひと昔前は常識と言われていたことが、近年活躍している女子のスウィングを見ると、どうも当てはまらない。その真相を、引き続き坂詰和久コーチに聞いていこう。
TEXT/Yumiko Shigetomi THANKS/函南GC PHOTO/Hiroyuki Okazawa、Hiroaki Arihara、Tadashi Anezaki、Shinji Osawa
解説/坂詰和久
長年にわたって佐伯三貴のコーチを務めながらジュニア育成にも尽力し、馬場咲希を全米アマ優勝へ導いた。HMBゴルフアカデミーヘッドコーチ
>>前編はこちら
- 最近の女子ツアーはますます選手たちの飛距離が伸びているがその背景にはスウィングの大きな改変がある。昭和的スウィングから抜け出したい人は彼女たちから学ぶべきだ! TEXT/Yumiko Shigetomi THANKS/函南GC PHOTO/Hiroyuki Okazawa、Hiroaki Arihara、Tadashi Anezaki、Shinji Osawa 勝みなみ アマ……
肩はしっかり回っている
8月に全米女子アマで優勝して脚光を浴びた馬場咲希は、細身ながら270ヤード飛ばす。ところがトップでのクラブの位置が極端にコンパクトで、昔の飛ばし屋たちとは正反対だ。そういえば、女子ツアーに限らずPGAツアーなどを観ていてもコンパクトトップの選手が増えている印象がある。
「左腕リードでコックを使わず遠くに上げれば、肩は深く回るけどクラブは必要以上には上がらないトップになります。クラブの無駄な動きやフェースの開閉を抑えて方向性を確保しつつ、飛ばすためのパワーは蓄積されるんです」
【昭和の常識】
飛ばし屋はオーバースウィングが多かった
圧倒的な飛距離を武器にツアー通算24勝した福嶋晃子もオーバースウィングだった
令和の新常識
現代はコンパクトでも飛んで曲がらない
Point 1
ノーコックで低く遠くに上げる
クラブの無駄な動きやフェースの開閉を抑えるために、ノーコックで左腕を伸ばしたままテークバックする。始動から低く遠くに引くイメージ
Point 2
手元が右肩の横まで上がればOK
左腕リードで上げて体が回り切ったところがトップ。無理してそれ以上上げてしまうと方向性が悪くなってしまう
Point 3
左手はとう屈>掌屈>尺屈>ローテーション
テークバックはノーコックだがトップでは少しコックが入ってとう屈し、クラブの重みで掌屈する。ダウンスウィングでとう屈してた手首がもとに戻りながら(尺屈)少しローテーションしてインパクト
Point 4
フォローでは右手が掌屈する
Drill
左片手打ちを練習に取り入れよう
右腕リードだと腕だけで上げられるが、左腕は右腕に比べて力が弱いから体を回さないとクラブを上げられない。左片手打ちをやれば体が深く回るようになる
腰ではなくお尻を回す意識が大切
昔から頭が沈むプロはいたが、上がりながら打つプロもいたし、アマチュアはとにかく頭を動かすなと教えられた。ところが現代の飛ばし屋はみんな沈んで打っている。
「あれは頭を下げているわけではなくて、強いパワーを生み出すヒップターンをした結果、自然と下がっているんです」
腰の回転ではなくお尻?
「欧米では腰を回すとは言わずにヒップターンなんです。トップでは右のお尻が少し後ろに下がって、インパクトでは左のお尻がグンと後ろに下がるように回せば前傾角が深くなって球にパワーが伝わってくれますよ」
【昭和の常識】
頭は動かすなと教えられた
頭を固定して打てと言われてギッタンバッコンになってしまう人が続出した
令和の新常識
前傾角が深くなって頭が沈む
Point 1
壁にお尻をつけて押し込むイメージ
Point 2
体重を真ん中に戻してヒップターン
トップで右体重になってそのままお尻を回してしまうと“腰引け”になる。最低でもセンター体重に戻ってから回すことが大事
Point3
トップで右尻、インパクトで左尻に圧がかかっている
月刊ゴルフダイジェスト2022年12月号より