【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.99「ショットイップス解消のヒントはYouTubeにあり?」
高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。
PHOTO/Takanori Miki
4月にショットイップスになって、レッスンプロの人にも見てもらったけど治らんかったですね。それでも、最後はうちの師匠(高松志門)がいる、先生のところに行けば何とかなるやろ思うて、見てもらったんですけど、今回は治らんかった。イップスは「飛ばそう思うたら誰でもなる」とか「長年蓄積されたもんがあるから」とか言われ、そら、合うてるとは思いましたけど。
この数カ月で思ったのは、イップスみたいなもんは人から治してもらうもんやない。最後は自分でわからなあかん。自分が、「あ、そうや」と何かで気づくことでしか方法はないいうことです。
僕も実際、まだ2~3割しか回復はしてないんですけど、自分自身で「あ、そうや」って気がついたことで何とかイップスから抜けだす気配を感じられています。
きっかけはユーチューブの『TASK GOLF』という番組です。知ってる人もおると思いますが、マツモトタスクさんという人がやっている番組で、この人はアメリカのレッスンプロのマイケル・ジェイコブスが提唱する、スウィング中にクラブに加わる力を解析し構築した理論「ジェイコブス3D」のアジアに2人しかいないという解説者なんです。
簡単に内容を言うと、スウィング中にグリップにかかる圧力を測定し、スウィングのどの局面でどういう圧がかかり、どの方向に力が加えられているかを、アメリカの何十人ものトップ選手を被験者にして導き出した結果、プロはみんな同じ動かし方をしているということにいきつくわけです。
そのタスクさんの理論解説に「第一振り子」というのが出てくるんですが、それは手首を使ってヘッドをクルンと回転運動させるのがスウィングの基本である、というものです。
これを見た瞬間に、「あ、そうや」と気づいた。というより、「これ、やってたで」と思い出したんです。若い頃から、それが自分のスウィングの基盤みたいなもんで、“目つぶし”とかいってクラブくるくる回しとったことを思い出したんです。これがイップス脱出の取っかかりになるわけです。
「ヘッドをクルンと回転運動させるのは、自分のスウィングの基盤です」
奥田靖己
おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する
週刊ゴルフダイジェスト2022年10月11日号より