【新・待ってろ、ウエハラ!】Vol.10「FWでのティーショット。あえてティーアップしないという手も」
大畑大介と上原浩治との「ゴルフ対決」は上原に軍配が上がったはずだったが「あれは本番ではなかった」と言い張りだした大畑。パート1で出会った青木翔を“専属コーチ”に任命し、再修行を開始。すると、ラウンドレッスンで引き出しを増やしまくった大畑の前に“可憐すぎる刺客”が登場! さあ、勝負の3ホール目。
ILLUST/Koki Hashimoto TEXT/SHOTANOW PHOTO/ARAKISHIN THANKS/六甲国際パブリックコース
スポーツって「思い込み」が大事だったりする。現役の時、世界を相手に渡り合えたのも「オレならできるぞ!」っていう強い思い込みがあったから。もちろん今回の対戦も「絶対に勝てる」と思い込んでるよ。
でもね、難しいのはこいつがあだになる場面もあるってこと。自分が思い込んでた情報と違ったら、そりゃ柔軟に対応しないと痛い目に合うよね。ラグビーではそれができとったけど、ゴルフでは抜け落ちてた。
例えばオレはスライサーやけど、すごく曲がるときもあれば、ほぼストレートみたいなフェードになることもある。パットのラインなんかもそう。だから、0か100かじゃなくって「どれくらいか」っていう塩梅がつかめれば、オレはまだまだ進化できると思う。
対戦相手の呼幸ちゃんは、見てるととんでもない勢いでいろんなことを吸収してるけど、オジサンも負けんぞ!
ウッドだからって
ティーアップしない
上原との対決に向けた特訓の一環で、ベストスコア「68」の小学6年、大槻呼幸ちゃんとの3ホール勝負に挑む大畑。2ホール目は地力で勝る呼幸ちゃんが取り、大畑の1ダウン。絶対に落とせない大畑が選んだのは……。
青木 最終ホールはパー4。呼幸ちゃんはフェアウェイの真ん中を狙ってドライバーを振り切るのみだけど、大畑さんは左の池に届いちゃいますね。
大畑 入った瞬間にジ・エンドやな。
青木 ですね。それを加味したうえで狙いをどうするか考えてください
いつもと違い(?)、真っ当な“ラウンドレッスンっぽい”やり取りをする2人。そんなオジサンを尻目に、呼幸ちゃんのドライバーショットは安定のフェアウェイキープ。先手を取られた大畑。いつもなら力でねじ伏せにいくが、その手にはフェアウェイウッドが!
青木 ティーショットで、ドライバー握らない大畑さんを初めて見たかも。
大畑 どうや、見直したか! これがシン・オオハタの力や。
青木 いや、まだ打ってないし……。じゃあ、1つだけアドバイスを。ティーアップしないで打ってみてください。
大畑 え? ティーショットなのに?
突然の助言に困惑しながらも、大畑の1打目は持ち球のスライスでフェアウェイ左端に着弾。池に入ることなく、首の皮一枚つながった。
大畑 狙い通り、池手前に落とせたわ。でも、何でティーアップなし?
青木 大畑さんの持ち球を考えると左からフェアウェイに戻るようなスライスがイメージできますよね。でもティーアップすると、アッパー軌道をイメージするので、少しあおり打ちになり、ドロー回転がかかります。もしくは、打ち込んでテンプラ。どっちも2打目で勝負がかけられなくなっちゃいます。
大畑 さすが、世界を知る男やね。引き出し多すぎ注意やで。オレはそこまで考えられなかったけど、気持ち的に飛ばそうってことより、しっかりボールに当てようっていうイメージになった。どうせ、飛ばない番手で打ってるんやしって開き直れた。
青木 ティーショットだからって飛ばすだけじゃない。ウッドだからって目いっぱい振ることだけが正解じゃない。このあたりがわかってくると、かなり強いですよ。
価値ある敗戦で
力まかせは卒業
さらなる進化の兆しを見せた大畑だったが、2打目、3打目と微妙な傾斜を前に、惜しいミスが続いてしまう。結果、3ホール目も呼幸ちゃんが取り、通算2ダウンで大畑の敗戦となった。
「さすが呼幸ちゃん。ベストスコア68の腕を見せてもらったぞ」(大畑)。「対決、頑張ってください。応援します!」(呼幸)。呼幸ちゃんのエールが大畑の背中を押す!
青木 2打目、3打目は練習ではなかなか打てない、細かい複合傾斜でした。
大畑 単純な左足下がりとかじゃなかったもんな。こういうのもどのくらいの具合で球が上がるとか、横に打ち出されるとかしっかりイメージしとかないとあかんな。
青木 常に0か100だった大畑さんからそんな言葉を聞けるなんて。
大畑 「加減」「具合」「塩梅」。このあたりを頭に入れて本番に臨むわ。
青木 その調子で練習してください。でもその前に行ってもらいたい場所があります。
大畑 またドッキリみたいなことやめてよ。
次週、青木が指定した場所(どうやら千葉だ)に大畑が突撃! さらなる進化、乞うご期待。
【今週のバージョンアップ】
ティーショットで距離を落としたいときは、
番手を下げるだけでなくティーアップなしという手も
令和の武蔵になる
オオハタダイスケ
大畑大介。1975年11月11日生まれ。ラグビー元日本代表、伝説のウイング。大阪の東海大仰星高で上原浩治と同クラス。ベストスコアは91だが「本気を出せば上原に勝てる」と豪語する強メンタル&フィジカルでゴルフ修行フェーズ2へ
迎え撃つは
ウエハラコウジ
上原浩治。1975年4月3日生まれ。読売巨人軍の元エースで、メジャーリーグでも活躍したレジェンド。マウンド上の緊張感を今はコースで味わうのが楽しいという根っからのアスリート気質を持つエンジョイかつ本気ゴルファー。大畑の挑戦に一度は“勝利”したが……
週刊ゴルフダイジェスト2022年9月27日号より