鉄人・藤田寛之が明かすスコアメイクの極意「強い選手ほど“守り”が堅い!」【飛ばし屋たちをアッと言わせるマネジメント術】
43歳で賞金王に輝き、“中年の星”と呼ばれた藤田寛之。飛ばし屋が闊歩するパワー全盛時代において小柄な体でツアー通算18勝をマークした職人プロは勝つために「攻めるよりも守り」に徹したという。その極意に迫る!
TEXT/Kenji Oba PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/マルハンカップ太平洋クラブシニア
攻めるほどミスの確率が高くなる
年を追うごとにドライバーの飛距離が伸びるゴルフの世界。パワーゲームの到来は、より攻撃的なプレーを印象づける。だが、
「日本ツアーはもとより米ツアーを見ても、強い選手に共通するのは守りが上手いことなんです」
そう語るのはツアー通算18勝、今季はシニアツアーにも参戦。出場した3試合ですでに2勝を挙げ、賞金ランク1位を走る藤田寛之だ。そして藤田は「守るゴルフこそ勝つゴルフ」と言い切る。
「野球やサッカーと同じように、ゴルフにも攻めと守りがあります。ただ、ゴルフはミスが当たり前のスポーツですから、攻めれば攻めるほど“やらかして”しまうものなんですよ(笑)」
もっとも藤田もアマチュア時代は果敢にバーディを狙う攻撃的なゴルファーだった。だが、そんな藤田に守りの重要性を教えてくれたのが、今も師と仰ぐ芹澤信雄だ。
「プロになると結果を残さなければなりません。そこで誰の指導を受けるかと悩んだとき、出会ったのが芹澤さんでした。師匠のゴルフをひと言で表すなら“ステディ”なゴルフ。手堅く、安定感のあるゴルフです。それこそがボクが求めていた、結果を出せるゴルフでもあったんです」
芹澤の指導を仰ぎ、1997年のサントリーオープンでツアー初優勝。20代はこの1勝だけだが、30代で5勝、40代で12勝と、年齢を重ねるごとに勝利数を増やしていった。そして辿り着いた勝利の極意が、「守りがなければ勝つことはできない」だったのだ。
そんな藤田が描く、守りのゴルフとは、どのようなものか?
「イメージはマッチプレーです。相手との真剣勝負を想像すれば理解しやすいでしょう。相手は常にフェアウェイをキープ、セカンドはグリーンセンターに必ず乗せてくる。その人は安全にプレーしているだけですが、相手になるとかなり脅威です。ミスをする隙がないから精神的なプレッシャーも大きい。やがて自分は攻めなければならない展開になり、それがミスとなって自滅……。だから守りがしっかりした選手ほど、強いんですよ」
藤田によれば、攻める=ピンポイントに狙うショットは、ショートアイアンだけだという。ロングアイアン、難しい状況、池やOBなどのハザードが絡むショットは難度が高くなるため、
「そういう状況で攻めるのは、自分の技量以上ですから無理があります。つまり無謀なんです」
藤田寛之が目指したプレースタイルの変遷
「ツアーで結果を出すために“守るゴルフ”に行きついた」
●ジュニア時代……中嶋常幸の圧倒的な強さに魅了された
●学生時代……尾崎直道の攻撃的なゴルフに憧れる
●プロ時代……芹澤信雄に弟子入り
>>安定したゴルフを学び守ることの大切さを痛感
「ボクも若いときは攻めなきゃ勝てないと思っていました。ですが、そんなゴルフでは結果も出ず、そこで出会ったのが芹澤さんです。ミスをしない、安定したゴルフが勝利を生むことを知ったのです」(藤田)
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週刊ゴルフダイジェスト2022年9月20日号より