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【スウィングづくり】海老原清治プロの竹ボウキ素振りをR・マキロイが試してみたら…

2019年に行われたZOZOチャンピオンシップの練習日、海老原清治プロお墨付きの竹ボウキ持ち込んで、PGAツアープレーヤーに竹ぼうき素振りを試してもらった。世界ランク1位のR・マキロイは、果たしてなんと答えた?

ロリー・マキロイ「重いから手先では振れないね」

マキロイ “先が重い”これがいい。手では簡単に振れないので、体主導のスウィングになるよ。これは僕のスウィングのテーマにもなっているから、よい練習器具だね。最初は僕の好きな映画の空飛ぶホウキかなって思ったよ。

竹ぼうき素振りで実感

海老原プロが絶賛する「振るチカラ」ナンバーワンのマキロイ。

海老原 マキロイはとくにインパクトが非常にいいです。本来切り返し以降、左肩が先に動かないと詰まってしまい、手打ちになりますから。

トミー・フリートウッド「体が伸び上がらずシュパンと振れる」

フリートウッド 遠心力が大きくなるので、それに負けないように振ると体の起き上がりがなくなるね。

「前傾角を最後まで保てるスウィングができやすい」とコメント

セルヒオ・ガルシア「この感じで打てたらいいよね」

ガルシア グリップ圧が強いと重すぎて切り返しで手首を痛めそう。勝手にゆるゆるグリップで深いタメが生まれそうだね。早打ちできないから、リズムが良くなるね。

ガルシアのような深いタメの切り返しに近づく

コリン・モリカワ「勝手にプレーンに乗ってくれる」

モリカワ 遠心力が強く、スウィング中に小細工ができない。軌道は一定になりプレーンに乗りやすいよ。

気持ちよさそうな竹ぼうきを振ったモリカワ

トニー・フィナウ「球を押し込む感じがつかめる」

フィナウ 竹ボウキだと体先行で腕が少し遅れて下りてくるので、リリースしないインパクトになるね。インパクトから先でボールが押せる感じが出てくるよ。

トニー・フィナウも竹ぼうきを高評価

PGAツアープレーヤーは、おしなべて海老原清治の竹ボウキ素振りを大絶賛した。

竹ぼうきのように長くて重いモノを振る効果
専門家に聞いてみた

解説/工学院大学工学部・田中克昌准教授 衝撃の工学的技術をスポーツ用具に応用、ゴルフクラブなどの性能や快適性を追求する研究に従事

「竹ボウキ」が本当に振れるようになるのかを工学博士の田中克昌准教授に聞いてみた。

田中教授 竹ボウキは通常のクラブよりも長く(53㌅)、重い(655㌘)ですよね。

田中教授 支点から先が長くなれば長くなるほど、先が重ければ重いほど遠心力が強くなります。その強い遠心力に耐えないと強く振れません。だから必然的に手先だけではなく、体を下から順番に動かしてスウィングできるようになるのでしょう。

遠心力は全長が長ければ長いほど、先端の質量が大きければ大きいほど強くなる。同時に逆向きの向心力に耐えうる力も必要になる

田中教授 ただ重いだけではなく、ホウキ部分で風が抜けるので、抵抗が適度になります。しかも重心位置は先端ではなく、柄の先になるので、バランスよく振りやすくなるのがいいですね。

田中教授 以上のことから、必竹ボウキねは振るチカラを作るためには非常に優れた練習器具だと思いますね。

竹ボウキのメリット① 遠心力が最大にかかる
竹ボウキはドライバーより、約7㌅長く、ほうき部分の質量が大きいので、遠心力は強い。手打ちでは、支えきれずに体で振るようになる。

竹ボウキのメリット② 風通しが良く抵抗がほどよい
ホウキ部分で風が抜けるので、空気抵抗が程よく、スウィング中のバランスが崩れにくい。これが板だと、抵抗が大きすぎ振りに無理が生じてくる。

竹ボウキのメリット③ 自分でリリースできない
ドライバーより長さがあるので、リリースを早めると地面に当たる危険がある。また重さもあるため、自然とタメができた切り返しになりやすい。

竹ボウキをDIYしてみよう!

市販の竹ボウキを振ると、長くて重くて振りにくいという。海老原プロは自分でチューンナップしている。

海老原プロ仕様
竹ボウキの柄の太さの直径は2.2㌢、全長は53㌅(135㌢)、重さは655㌘、ホウキ部分の長さ55㌢。

丈はこれくらいがいいね

【用意するもの】

◎竹ボウキ(5段締め)
◎グリップ(NO.1グリップ50シリーズ)
◎針金(18m×1.1m)
◎グリップ用両面テープ
◎グリップ交換溶液スプレー
◎ギリ(千吉 三角柱 角)
◎ニッパー(強力ニッパー)
◎ベンチ
◎園芸用ハサミ
◎六角レンチ
◎メジャー
◎カッター(大きめ)

【手順】※くれぐれもけがのないようにご注意ください

【①切る】
ホウキ部分を55㌢ほどに園芸用鉄でカット。そのまま切ると、切られた竹の枝がバラバラになって飛んでしまい危険なため、ホウキの先端部分をひもなどで縛ると飛びにくい。

【②間引く】
ホウキを軽くするため、太い枝を間引く。針金で縛られている部分を何箇所かニッパーで切ってから抜き取る。抜き取るとき、手に枝のとげが刺さらないように注意。(所要時間40分)

太い枝を間引く

【③穴をあける】
ホウキを振っていると先がすっぽ抜ける可能性があるので、針金で固定する穴をあける。柄の部分の根元近くに油性ペンで印をつけてキリで穴あけ。(所要時間約10分)

キリで穴をあける

【④補強する】
③と同様、ホウキの先がすっぽ抜けないよう、ホウキ部分を針金で締めて補強。ホウキの先端近くから、もともとあった針金に沿うように巻く。六角レンチなどの棒状の道具で、ねじるようにきつく締める。(所要時間約20分)

針金で補強

【⑤固定する】
一番上を締める前に、③であけた穴に針金を通して撒いておく。その後に一番上を締める(所要時間約20分)

しっかり固定

【⑥グリップを作る】
次にグリップ。柄の先端部分の、節で膨らんでいる部分を削る。カッターで他の部分よりも少しだけ細くなるくらいに削る。両面テープをらせん状に巻き、その上にグリップをはめる。(所要時間約30分)

節で膨らんでいる部分はカッターで削る

【⑦はめる】
柄の直径が太いため、NO.1グリップなど、軟らかく伸びやすいグリップでないと入らない。グリップ交換溶液をかけ、グリップを伸ばしながら入れる(所要時間約30分。計約180分)

【完成】そこら辺の竹ボウキとはわけが違うぞ!

月刊GD2020年3月号より

テキスト/菅原大成、イラスト/伊波二郎
PHOTO/Hiroaki Arihara、Kazuo Iwamura、Yoshimasa Nakano

海老原プロが竹ホウキを実際に振っているよ↓

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