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【パット上達】練習グリーンでは入れることよりも、コレをやる。パット数が減るスタート前のパット練習術

ショートパットが不安、ロングパットの距離感が合わない、打ちきれない……。パットの不安を抱えてラウンドに臨みたくないのは誰もが思うこと。そこで、苦手なポイントに応じたスタート前のパット練習法を、新進気鋭のツアープロコーチに教えてもらった。

【解説】大西翔太プロ
おおにししょうた。1992年生まれ千葉県出身。青木瀬令奈はじめ、ジュニア育成も行う人気ティーチングプロ。フィジカルからメンタルまでゴルフ理論を研究するイケメンコーチ

いきなり打たずに
お腹まわりに力が入る
準備運動

GD ラウンド前のパット練習についてお聞きしたいのですが、どんな練習をするのが効果的でしょうか。

大西 いきなり転がしちゃ~ダメですよ。まず、大きく両手を上げて深呼吸して、腹筋にパワーを溜めるんです。

GD え! なんですかそれ?

大西 カンタンにいうと、手打ちにならないようにするためです。その次は、今日のバランス感覚を確認するんです。片手、片足、目をつぶって打ってみる。グラグラする部位があれば、意識して調整する。これをやってから練習開始です。全部やっても2分くらいで終わるのでカンタンですよ。

お腹まわりに力を集中させる体操

腹筋や背筋など大きな筋肉を使うことがパットでも大切。お腹まわりに力を集中させられる体操をしてみよう。ストロークが安定する

①足をクロスして

②両腕を大きく上げ

③胸を開いて腕を下ろし

④腹筋にチカラを溜める

⑤グリップエンドとおヘソが仲良しになる

GD オモシロイですね! ちなみに、練習には何球持っていけばいいですか?

大西 プロは3球使って練習することが多いですが、それは長い時間みっちり練習を行うから。みなさんは、本番の芝で転がすのはおそらくラウンド当日くらいのはず。ですから、まずは芝に慣れるため、いろいろな状況で転がしたり、これから紹介することをいろいろ試すには、練習ボールは2球まで。とにかく、スタートギリギリまで、さまざまな状況を体感することがホントに大事です!

「できるだけ、パット感覚をビンビンに研ぎ澄ませた状態のまま、ラウンドへ入りたいのでスタートギリギリまで練習したほうがいいです」(大西)

スタート前の練習
2つの約束

①ストローク 手首の角度を変えない

アドレスしたときにできる両手首の角度を保ったままストロークすることで、フェース面のブレを抑える。

「このまま打ってみましょう」

②ボール位置 左目の真下に置く

ボール位置は左目の下に固定する。すると、手元で小細工するような動きがなくなり、ストロークが安定してくる。

さらに今日のバランスを確認!

力感が安定しない部位を探す
日々、体のバランス感覚は変わるため、片手片足、目をつぶったりして、バランスが取れない個所を探して修正するのも、朝のパット練習では重要。

入れる練習は必要はなし
端から端までバコーンと打つ

GD さっそくですが、練習方法を教えてもらえますか。

大西 まずは、距離感をつかむために、グリーンの端から端までバコ~ンっと打ってみてください。

GD カップは狙わなくていいんですか?

大西 入れることより、まずはその日のグリーンに慣れることが大事です。カップに入れることに集中してしまうと、結果ばかりに執着して本番のための練習になりません。まずはグリーンの速さをつかむことです。

GD あえてカップに入れないんですね。

大西 ロングパットの次は、ショートパットです。カップのギリ手前で止める“寸止め練習”です!

どんなパットも共通の距離感。カップ縁で寸止め練習

距離感を養うために、あえてカップの手前ギリギリで止める練習をする。「距離感が出せない人が入れることばかり考えると、強く打ちすぎる傾向にあります。まずは、入れることより狙った位置まで打つ練習をしてみてください」

寸止め練習は短い距離から!

GD きつそうですね……これも入れたらダメ?

大西 もちろんです。あくまでも距離感をつかむ練習なので入れたらダメ。慣れてきたら、徐々に距離を伸ばします。絶対、距離感がビンビンに冴えてきますからね。何回も言います。絶対に、入れないでくださいね!

【ロングパットの距離感①】 グリーンの端から端まで打ってみる
グリーンの端から端までの超ロングパットを打ってみる。カップではなく、大きなエリアを狙うことで徐々に距離感がつかめてくる。

【ロングパットの距離感②】 ハンドダウンでインパクトを強くする
あえてテークバックを小さくしてフォローを大きく出すことで、インパクトでゆるまずしっかり打ち切れる。

小さく振り上げ大きく出す

【ロングパットの距離感③】 手元を上げてヘッドを真っすぐ出す
インパクトが強くならないように、大きく振り上げヘッドスピードを減速させながら当てる。インパクトがやさしくなり距離感が合う。

大きく振り上げ小さく出す

やってみよう! パターが入るストレッチ

シャフトを腰に当てて前屈する
腰にシャフトを当ててしっかり前屈を行い、もも裏に張りを感じよう。この張り感があると、下半身がブレず安定したストロークが実現する。

強打して狙い打つ
ショートパット練習

GD 距離感の次は、ショートパットの練習法を教えてもらえますか?

大西 ショートパットを外す原因は、打った後、目でボールを追ったり、結果が気になってカップを見てしまうから。その結果、体が突っ込んだり、インパクトでゆるんだりしてしまいます。だったら、はじめからカップ見ちゃえばいいんですよ(笑)。

GD カップを見て打つ?

大西 ボワッと視界に入る程度でいいんです。見えていると安心感が生まれて、ヘッドもしっかり出るので打ち切れます。

GD フックやスライスなどの曲がるラインの練習はどうすればいいですか?

大西 カップのど真ん中から入れない練習をしてください。要は、曲がる側から入れるということです。仮にカップを外しても、カップ手前で切れるのではなく、奥側から外したいんです。いわゆる『プロライン』で狙えると、打ち切る感覚が身に付くので、カップインの確率がグンと高くなります。

【ショートパットに強くなる①】 カップを見ながら向こう土手まで打つ
構えたときに左目でなんとなくカップを見ておく。すると、打った後体がボールを追わないので、ヘッドが出せて、向こうの土手まで強く打ち抜ける。

【ショートパットに強くなる②】 2個同時に打つ
トウとヒールにボールをセットして、2個同時に打って2個ともカップインさせる。インパクトでのゆるみがなくなり、ショートパットをしっかり打ち抜く感覚が身につく。

【ショートパットに強くなる③】 あえてカップに蹴られてみる
点で狙い、強く打ち切る練習法。わざとカップに蹴られるように打つことで、狙ったところに打つ感覚が身につく。ゲーム感覚で楽しめる。

【ショートパットに強くなる④】 ヘッド幅にティを差して振る
ショートパットは、ヘッドを真っすぐ動かすことが大切。プロもよくやっているヘッド幅にティを差して、ヘッドが当たらないように動かす。フェースのブレを修正できる。

曲がるラインに強くなる

カップのど真ん中にティを差して横から入れる

フックやスライスなどの曲がるラインは、カップの真ん中から入れるのではなく、上の写真のように、曲がる側からカップインさせる。これで入る確率が高くなる。

【フックに強くなる】 トウにセットしてクローズに構える

【スライスに強くなる】 ヒールにセットしてオープンに構える

プロがやってる!
あとひと転がりを生むドリル

ティを差してアッパー軌道を身につける
ボールの後ろにティを差して、当たらないようにアッパー気味に打つ練習をする。この感覚でストロークできると、転がりがよくなり、カップ際の最後の一転がりを生む。

大きな筋肉を使う感覚を
身につけておこう

GD 最後に、ラウンド前日に家でできるパッティング練習があれば教えてください。

大西 はじめにも言いましたが、安定したストロークをするには、手先ではなく、大きな筋肉を使うことが大前提です。そのためには、つねに腹筋を意識する必要があります。この感覚を身につける練習として、オモチャのクラブを使って立てひざでボールを打ってみてください。

GD どんな効果があるんですか?

大西 下半身が不安定なので、フラつかないために腹筋を意識するようになります。もうひとつ練習としては、頭を壁につけたままストロークしてください。軸の意識が高まり、さらにボール位置が左目の真下にある感覚がつかめます。これで翌日のパッティングは完璧ですよ!

【前夜のコソ練1】 ひざ立ちで子ども用クラブで打つ
ひざ立ちだと下半身が不安定になるため、腹筋でバランスをとろうとする。自然と腹筋に力が入り、安定したストロークが身につく。

本気でやってよ!

【前夜のコソ練2】 頭を壁につけてストローク
壁に頭を付けたままストロークしてみるのは効果絶大。ボール位置が左目の真下にくる感覚も養える。

接着剤で付けられた感覚

PHOTO/Hiroaki Arihara

週刊GD2020年3月10日より

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