【松山英樹のローフェード】#3 ロフトを立てつつ入射角を緩やかに…「手首」の使い方がキモになる
松山英樹がここぞの場面で使用する「ローフェード」。我々アマチュアには簡単に真似できるものではないが、その打ち方を細かく分析していくことで、球を真っすぐ遠くへ飛ばすための重要なポイントが見えてきた。
TEXT/Daisei Sugawara PHOTO/Blue Sky Photos、Tadashi Anezaki、KJR THANKS/武蔵丘ゴルフコース
解説/黒宮幹仁
連載「世界基準を追いかけろ」でお馴染みのプロコーチ。松山英樹と同世代で、ジュニア時代からしのぎを削ってきたライバルだった。2021年の「ZOZOチャンピオンシップ」では松山のプレーを間近で観察
●CONTENTS●
#1 松山英樹のローフェードってどんな球?
#2 フェードなのに低スピン! どうやって打っている?
#3 ロフトを立てつつ緩やかに…鍵は手首の使い方
ヘッドを低く長く動かすには
手首の使い方がポイント
松山英樹の“決め球”である「ローフェード」は、手首の使い方がキーになると黒宮幹仁は言う。
「スプリットハンドにして、ヘッドを地面から離さずに、ほうきで掃くように動かしてみると、左右の手首がまったく違う形をしているのがわかります。左手首は『掌屈(しょうくつ。手のひら側に折る)+尺屈(しゃっくつ。小指側に折る)』、右手首は『背屈(手の甲側に折る)+撓屈(とうくつ。親指側に折る)』と、3次元的になっています。この手首の使い方が、フェードでも入射角を緩やかに保つ秘密で、これに体の回転を足すと、英樹のインパクトイメージに近くなります」
これを体感するには、たとえば9番アイアンでいつもよりボール1個分、左足寄りに置いて打ってみる。普段通り打つと、ボールは左に高く出やすいが、それをストレートボールにするにはどうするか。
「手首の『3D』の動きに加え、体の軸を右に傾けずに、自分が左に動くイメージで、最下点の位置を左にずらす必要があります。また、インパクトまでは、胸がずっとボールを覆う形でないといけません」(黒宮)
松山流ローフェードのPoint 1
左手と右手を「3D」に使う
右手はサムアップ&背屈
左手はサムダウン&掌屈
左手だけ、右手だけでそれぞれ、フェーススクエアのままロフトを立てる動きをしてみると、ロフトを立てる際のそれぞれの手首の形がわかる
松山流ローフェードのPoint 2
フィニッシュがピタッと締まる
体の緩みをリセットできる効果も
ドローはインパクト後に手が体から離れるが、フェードは体と一緒に回る。締まったスウィングの感覚を取り戻せる
松山流ローフェードのPoint 3
やや左を向いてトップは浅めに
ボールを中心に体全体を左に回転
ボールを中心に、反時計回りに靴1足分回転。スタンスだけを左に向けるのではなく、全体的に左向きに構える
松山流ローフェードのPoint 4
インパクトで右に倒れ込まない
胸がずっとボールを覆うようにして打つ
切り返し後すぐに胸をボールに向け、そのままずっとボールに向けたままインパクトすると、軸が右に傾かない
グリップにタオルを巻いて
打ってみよう
松山と同じ球は打てなくても、エッセンスを取り入れることで、インパクト前後のヘッドの動きは安定する。
「スプリットハンドで、左足寄りにボールを置いて、真っすぐなボールを打つ練習がいちばん効果的です。難しければ、グリップにタオルをグルグル巻きにして打つのもいい。グリップの太さは入射角と関連があって、太いほど入射角は緩やかになります。緩やかな入射角は、基本的にイン‐アウトなので、それがアウト‐インになるくらい体を回す。そうすると、当たり方が一定になってきます」(黒宮)
まずは入射角を緩やかにする
フェードを打とうとして、アウト-インに振ると、入射角が鋭角になりやすいが、これだと松山のフェードには程遠い。極太グリップなどで、まずは緩やかな入射角の感覚をつかむ
スプリットハンドで打つと手首の使い方が分かりやすい
スプリットハンドにして、ヘッドを低く動かし続けると、左右の手の役割がわかり、手首を「3D」に使う感覚も理解しやすい。右手は下げすぎず、左手はインパクトに向かって高くなっていく
週刊ゴルフダイジェスト2022年5月10・17日合併号より