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【浦ゼミナール】Vol.27「パッティングもしっかりと“ヒット”することが重要です」

身長171㎝で420Yという驚異の飛距離を誇る浦大輔が、スキルアップのコツを伝授する連載「解決! 浦ゼミナール」。今回は、実は得意だというパッティングについて、上達のポイントを聞いてみた。

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/√dゴルフアカデミー

浦大輔

うらだいすけ。身長171cmで420Y飛ばす飛ばし屋にして超理論派。東京・赤坂で√d golf academyを主宰

前回のお話はこちら

ボールにエネルギーをムダなく伝える

――ここまで飛ばし、アイアン、アプローチとお話を聞いてきましたが、このへんでパッティングについても取り上げたいのですが……。

浦 ついに来ましたね。こう見えて私、実はパッティングはメチャメチャ得意なんです。パッティングならひと晩中でも語れますよ。

――そうなんですか?

浦 若いころはホントに飛ばないゴルファーだったので、アプローチやパッティングばっかり練習していましたからね。

――では率直にお聞きしますが、パッティングのいちばんのコツって何ですか?

浦 本当に率直ですね(笑)。じゃあ率直に本当のことを言ってしまうと、パッティングは練習した者勝ちです。練習量がすべてと言っていい。ショットは変な練習ばかりしていると下手になることもありますが、パッティングはやったらやったぶんだけ必ず身になる。うまい人は例外なく練習していますよ。

――な、なるほど……。

浦 はいはい、わかってますよ。読者が求めている答えはこういうことじゃないんでしょ(笑)。練習が大事なのは本当ですが、打ち方に関して言えば、ボールをちゃんとヒットすることがとても重要。タイガー・ウッズしかり青木功さんしかり、パットの名手は例外なく強くインパクトしてボールを“打って”います。いわゆる「タップ式」。パッティングは振り幅だとか低く長いフォローだとか言って、ボールを“転がす”とか“押す”ようなストロークをしている人に名手はほぼいません。

――でも「パンチを入れたくないからゆっくり等速でストロークする」と言うプロもいますよね。


浦 申し訳ないけど、そういう人は多分パッティング下手です(笑)。下手は言いすぎにしても、本人がそういうイメージだろうが無意識下では必ずボールをちゃんとヒットしているはず。そうじゃないとインパクトがボヤけてしまう。決してゆるめずに、ストロークのエネルギーを100%ボールに伝えるヒット感は不可欠なんです。

――そういう“タップ式”の打ち方だと、感覚的な誤差で距離感が安定しなさそうな気がします。

浦 だから練習が必要なんです。ボールを投げるとき、遠くに投げる場合と近くに投げる場合で、腕の振り幅を考えますか? 投げる瞬間のリリースの加減でコントロールするでしょう? パッティングだって同じです。パッティングなんて最終的には感覚でしかないんですから、インパクトの感覚に頼ることを恐れちゃいけないんです。

ボールを“押す”のはNG
インパクトで100%の力を出す

フォローは考えず、インパクトでパチンとヒットしてストロークのエネルギーをボールに伝え切ることが大事。名手は、たとえ60~70%でそっと静かにストロークしているつもりでも、インパクトでは100%の力を入れているものだ

レベルな軌道で赤道をヒットする

浦 それからもう1つ私が重要視しているのが、パターの刃でボールの赤道を打つこと。

――パターの刃ですか?

 簡単に言えばフェースの下の角。ロフトが立っているのでわかりにくいですが、アイアンやウェッジで言えばリーディングエッジの部分。ここでボールの赤道を真横からヒットするとボールの転がりが抜群によくなります。

ポイントは赤道部分をレベルに、もしくはごくわずかなアッパーくらいの軌道で打つこと。ダウンブローに上から潰すように打ってしまうと、インパクトでボールが地面に押しつけられて摩擦で転がりが悪くなりますし、地面の傾斜の影響を受けて方向もズレやすくなってしまいます。さらにグリーンのコンパクション(硬さ)によってそれらの影響を受けるため、バラつき、転がりも安定しないので、ダウンブローに上からヒットするのはNGなんです。

――どうして刃で打つんですか?

 結局これがいちばん順回転を与えやすいんですよね。ボールが打ち出しからスムーズに回転して素直に転がる。ボウリングのプロが投げるときみたいに、ボールが静かに滑るように転がり始めるのでブレが少ないんです。これは私の経験上間違いないし、計測器などでデータを取ってみてもこれがいちばんエネルギー効率がいい。

ただしこれは、フェースインサートのないパター限定です。インサートがあるパターの「刃」は、打感も弾きも大きく変わってしまうのでフェース真ん中で打たなきゃダメ。

インサートのあるパターはフェースの真ん中でOK

フェースインサートのない削り出しなどのパターの場合はフェース下部の「刃」で打つが、フェースインサートのあるタイプのパターは少しヘッドを下げてフェースセンターで打ってOK

――その場合もレベルに赤道を打つイメージは同じですか?

 もちろんです。このレベルなストロークを身につけるには、ボールの手前にボールペンとか鉛筆を1本置いて打つ練習がおすすめです。ペンの太さ1本ぶんくらいソールを浮かしてインパクトできれば、ちょうどパターの刃がボールの赤道に当たります。

――かなり浮かせる感じですね。

浦 普段フェースの真ん中で打とうとしている人にとってはそう感じるでしょうけれど、私はいつもこのくらいで打っているんです。SWの刃でパッティングする練習もこれと同じ効果があります。ウェッジだと、ヘッドが赤道より下に入ると球が浮いてしまうし、上に入ると変なトップになるのでボールペンのドリル以上にシビア。私はこれを若いころに死ぬほどやりましたが、普段この練習をしていると、パターで打つのが本当に簡単に思えますよ。

グリーン上では芝を痛める可能性があるのでNGですが、家のパターマットでできる練習なので、ぜひやってみてください。

Drill
パターの“刃”でボールの赤道を打ち抜く

インサートのないパターを使っている人は、ボール手前にペンなどを置き、ヘッドが当たらないように打つ練習がいい。アドレスではソールしてもOK。少しヘッドを浮かせてインパクトしよう

SWの刃でパッティングする練習もおすすめ

ボールの赤道をレベルにヒットする感覚を養うには、SWでパッティングする練習が効果的。打点が少しでもズレればボールの転がりが途端に悪くなるので結果が一目瞭然。これに慣れればパターで打つのはカンタンに感じる

月刊ゴルフダイジェスト2022年5月号より