ミスの原因は“打つのが遅い”から。ショットの成否を分ける「10秒ルール」とは?
アマチュアのミスの大半は、打ち方や体の使い方、クラブの動きよりも 「打つまでの時間」と断言するプロがいる。ミスを防ぐ最大のコツは「構えたらサッと打つ」こと。その真意を詳しく聞いてみた。
TEXT/Kenji Oba PHOTO/Yasuo Masuda、Atsushi Tomura THANKS/GPC恵比寿
解説/大本研太郎
2018年PGAティーチングプロアワード最優秀賞受賞。恵比寿にあるスタジオ「GPC恵比寿」を主宰。スウィング理論だけでなく、マネジメントやメンタルにも精通する理論派。現在、女子プロの東浩子、藤田さいき、臼井麗香、永嶋花音を指導中
打つまでの時間が早い人ほど
ゴルフが上手い
スロープレーに上手い人はいない……とは、誰もが感じることではないだろうか。そこにズバリ切り込むのが、ツアープロコーチであり、マネジメントやメンタルにも精通する大本研太郎プロだ。
「アマチュアはセットアップから打つまでに時間をかけすぎなんです。そしてミスショットの大半は、このかけすぎた時間によって起こるのです。プロや上級者ならセットアップからほぼ10秒以内、早い人なら6~7秒で打っています。これを自覚するだけでも、多くのミスは防げるはずです。ちなみにパットになると打つまでの時間はもっと早くなります」
大本プロがいうセットアップとは、ボール後方からターゲットを確認し、打ちたい弾道をイメージすることで始まる(準備段階である素振りは含まれない)。
「アマチュアは、打つ前のチェック項目が多すぎるんです。たとえばアドレスに入るとき、つま先のライン、スタンス幅、肩や腰の向き、グリップの位置、ボールポジション……といった具合です。これでは時間がかかるばかりで、考えることだけが増えてしまいます。考えるとは、左脳優位の状態です。左脳優位では体が硬直してしまい、思うように動けず、それがスライスやOBといったミスにつながるのです」と、大本プロは分析する。
ボールを打つうえで大切なのはイメージを作ること。つまり思考モードである左脳優位から、イメージモードである右脳優位に切り替える必要があるのだ。ターゲットに対してどう打つかではなく、どんなボールを打ちたいかを映像化するのがイメージ作りの基本。
「まずはボール後方から3次元の弾道(放物線)を描いてみましょう。ドライバーなどは、ターゲットが200Y先にありますから、たとえば打音や打感、飛球音……カーン、ガツン、ビューンなどでイメージするのもいいです。イメージは非現実的なものですから、アニメや漫画の意識で構いません。たとえばラインに太さがあったり、色がついていたり、擬音が立体的に浮かび上がるなどすれば、より強いイメージになります」
イメージを作ることで左脳優位から右脳優位に移行できる。そうすると体はリラックス状態となり、思うように動きやすくなる。その結果、ショットの精度が高まるのだ。しかし、ここで注意したいのが時間。というのも、
「イメージは想像力でもありますから素早く描ける一方で、時間が経つと消えてしまうのです。要はこのイメージが消える前に打ちたいわけです。その目安がセットアップから10秒なのです。素振りなど、準備する時間はあっても構いませんが、イメージができたら10秒以内に打つ、これがミスを防ぐ大きなポイントになるのです」
イメージを作ったら10秒以内に打つ
ボール後方から作るイメージはいろいろある。打ち出しのライン、インパクトの音、打った感触などなど。イメージの世界に入れば、体はリラックスできる。あとは、消える前に打てるかどうかだ
>>パットが入らない原因も
「時間をかけすぎ」だった
- ボールの後方でイメージを固めたら「10秒以内に打つ」ことがショット成功の秘訣だと大本研太郎プロ。そしてそれは、ショットだけでなくパットの成功率を高めるうえでも非常に有効だという。 TEXT/Kenji Oba PHOTO/Yasuo Masuda、Atsushi Tomura THANKS/GPC恵比寿 解説/大本研太郎 2018年PGAティー……
週刊ゴルフダイジェスト2022年4月12日号より