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【リズムを極める】篠塚武久編「日本人は“引き”の民族。『4拍子』が合っています」

プロはよく、スウィングでは「リズム」が一番大事と言うが、なぜリズムが大事なのか、どんなリズムが理想的なのか、いいリズムを作るにはどうすればいいのか。プロ・アマ問わず指導経験豊富な5人のコーチに話を聞いた。

PHOTO/Tadashi Anezaki

解説/篠塚武久

福岡市で「桜美ゴルフハウス」主宰。福岡大学の大石迪夫教授と作り上げた「OSゴルフ理論」で、時松隆光をはじめ多くのゴルファーを育て上げた

フォームの前にリズムがある

ダンスにたとえると、フォームは振りつけ。これを、リズムを全然使わずに覚えようとしても難しい。フォームを覚えるため、リズムを取り入れると簡単になじめるんです。フォームは体の外のもの、リズムは体の中のもの。体内から覚えさせないと時間がかかります。ゴルフも同じです。

また、農耕民族の日本人に合うのは2拍子。鍬で畑を耕すには右足と右手を同時に出して「1」、引いて「2」と使いますよね。古武術などで説明される“なんば歩き”も同様ですし、盆踊りも同じような動きが多いでしょう。この動きが日本人は得意だし、簡単で合理的。余分なことをしないのでシンプルでパワーが自然と出ます。

一方、狩猟民族の西洋人に合うのは3拍子。弓矢を射るときに左足を出して右手を引く。クロスに動くんです。ゴルフスウィングでいうと、バックスウィングで左肩を右足の前に持ってきながら回り、ダウンスウィングで右肩を左足の前に持ってきながら回る。「1、2」で肩を入れて「3」でインパクトに向けて振っていく。ここにねじれやムリが生じます。


ですから、我々に合うリズム「2拍子」を使ってスウィングも行いたい。右足を踏み込んで右手を上げて「1」、左足を踏み込んで左手を上げて「2」のイメージです。ただし、私がスウィングを「4拍子」というのは、「準備」と「本番」があるから。準備で「1、2」、本番で「3、4」でムリとムダのないスウィングになる。

準備に2拍、本番でも2拍
「準備は素振りではありません。最近、外国のトップ選手にも見られる大きめのワッグルみたいなもの。今から振るというリハーサルをしてリズムを体内に思い起こさせ本番に入る。準備があればスウィングがバラバラになりません」

また、日本人は「引き」の民族でもある。スウィングでも「引いて引く」のがいい。左肩を入れて右肩を入れる「押して押す」動きではバラつきが出やすい。右肩で引いて左肩で引く。4拍子でスウィングすれば、自然に「引いて引く」動きになります。これは最近のプロも取り入れている動きです。

オノマトペに換えて言葉を口に出すのもいい。人間は発した言葉に従います。とくに練習のときは利用する。「チャー・シュー・メン」は3拍子なので、2音節に分かれる言葉を続けて言う。たとえば「宇宙の・かなたへ、飛んで・行けー」など。言葉に置き換えると忘れないし同じテンポで打ちやすいです。

あまり難しく考えるのではなく、日常生活の動きを取り入れるイメージで行いたい。まずはリズムが先。うちのジュニアも、これで教えると、すぐにいいスウィングになるんです。

最近「引く」という言葉を使うプロは多い。「B・デシャンボーもですし、金谷拓実プロも『空手の正拳突きの感じでバックスウィングで右肩を引いてフォローで左肩を引く』。渋野日向子プロも『引いて引っ張る』と盛んに言うし、稲見萌寧プロもギュギュッと引く練習をしていました」

週刊ゴルフダイジェスト2022年3月15日号より