【クラブが仕事をする打ち方】#2 手首を柔らかく使えればヘッドがもっと加速する
どうすればクラブに上手く仕事をさせることができるのか? プロコーチの森守洋によると、ミケルソンのスウィングにそのヒントが隠されているという。
TEXT/Daisei Sugawara PHOTO/Tadashi Anezaki、Blue Sky Photos、Hiroyuki Okazawa THANKS/東京ゴルフスタジオ
解説/森守洋
もりもりひろ。堀琴音や原江里菜のコーチを務める傍らアマチュアにもレッスンを行う
●CONTENTS●
#1 クラブの力を最大限に利用する
#2 手首を柔らかく使うには?
#3 “奥田流”脱力の極意
#4 トップアマ3人のひと工夫
無駄な力を省くとクラブの力が生きてくる
フィル・ミケルソンのスウィングは、「クラブに仕事をさせる」お手本のようなもの。クラブ使いの達人でなければ、50歳を超えてからメジャーに勝てる(体に負担をかけずに、若い頃と同様のパワーを出せる)はずがない。
「筋力は『内力』、クラブの力である重力、遠心力、慣性などは『外力』で、ミケルソンは『外力』の使い方が抜群」と、森守洋コーチ。それを可能にしているのが手首の柔らかさだ。
「手首が柔らかいと、手首を支点に、少ない力でヘッドを大きく動かせます。それにはグリップを必要最小限の力で握るのが条件で、さらに肩から腕が脱力していると、腕全体がシャフトの役割を果たすので、ミケルソンのように最大効率で振れるんです」(森)
ミケルソンからの学びポイント1
手首の柔らかさ
ヘッドの運動量が大きくなる
手首の柔らかさは、そのままタメの深さに通じる。タメがあれば、ヘッドの運動量が増し、リリース動作開始後の速度も上がる
重力を存分に使える
クラブをギュッと握りしめると、自分の力(筋力)で下ろすしかないが、手首が柔らかい状態だとクラブの重力も一緒に使える
ミケルソンからの学びポイント2
腕の脱力
フェースの“自然”な開閉が使えるようになる
腕に力が入っていると、スウィング中にフェースが自然に「返ろう」とする動きを押さえ付けてしまう。脱力していれば、クラブは自らターンする
振り子運動で再現性もアップ
腕に力が入らなければ、腕自体がシャフトのようにしなり、クラブの自然な振り子運動を助け、大きく安定的に振れる
しっかり握るのは
親指と人差し指だけでOK
「手首の柔らかさと腕の脱力で一番重要なのが、クラブと体の接点であるグリップです。アマチュアはその接点をガチガチに固めてしまっている。そのせいで、手首を柔らかく使えず、ヘッドも動かないんです」と森コーチ。「ただ、腕の脱力や手首の柔らかさは、言うのは簡単ですが、実際は難しい。だからこそ“使い方”があるんです」とも話す。そして、その使い方を覚えるために大事なのが握り方だと言う。
「握り方を改めるだけで、手首を柔らかく使えるようになります。子どものころ、鉛筆の端を持って揺らして遊んだことがあると思うのですが、このとき、鉛筆を全部の指では握りませんよね? 親指と人差し指の2本だけで握り、鉛筆を大きく動かそうとするはず。これはスウィングでも同じ。握るのは左手の親指と人差し指だけ。これを意識するだけでもヘッドの動き方は大きく変わるはずですよ」
グリップも同じように握ろう
鉛筆揺らしと同じで、ゴルフのグリップも指2本だけで握る感覚が大事。手首が柔らかく使え、ヘッドも大きく動きやすくなる
2本指で握ると……
グリップが支点になりヘッドの運動量がアップ
ギュッと握るとヘッドが動かない
両手全体で強く握ってしまうと、振り子の支点ができず、力を入れている割にはヘッドは動いていない
握り方ができたら次のステップ!
始動
ヘッドよりも左手を先に引いていく
切り返し
手元を左足の付け根方向に引く
クラブが仕事をするのを体感できるオススメドリル
2本指握りでアプローチ
月刊ゴルフダイジェスト2022年4月号より