曲がりが増幅! やっかいな「サイドアゲンスト」どう打てばいいの? 風の強い日のティーショット攻略法
冬から春先にかけて、ゴルファーを悩ませるのが風。なかでも特にやっかいなのが、球の曲がりが増幅する左右からの向かい風。いったいどう対処すればいいのか。竹谷佳孝プロの話を聞いた。
PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/鹿野山GC
風に乗せる・風にぶつける
正解は2つある
GD 風が強い日のティーショットはどんなことに注意すればいいでしょうか?
竹谷 まず重要なのは、風の強さと方向を知ることですよね。そのため、できるだけたくさんの情報を得ておくことが大切なんです。コースに出る前に済ませておきたいのは、朝の天気予報で、風の方向と強さをあらかじめ調べておくことです。
GD 最近の天気予報は精度が上がってきて、かなり正確にわかるようになりましたね。
竹谷 そうなんです。その情報をベースに、芝を投げたり、雲の動きや木の枝の動きをチェックします。このとき、風は地形によって通り道ができて、必ずしも同じ方向に吹いていないということを頭に入れておくこと。それと、午前と午後でだいたい風向きが変わることも覚えておいてください。
たくさんの情報から風の向きと強さを知る
●雲の流れ……上空の風の流れを知ることができる。地上と逆のこともあるので注意が必要
●芝の流れ……芝が真横に流れたら、風速5メートル以上。ただし、ホール全体が同じ風の方向、強さとは限らない
●風の通り道……ビル風のように、風は地形によって通り道ができて、流れる方向が変わる。前のホールと同じ向きとは限らない
●木の枝……風の影響を受けるのは、弾道が林よりも上に達したところ。林の上の枝の揺れ方で、風の方向と強さを見る
●朝の天気予報……風の方向、強さをあらかじめチェックしておく。午前と午後で変わることも多い
GD 風の強さと方向をつかんだら、次は攻め方ですね。
竹谷 ゴルファーなら誰もが経験上、知っていることですが、完全なアゲンストなら、それほど恐れることはありませんよね。やっかいなのは横からの風。とくにサイドアゲンストになると、曲がりが大きくなりますね。
GD では、横からの風が吹いていたらどうすれば?
竹谷 攻め方は2つあります。風に乗せる方法と、風にぶつける方法です。風に乗せるときは、風の影響を小さくするために少し低い球を打ちます。風にぶつけるときは、風と相殺する曲げ球を打ちいます。こちらはちょっと高度な技ですね。
サイドアゲンストへの対処法
(1)風に乗せる
低い球を打って風の影響を小さくする
「横風、とくにサイドアゲンストが吹いているときは、高い球を打つと、どこまで風に流されるか計算できません。そのため、いつもより低い球を打って、風の影響を小さくします」
(2)風にぶつける
球を曲げて風と相殺する
「狭いホールや5メートル以上の強い風のときなどは、風にぶつける球を打ちます。左からの風にはドロー、右からの風にはフェードです。飛距離は落ちますが、方向性を確保できます」
スウィングをできるだけ変えずに
球を打ち分ける
GD では、具体的な打ち方についてお願いします。
竹谷 その前にひとつ、とても大切なことが。風が強い日って、だんだんとショットが乱れてくると思いません?
GD そう言われると、確かにそうですね。
竹谷 あれ、どうしてだかわかります? 振り方を変えるからなんですよ。ですから、低く打って風に乗せる場合も、曲げ球を打って風にぶつけるときも、振り方を変えずに打てるかどうかが大切なんです。
GD なるほど。いつもの振り方で、自然に打ちたい球筋になるのが理想ってことですね。
竹谷 すべてのゴルファーができるとは言いませんが、僕がやっているこの方法は、90くらいでラウンドできるゴルファーなら、振り方を変えずに低い球や曲げ球を打つコツがつかめると思います。まずは練習場で試してみてください。
風に乗せる場合
Point 1
指2本ぶんクラブを短く持つ
「短く握れば、スウィング弧が小さくなります。そのぶん、シャフトのしなり戻りも小さくなり、ロフトが立った状態でインパクトしやすくなります」
Point 2
ボール1個分右にセットする
「いつもよりボール位置を右にセットすると、アッパー軌道ではなく、レベル軌道でヘッド軌道の最下点でハンドファーストにボールをとらえやすくなります」
Point 3
ティーアップを低くする
「ティーアップを低くすれば、フェースの“下め”で打ちやすく、フェースのロール(上下の丸み)のぶんだけロフトを立ててインパクトできるわけです」
短く持ったなりに7割スウィング
風にぶつける場合
右からの風にフェードでぶつける
「フォローを高く上げる」
「ヘッドを真っすぐ上に出していくイメージで、フォローを高く上げます。こうすることによって、自然にヘッドのターンが遅れて、フェードを打つことができます」
左からの風にドローでぶつける
「フォローを低くする」
「フェードとは逆に、フォローでヘッドを低く出すイメージです。これで、勝手にフェースが返ってドローになります。このとき、カット軌道に振ると、引っかけが出るので注意」
週刊ゴルフダイジェスト2022年3月1日号より