【ドライバー】曲がらず! 飛ばせる! 大型ヘッドの最強インパクト。ヘッドは地面をひきずるほどゆるやかになる(前編)
インパクトゾーンが“点”のように短いと、わずかなタイミングのズレでミスショットが出てしまう。
でも、もしもインパクトゾーンを長い“線”にできたら、少しぐらい振るタイミングがズレたって、
ボール位置が正確じゃなくたって大丈夫。そのためには、「ゆるやか~な軌道でインパクトするんです」と中井学プロは言う。それは、どんなスウィングなのか。どうすれば、そのコツをつかむことができるのか。ヘッドスピードのわりに飛ばない人やラウンド中に逆球が出たり、いい当たりが続かない人は必見ですよ。
まず質問!
正しいボール位置は?
ボール位置が大切なことは、ゴルファーなら誰でも知っているセオリー。では、ここで問題です。
A、B、Cでドライバーの正しいボール位置はどれ? やっぱり「Bが正解」と全員が答えるはずだが‥‥
【A】実はボール位置はA、B、C、どれも正解です!
中井 インパクトがゆるやかになって、インパクトゾーンが線のように長くなると、両足の真ん中から左足のつま先までのボール位置に対応できるようになります。つまり、この範囲なら、ボールをどこに置いても“ある意味”正解というわけです。
ヘッドは体の回転で動かす
GD 最新のドライバーはヘッドが大きくなって、やさしく飛ばせるようになったといいますよね。たしかに、プロの飛距離はここ数年で飛躍的に伸びていますけど……。
中井 アマチュアでそれを実感できている人は、少ないかもしれませんね。
GD 進化の恩恵を受けているのは、プロや上級者ばかりで、われわれ一般のアマチュアは置いてけぼりみたいな。
中井 手や腕でクラブを操作しがちなアマチュアは、ヘッドの軌道が上から鋭角に入ったり、逆に下からアッパーになりすぎて、インパクトがゾーンではなく、点になってしまっているんです。
GD それだと大型ヘッドの特性を生かせない?
中井 慣性モーメントが大きく、フェースがターンしにくいので、なるべくフェースの開閉を抑え、ゆるやかな軌道でボールをとらえる。インパクトゾーンで限りなく水平に長くヘッドが動いていく。これが大型ヘッドで曲げずに飛ばすコツなんです。
GD ゆるやかなインパクトを手に入れるポイントは?
中井 手や腕でクラブを操作せず、体の回転でスウィングすることです。腕とクラブを体の正面から外さずに、体の回転で打つことが大事です。
【ポイント①】
インパクトゾーンでヘッドは水平に動く
ドライバーのヘッドに長いリボンを付けて、中井プロにスウィングしてもらった。
中井 インパクトゾーンでヘッドがゆるやかな軌道を描き、限りなく水平に動いているのがわかるはずです。これが最新の大型ヘッドで曲げずに飛ばす必須条件なんです。
【ポイント②】
手先を使わず体の回転でクラブを下ろす
中井 ボールに対して、ゆるやかな軌道でヘッドを入れていくには、手先でクラブを操作せず、体の回転でスウィングすることがポイント。腕とクラブは体の回転にただ付いてくるだけ。スウィング中は手元が体の正面から外れません。
イメージは着陸する飛行機
中井 ドライバーのヘッドが飛行機だと考えて、ゆるやかな入射角で滑走路に滑らかに着陸させるイメージがピッタリです。極端なダウンブローやアッパーブローになると、いかにも着陸に失敗しそうですよね。
上から見ると
丸く振っている
GD ゆるやかなインパクトを横から見ると、ヘッドが低く長く水平に動くことがわかったが、上から見ると、ヘッドはどのくらい直線的に動くのだろうか。
中井 腕とクラブは体の回転に付いてくるだけなので、インパクトゾーンのヘッド軌道は、ゆるやかなイン・トゥ・インになります。真っすぐなインパクトゾーンをイメージすると、手先の操作が入りやすく、ゆるやかな軌道でボールをとらえるのが難しくなります。自分の体を中心に、ヘッドで円を描くように丸く振る。そんなイメージを持つのが正解なんです。
GD 体の回転が先行して、腕とクラブは遅れて付いてくるイメージだと、インパクトでフェースが開いて当たりそうで不安ですけど……。
中井 それは勘違い。むしろ逆で、手打ちの人は体の回転よりも手元が先行するから、インパクトでフェースが開いてしまうんです。体の回転に腕とクラブが同調して動けば、フェースは自然にターンします。
3つのポイント
【ポイント①】
体の回転でイン・トゥ・インに振る
中井 ゆるやかな軌道でボールをとらえようとして、インパクトゾーンでヘッドを真っすぐ動かそうとするのはNG。手元が先行してフェースが開き、ヘッドも鋭角に下りてきてしまいます。ヘッドで丸い円を描くように、体の回転でイン・トゥ・インに振ります。
【ポイント②】
手は意識しないとにかく体を大きく使う
中井 大型ヘッドはヘッドの戻りが遅いため、手先でフェースを返そうとする動きが入りやすいので注意。手元を体の正面にキープしたまま、体の回転を主体にスウィングすれば、フェースは自然とターンします。
【ポイント③】
体のターンは180度以上が目標
中井 後ろから見るとわかりますが、体はこんなに回転しているんです。バックスウィングで胸を右に向け、フィニッシュで右肩が目標を指すぐらい、無理のない範囲で、ヒップターンを使ってしっかりと体を回してください。
【ドリル】
手とクラブはずっと体の正面から外れない
GD 手でクラブを持っているのに、手や腕でクラブを振ってはダメ……。まるで禅問答のようで、これが一般のアマチュアには難しい。自分では使っていないつもりでも、無意識に手先で振っちゃう。中井プロ、手先を使わずに、体の回転で振るための、効果的な練習法はありますか?
中井 ゴルフのレッスンでは、定番中の定番ですが、両わきにタオルをはさんだ状態で、ボール打つドリルがおススメです。スウィング中、体の正面から手元が外れるぐらい左右に動くと、タオルは落ちてしまいます。アドレスで手元は左足太ももの内側にセットされていますが、始動のとき、腕を使うのは、そこから右足太ももの正面ぐらいまで。手や腕ではなく、体の回転でクラブを振る感覚が、このドリルでつかめます。
GD タオルがないときは、両ひじを曲げたまま、ボールを打てばいいと中井プロ。
中井 パットのように、両ひじを曲げて五角形を作り、その形を変えないように打ちます。体の回転よりも手元が先に動くと、五角形は崩れてしまいます。手と体を同調させて振る動きが身に付きますよ。
【ドリル①】
両わきにタオルをはさんで打つ
中井 タオルをねじって丸くした状態で両わきにはさみます。手や腕を使わずに、体の回転で振る感覚をつかむドリルなので、両わきを必要以上にギュッと締める必要はありません。かなり窮屈で違和感があったり、タオルが落ちてしまう人は、手先を使って振っている証拠です。
タオル挟みスウィング
【ドリル②】
両ひじを曲げたままボールを打つ
中井 変則に見えるかもしれませんが、故・杉原輝雄プロや藤本佳則、PGAではジョーダン・スピースのスウィングが想像できるはず。腕の五角形をキープしたまま振ることで、手と体を同調させて振る感覚がつかめます。
PGAツアーから直伝ドリル
メジャーチャンプも同じ練習法をおススメしてるぞ
2013年の全米プロを制したジェイソン・ダフナーも中井プロと同様のドリルの提唱者だ。
「スウィングは体幹のターン。手と体を一体化させて、体の回転でボールをとらえることができれば、ボルストライカーに近づけるはずだよ」(ダフナー)
左わきにグローブをはさんで打つ
【ドライバー】曲がらず! 飛ばせる! 大型ヘッドの最強インパクト。ヘッドは地面をひきずるほどゆるやかになる(後編)に続く
TEXT/Toshiyuki Funayama
PHOTO/Yasuo Masuda
週刊GD6月2日号より
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