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【世界基準を追いかけろ!】Vol.70「バランス」にこだわるのは日本だけ? PGAツアー選手が重視する“振り心地”とは

松山英樹のコーチを務める目澤秀憲、松田鈴英のコーチを務める黒宮幹仁。新進気鋭の2人のコーチが、ゴルフの最先端を語る当連載。 今回はZOZOチャンピオンシップを視察した黒宮が海外選手のクラブ事情について気になった点を話してくれた。

TEXT/Masaaki Furuya ILLUST/Koji Watanabe

前回のお話はこちら

GD 黒宮さんによると、PGAツアーの選手たちは、長さやライ角、重さを変えるなど、スウィングに合わせてクラブ調整をする選手が多いということですが、そのあたりの背景はご存じですか?

X 現場で見ていると重くて長いクラブを使う選手が多いですね。

目澤 前々回も言いましたが、アイアンは長くてストロングロフトにして、ややアップライトにする傾向にありますよね。そうなってくると、質量なんかも変わってくると思います。長くてアップライトとなると、クラブが軽いと振るのが難しくなるので、元々のクラブよりも若干重くして、硬めにする方向になると思います。

黒宮 そうなるとバランス(※1)はどのぐらいなんですかね。


X PGAツアーの選手のクラブは、軽めから重いほうはEバランスぐらいまで、クラブによってけっこうバラつきがあるみたいですね。

黒宮 やっぱり、そうでしょうね。あれだけクラブを番手ごとに長さやライ角を複雑に変化させていたら、全てのクラブを均等にバランスを出すのは無理だと思うんですよ。

X 同じアイアンセットでも番手によってバランスが違ったりするみたいです。

GD そのクラブで選手はまともに振れるんですか。

X 実際のところ、クラブのバランスにこだわりを持つのは日本ぐらいなんですよね。海外の選手はあまりそこにこだわっていない。

GD なるほど。でも何を基準に統一感のようなものを出して“振り感”を整えているわけですか。

X ヨーロッパでは「フリクエンシーマッチング」(※2)という、シャフトの振動数を基準にしてクラブを組むことが多いみたいですね。要するに、9番アイアンとドライバーでは振るスピードが変わってくるじゃないですか。それに応じてバランスを合わせるシステムがあるらしいんですよ。このスピードで、このクラブやシャフトだったらこれくらいのヘッド重量という数値が出てくる。そしてその出てくる数値は、例えば6番アイアンと9番アイアンでは違う数値になるらしいんです。

黒宮 そうなりますよね。自分に合ったクラブを作ろうと思ったときに、一番ネックになってくるのが全部のクラブのバランスを揃えることだと思うんです。

GD 異なったメーカーのシャフトやヘッドを使うなど、クラブのカスタム化が進んでいる背景があるわけですか。

X それもそうかもしれませんが、さきほど言ったように、クラブで振るスピードが変わるわけですから、1本1本で振りやすさを考えるのが自然だと思います。

GD それにしても、なぜ日本人は、バランスにこだわるんですか。

X 製品としての均一性を持たせるためには必要な数値だと思います。でも最近は、スウィングのパフォーマンスにそれほど関係がないのではと、気づいている人も多いのではないでしょうか。

GD 気軽にクラブをカスタムできないマチュアにとっては、クラブの振り心地の指標としては、必要かもしれないですよね。

※1.「 バランス」はクラブ総重量に対するヘッドの重さの比率を示すもの。A0からE9まで刻まれ、Eになるほどクラブの重量に対してヘッドが重くなる。振り心地(スウィング時に感じるヘッドの重さ)に影響し、Aに近づくほどヘッドは軽く感じられ、Eに近づくほど重く感じられる ※2. frequency matching(振動数マッチング) ゴルフクラブの振動数とはゴルフクラブ(シャフト)の硬さを示す数値。振動数は専用の測定器でグリップ側を固定しヘッド側を揺らし、1分間の振動回数を測定する。振動数マッチングはその振動数によってクラブを選ぶという考え方

目澤秀憲

めざわひでのり。1991年2月17日生まれ。13歳からゴルフを始め、日大ゴルフ部を経てプロコーチに。TPIレベル3を取得。2021年1月より松山英樹のコーチに就任

黒宮幹仁

くろみやみきひと。1991年4月25日生まれ。10歳からゴルフを始める。09年中部ジュニア優勝。12年関東学生優勝。日大ゴルフ部出身。松田鈴英、梅山知宏らを指導

週刊ゴルフダイジェスト2022年1月11・18日合併号より