【待ってろ、ウエハラ!】Vol.23 油断大敵! 傾斜地は“緩やか”なほうが難しい?
ラグビー元日本代表の大畑大介が、高校の同級生で元メジャーリーガーの上原浩治をゴルフで打ち負かすべく、精鋭コーチ陣に教えを請う本連載。第23回は、前回に続き青木翔コーチのもと、本番力を高めるラウンドレッスン。ティーショットでナイスショットもボールは無情にも傾斜地に。覚えておきたいポイントとは?
ILLUST/Koki Hashimoto TEXT/SHOTANOW PHOTO/ARAKISHIN THANKS/六甲国際パブリックコース
スポーツやっていて何が楽しいって、苦手が得意に変わっていく過程だよね。現役の頃、最初からすべてが上手くいくわけじゃなくて、たいていのことは失敗から始まってた。そんなときは、できたケースを少しずつ増やしていく。たとえば、パス回し練習では最初は確実に、できてきたら設定タイムをどんどん上げていくと、いつの間にか速くて確実なパスが送れるようになってる。つまり、できない先には必ずできる未来が待っているってこと。だからオレは失敗しても「やっちゃった……」ってへこむことはない。青木コーチもオレと同じタイプやから、ミスしてもいきなり直そうとはしないもんね。教えてくれるのはたいてい「こうなってましたよ」って事実くらい。その先は自分で考えてやったほうが、成長するってわかっているから。残りホールは少ないけど、大いに失敗して大いに成長していくぞ。待ってろ、上原!
得意なはずの傾斜で大きなミス!
ラウンドならではのシチュエーションを多く経験して、着実にレベルアップしていく大畑。順風満帆に思われたが、距離のあるパー4の2打目でトラブルに遭遇する。
大畑 このホールもティーショットはかなりええ感じやった。
青木 打つ前にホール図を見て、打ってはいけない方向を避けてましたね。
大畑 でも、2打目地点にきてビックリ。フェアウェイなのに傾斜してる。
青木 左足上がり&つま先下がりの複合傾斜ですね。
大畑 でも、前のホールでつま先下がりのキッツいラフから、ちゃんと打てた。あれに比べれば角度もそんなについてないし大丈夫やろ。
青木 あれはナイスショットでした。立つのも難しそうな崖から打ったのに、フィニッシュでちゃんと止まっていましたもん。正直ビビりました。
大畑 引退してからはほとんどトレーニングをしなくなったけど、体幹も下半身もまだまだ健在やね。残りの距離はあるけど、あの状況に比べればこれくらいの傾斜は楽勝やろ。
傾斜は見た目にだまされるな
高をくくっていた大畑。UTで2オンを狙ったが、残念ながら大きくダフり打球は20ヤード程度転がって止まってしまった。
大畑 なんでなん! さっきのキツい傾斜は上手くいったのに、盛大にミスってしまった。
青木 まだまだ距離が残っていたので、ミスショットでももう少し前進するような結果が欲しかったですね。
大畑 そやね。これだと次のショットもキビシい……。なんでこんな緩い傾斜なのに、大きなミスになってしまったんやろ。
青木 前のホールの傾斜はキツかったから、しっかり踏ん張らないといけないっていう意識が強かったと思います。
大畑 素振りのときから、フラつかないようにグッと体幹に力入れてた。
青木 でも今は、平らなライから打つようにサクッと打っちゃいましたね。結果、スウィング中にバランスが崩れてしまったんです。
大畑 打つ直前に傾斜っていう意識は抜けてたかも。頭にあったのは、距離が長いからちゃんと飛ばさないとってことだけやったな。
青木 少しの傾きでも、アプローチのときのように傾斜なりに立つことを忘れないでください。それができれば、スタンスとか振り幅を自然と調整できる能力はありますから。
続く3打目も同じような傾斜からのショット。ジャストミートとはいかなかったが、大きく前進した大畑。
大畑 当たりは薄かったけどグリーン近くまでは行けた。成長の兆しやね。
青木 200ヤード以上の距離をグリーンオンさせるのは、かなり難度が高い。だから乗せる・飛ばすというより、しっかりと自分のスウィングで振り切ることだけを意識するといいです。
大畑 そのためには、傾斜やライの確認をちゃんとやらないとな。
弱点が見つかったが、すぐさま修正を行った大畑。本番に向けてまだまだ進化は止まらない!
【オオハタ’s MEMO】
傾斜の大きさとショットの
難しさは比例しない
令和の武蔵になる!
オオハタダイスケ
大畑大介。1975年11月11日生まれ。ラグビー元日本代表、伝説のウイング。大阪の東海大仰星高で上原浩治と同クラス。ゴルフのベストスコアは91だが「本気を出せば上原に勝てる」と豪語するスーパーメンタル&フィジカルでゴルフ修行へ
迎え撃つは
ウエハラコウジ
上原浩治。1975年4月3日生まれ。読売巨人軍の元エースで、メジャーリーグでも活躍したレジェンド。マウンド上の緊張感を今はコースで味わうのが楽しいという根っからのアスリート気質を持つエンジョイかつ本気ゴルファー。同窓生・大畑の挑戦を待つ
週刊ゴルフダイジェスト2021年12月28日号より