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【陳さんとまわろう!】Vol.220「練習場では9番アイアンの“5ヤード刻み打ち”試してみてください」

日本ゴルフ界のレジェンド、陳清波さんが自身のゴルフ観を語る当連載。今回のお話は、飛距離維持のための練習について。

TEXT/Ken Tsukada ILLUST/Takashi Matsumoto PHOTO/Tadashi Anezaki THANKS/河口湖CC、久我山ゴルフ

前回のお話はこちら

どんなショットもタイミングよく
振ることが一番大切

――陳さん、10月1日にめでたく90歳になりましたね。おめでとうございます!

陳さん ありがとうございます。生まれてから90年も生きてきたなんてねえ、考えてみれば凄いね。おかげさまで体のどこにも悪いところがありませんから、100歳までは生きるかもよ(笑)。

――生きてください。そのころにはゴルフ教室でレッスン活動を行っている最年長プロゴルファーとしてギネスブックに載っているかもです。

陳さん  アハハ……、面白いね。ぜひ申請してください。いまでも月に1回から2回、河口湖(CC/山梨)へ行ってスクールの生徒さんに教えていますからね。一緒にラウンドしながらやっているんですから元気でしょ。ドライバーはまだ200ヤードは飛んでるし。ティーアップして打ちますからやさしいね、ドライバーは。

――凄いです、その年齢で。


陳さん  ランのある低いボールを打つからね。200ヤード飛ばすためにはキャリーで170ヤード打てばいいんですよ。そう考えると、無理にボールを叩かなくてもいいということが分かるでしょ。力は要らないんだ。タイミングよく振ってあげれば170ヤードなんて90歳でも飛ばせるの。いま、80から85で回ってます。だから毎回エージシュート。簡単だねえ(笑)。ダブルボギーは叩かないようにしてるから。ここはパーオンは無理だなと思ったら、バンカーなんかの手前に刻んでね。あとはアプローチショットで上手くやって、ワンパットならパーだし、2回かかってもボギーでは収まるでしょ。

――それは私たちも学ばなければならない大事な心得ですね。

陳さん  そうですよ。練習場でボールを打つとき、みなさんはたぶんドライバーをたくさん練習するんじゃなぁい? でもコースに出るとドライバーを使うのは14回ぐらいでしょ。少ないじゃない。それに比べてアプローチショットは何回ぐらいやる? 倍以上やるはずよ。だったらアプローチショットをたくさん練習しなくちゃ。私はいま、月に1回程度久我山ゴルフ(練習場/東京・三鷹市)に行ってレッスンがてらボールを打ちますがね、だいたい200球ぐらい打つうちの大半はアプローチショットですよ。そのほかスプーンで20〜30球打って、ドライバーはせいぜい10球ぐらい。少ないでしょ。

――でもそれは陳さん、スウィングが出来上がっているから……。

陳さん  まだゴルフが分かっていないね。スウィングをつくるためにはショートアイアンでタイミングよくボールを打つことなんですよ。こんど、9番アイアンで、5ヤード(約4メートル60センチ)刻みで100ヤードまで打つ練習をやってみるといいですよ。プロの場合は30センチ刻みで打てないと試合で優勝できる選手になれませんがね、あなたたちの場合は5ヤード刻みでオーケーよ。距離感も養えるし、一石二鳥だね。打てるようになったら90でも80でも切れますよ。

――しかし、厳しい練習ですね。

陳さん  ただボールを打っているだけじゃあ何の練習にもならないじゃない。生易しい練習はかえって体に毒だし(笑)、時間の無駄使いだよ。それから、唐突ですがね、毎日1食は肉を食べるといいですよ。肉は体をつくってくれますから、ゴルフスウィングに役立つんです。正しい練習プラス肉食。私がこれほどまで長続きしているのはこのおかげよ。

陳清波

ちん・せいは。1931年生まれ。台湾出身。マスターズ6回連続出場など60年代に世界で日本で大活躍。「陳清波のモダンゴルフ」で多くのファンを生み出し、日本のゴルフ界をリードしてきた

月刊ゴルフダイジェスト2022年1月号より