【本物の下半身リードをマスター】<後編>最後に“飛ぶ”! できてますか?
本物の“下半身リード”を身につけるための本特集。後編では、以前から言われている下半身リードと、現在の下半身リードの違いについて、プロコーチの植村啓太氏に解説してもらった。
PHOTO/Hiroaki Arihara、Tadashi Anezaki THANKS/プレミアムゴルフスタジオ代官山
解説/植村啓太
1977年生まれ。東京都出身。現在、片山晋呉をはじめ中西直人、臼井麗香などの指導にあたる。代官山にあるプレミアムゴルフスタジオにてレッスンを行っている
>>【前編】下半身リードを極めるために
渋野日向子がやっているトレーニングとは?
インパクトで“飛ぶ”
動きが加わった
「下半身リード」の重要性は昔から言われているが、近年では下半身の使い方が変わってきているという。多くのトッププロを指導する植村啓太コーチによると、一番の違いは“飛ぶ”動きだという。
「切り返しからの体重移動と回転運動の重要性は昔から変わりませんが、今はその動きに加え、“飛ぶ”という上下の動きが入ってきました。以前はグリップエンドを支点にヘッドを走らせる動きで飛ばしていましたが、フェースの開閉が大きいので曲がりやすいというデメリットもあります。いまはギアの進化に伴い、フェースを開閉させず体とクラブを同調させて速く振ることにシフトしてきました。すなわち『体の回転スピード=ヘッドスピード』なので、上下動を入れることにより回転力を高めることが重要になってきたんです。フィギュア選手がジャンプする前に沈み込む動きをするのと考え方は同じです」
【以前】体重移動>>回転
【現在】体重移動>>回転>>飛ぶ(上下動)
回転スピードを上げる
カギは「股関節」
“飛ぶ”動きを行う上で重要になるのが股関節だと植村コーチは言う。
「股関節の重要性は、今に始まったことではなく、以前から言われてきたことです。しかし、ちょっとだけ違うのが、股関節の動かし方です。以前は、アドレス時の下半身の形を崩さないようにトップまで振り上げていましたが、これでは股関節はもちろん体全体の動きにブロックをかけることになるので、体の回転スピードを上げることができません。イメージとして、骨盤にある足の付け根、つまり股関節から体を回してみてください。すると、自然と右腰が斜め上に切れ上がってきます。フォローサイドも同じように左腰が切れ上がってきます。この股関節に乗って動くイメージをすることができなければ、いくら“飛ぶ”動きを入れても、そもそもの回転スピードが出せないのです」(植村)
左右の腰を引き上げる感覚で動かす
股関節を使うには、骨盤を意識することで動きやすくなるという植村コーチ。さらに股関節の付け根を回すイメージを持つことで、足全体が使えるスウィングになるという
ひざの曲げ伸ばしを
積極的に使っていこう
インパクトで上手く“飛ぶ”ためには足をどのように動かせばいいのか。
「ひざを曲げ伸ばしする動きを使います。以前は、ひざの高さを変えずに振るなどと言われていましたが、今は積極的にひざの曲げ伸ばしを使うのが主流。曲げるからこそ、インパクトで“飛ぶ”ことができるんです。ひざを曲げたら、今度は左右のわき腹にある腹斜筋も伸縮してきます。これができれば、体の回転スピードが上がるので自然とクラブを速く振れるようになり、飛距離アップにつながります」
Point 1
トップで左ひざを曲げインパクトで伸ばす
Point 2
インパクトにかけて右わき腹を縮める
体重移動と回転だけだと、フェースローテーションを強く使わないとヘッドスピードは出せない
Point 3
体重移動は股関節の幅の中で行う
沈んでから“飛ぶ”を覚える
最後に、下半身リードで“飛ぶ”動きを身に付けるドリルを植村コーチに教えてもらった。
「“飛ぶ”動きを取り入れるうえで、2つ注意してほしいことがあります。ひとつは『沈まないと飛べない』こと。もうひとつは、『前傾が起き上がったら意味がない』ということ。これらを体感できるドリルを紹介しますので、みなさんぜひ試してもらって、最新の下半身リードを覚えて飛距離アップに役立ててください」
Drill 1
左手でボールを持ち、体の内から外へ投げ飛ばす
左手でボールを持って、左手甲を目標に投げ出すイメージでよなるべく遠くへ投げる。遠くへ投げようとすればするほど自然と一度しゃがんで伸ばす動きを使うはず。これがダウンスウィングからフォローへの“飛ぶ”動きにつながる
Drill 2
シャフトを杖にして右腕を振る
左手でクラブを杖にして支えながら、右腕をフォローまで振り切る。思い切り右腕を振れば振るほど、左ひざが伸びるのがわかる。このとき、クラブが地面と離れなければ前傾角度が崩れていない証拠だ
週刊ゴルフダイジェスト2021年11月30日号より