【待ってろ、ウエハラ!】Vol.18 ティーショットで“最悪のミス”を防ぐ方法とは?
ラグビー元日本代表の大畑大介が、高校の同級生で元メジャーリーガーの上原浩治をゴルフで打ち負かすべく、精鋭コーチ陣に教えを請う本連載。第18回は、前回に続き青木翔コーチが本気レッスン。実戦的なラウンドレッスンに挑むことになった大畑だが、果たしてどうなる?
ILLUST/Koki Hashimoto TEXT/SHOTANOW PHOTO/ARAKISHIN THANKS/六甲国際パブリックコース
スポーツをやっていて、練習と本番で何が違うかといえば、一番大きいのは“プレッシャー”のかかり方。もちろん練習では、本番の試合を想定して取り組むけど、やっぱり完全に同じような緊張感を持つというのは難しい。気持ちが入るからアドレナリンが出て、いつも以上の力を出せることもあるし、逆に緊張の高まりで体が思い通りに動かんことだってある。もう1つ、“想定外”のことが起きるのも、本番ならでは。ラグビーは相手がおるから、いくら本番をイメージして練習しても完全にカバーするのは無理。それに柔軟に対応するためには、練習試合をするなどして場数を踏むしかない。オレはゴルフの経験値がまだまだ少ないから、この練習ラウンドにはいろんなプレッシャーとか想定外のことを期待している。場数を踏むごとに強くなるって、なんかマンガのキャラクターみたいでええやん。待ってろ上原!
突然の応援団に乱れる青木コーチ
大畑の提案で、青木コーチも一緒にプレーすることになったラウンドレッスン。なぜかオナーを務めることになった青木コーチがアドレスをすると、周囲がざわつき始める。少し離れた場所にはいつの間にか、熱視線を送る3人のマダムの姿が。
大畑 あの応援団の人たちは、青木コーチのラウンドにいつもついてくるんですか?
青木 え、誰? 応援って何??
大畑 奥さま方は、青木コーチの専属応援団でしょうか?
マダムたち いえ、たまたまお姿が見えたので、あのコーチのショットが見られるかと思って。
大畑 どうぞどうぞ、これからすごいショットが見られますから! 握手とかしても大丈夫ですよ。
マダムたち すみません、スタート前に。ちょっと握手させてください♡
アイドルに会ったように盛り上がるマダムたち。一方、青木コーチは想定外の事態に戸惑うばかり。
青木 これ、仕込みじゃないですよね。マダムたちには罪はないですが、むちゃくちゃやりづらいわ(笑)。気を取り直してがんばります。
大畑 一発スゴイの見せちゃってください!
バキーン! さすがの快音を響かせた青木コーチだったが、突然の応援団と大畑のプレッシャー(?)に影響されたのか、打球は無情にも右サイドOBゾーンに消えていく。
青木 マジかよ……。あそこにだけは打たないようにって大畑さんに言っておきながら。僕、めちゃくちゃプレッシャーに弱いんです(笑)。
大畑 世界の青木コーチでもあんなことが起こるんか。
青木 もう、全英女子オープンの最終日に渋野のバッグを担いでるときより緊張したわ!
大畑 プロレベルの腕前の人でも打っちゃダメな場所に行ってしまうくらいだから、オレがそこを避けるってやっぱり無理なんちゃう?
自分の「ミスの幅」を
把握しておくことが大事
青木 そんなことはありません! と言っても今は説得力が薄れますが。自分が朝イチや緊張、加えて慣れない状況で、どの程度ボールが散ってしまうかを把握しておけば大丈夫です。
大畑 ただ右に行くミスが多いってだけじゃなくて、どれくらい右に行くのかを覚えておいて、それを計算して狙いを定めるってことね。
青木 そのとおりです。僕は緊張する場面では、最大15ヤードほど右へ押し出すプッシュが出やすい。それは把握しているのですが、スタート前のドタバタで頭から抜けていました……。
大畑 じゃあオレが見本を見せる!
大畑は青木コーチのアドバイスをもとに、右OBを避けるようにアドレス。そこから放たれた打球はややスライスしながらもフェアウェイ右サイドに収まるナイスショット!
大畑 ギャラリーもおったし緊張したけど、我ながらなかなかのナイスショットやったな。
青木 羨ましいほど、緊張に強いですね……。
大畑と青木はマダムたちに手を振り、ドタバタしながらもスタート。次回も本番に強い大畑が、ミラクルショットを繰り出す。乞うご期待!
【オオハタ’s MEMO】
自分の曲がり幅を把握しておけば
“ここだけはダメ”が避けられる
令和の武蔵になる!
オオハタダイスケ
大畑大介。1975年11月11日生まれ。ラグビー元日本代表、伝説のウイング。大阪の東海大仰星高で上原浩治と同クラス。ゴルフのベストスコアは91だが「本気を出せば上原に勝てる」と豪語するスーパーメンタル&フィジカルでゴルフ修行へ
迎え撃つは
ウエハラコウジ
上原浩治。1975年4月3日生まれ。読売巨人軍の元エースで、メジャーリーグでも活躍したレジェンド。マウンド上の緊張感を今はコースで味わうのが楽しいという根っからのアスリート気質を持つエンジョイかつ本気ゴルファー。同窓生・大畑の挑戦を待つ
週刊ゴルフダイジェスト2021年11月23日号より