Myゴルフダイジェスト

  • ホーム
  • レッスン
  • 【浦ゼミナール】Vol.22「100Yが乗らない人が陥っているアイアンショット“2つの勘違い”」

【浦ゼミナール】Vol.22「100Yが乗らない人が陥っているアイアンショット“2つの勘違い”」

身長171㎝で420Yという驚異の飛距離を誇る浦大輔が、飛ばしのコツを伝授する連載「解決! 浦ゼミナール」。第22回は、残り100Yの“乗せたい距離”のアイアンショットについて。技術面とマネジメント面で、アマチュアが陥りがちな勘違いとは?

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/√dゴルフアカデミー

前回のお話はこちら

アイアンは全部コントロールショット

――前回アイアンショットについてお聞きしましたが、引き続きアイアンについて教えてください。今回はアイアンの精度についてなんですが、アマチュアはどうして100ヤードからでもグリーンに乗せられないんでしょう?

浦 まず技術的な話をすれば、みなさんアイアンをちゃんとアイアンショットのスウィングで打っていますか? というところからですね。

――アイアンとドライバーは、スウィングは違うんですね。

浦 はい、違います。これまでもこの連載で少し触れてきましたが、改めて説明すると、アイアンはバックスウィングで右への体重移動が不要です。ドライバーは飛ばすクラブですしティーアップしたボールを打つので、バックスウィングで右に体重移動し、そのまま右でスウィングします。でもアイアンは飛ばす必要がないクラブ。むしろ飛びすぎると距離がそろわなくなって困りますから、体重移動は抑えてその場でバックスウィングします。ロングアイアンの場合はダウンスウィングで左への体重移動が発生しますが、バックスウィングはショートアイアンもロングアイアンも同じ。その場から動いちゃダメです。

――アマチュアはアイアンもドライバーのスウィングで打っている人が多いということですか?

浦 アイアンもドライバーも、どのクラブでも飛ばそうとする。だからフィニッシュも乱れますよね。アイアンを飛ばしたかったら番手を上げればいいのにと思いますよ(笑)。


――フィニッシュも大事ですか?

浦 私は基本的にインパクト以降はどうでもいいと思っているので別にフィニッシュ自体が大事なわけではないんですけど、振りすぎたら結果としてフィニッシュが乱れますから、きれいにピタッと収まってたほうがいいのは確かです。基本的に全部コントロールショットなわけですから、以前説明した「アクセルコントロール」で、決めたフィニッシュの位置に静かに収まるようにスウィングしてください。

フィニッシュは左足1本
胸が目標、手元は肩まで

アイアンはフィニッシュでバランスを崩すほど振っては精度が落ちる。手元は肩の高さまで。腰と胸が目標に正対し、左足1本でバランスよく立てるフィニッシュに収まる力感が大事だ

ショートアイアン=その場で上げてその場で振る

左右に体重移動せず、スタンス幅の筒の中で回転する感じ

ロングアイアン=その場で上げてダウンで左へ

その場で上げて、ダウンスウィングでは左に体重移動

プロは普段からピンを狙っていない

浦 とまあ、みなさん聞きたいでしょうから技術的な話もしましたが、本当は技術ではなく狙い方の問題のほうが大きいんですよ。

――狙い方ですか?

浦 まず大前提として、自分のアイアンショットの本当の精度を知らなければ話になりません。「100ヤードから乗らない」って嘆いている人、自分が普段100ヤードを打つクラブで100ヤード先のピンを狙って100発打って、どのくらい球が散らばるか知っていますか? まぁ100発とは言いませんから、練習場の看板が立っているグリーンを狙って10発打って、落ちたところをメモしてみてください。とんでもなくバラついているはずです。それでピンを狙って打ってそうそう乗るわけがないんです。

各番手の“散布界”を把握しておこう

ターゲットを狙って打ち、落ちたところに印をつけると、自分のショットがどの方向にバラけるかがはっきりわかる。グリーンオンの確率を上げたいなら、この点線部分がグリーンに重なるような狙い方をすればいい

――じゃあそもそも、アマチュアは100ヤードから乗せられるものじゃないってことですか?

 というよりも、乗る前提で狙っているから乗らないし、外したときにピンチになるんです。さっき言ったようにたくさん打った球の落ちどころをメモしてみると、自分の球がどの方向にズレる傾向があるか一目瞭然でわかります。本当にグリーンオンの確率を上げたいなら、これを活用しなきゃダメです。ほとんどの人が右手前がいちばん多いでしょうし、ピンをオーバーする球なんて1割もないでしょう。
この人がグリーンに乗せたかったら、グリーン左奥のほうを狙えばいいんです。宝くじみたいな確率の最高のショットが出たときにベタピンになる狙い方ではなく、自分の平均点のショットがグリーンに収まるような狙い方をする。

――うーん、それってちょっと夢がない気がします。

 そのロマンを求めるところがアマチュアがスコアが出ない大きな要因なんですが(笑)、プロゴルファーなんて、試合で優勝争いをしているとかカットラインギリギリでもない限り、ピンを狙って打っている選手なんていませんよ。僕自身そうですが、狙いは“ピンの反対側”が鉄則。ピンが右奥なら左手前を狙い、ピンが右手前なら左奥を狙う。ピン位置に関係なくいつもセンター狙いという人もいますが、いずれにせよ、これで安全に乗せて静かに2パットのパーが基本。長いパットが入ればラッキーバーディ。外してもピンから遠いサイドだからアプローチがやさしいので、パーが拾えるんです。

――本当ですか!? でもプロってよくベタピンのバーディチャンスにつけたりしますよね。

 試合は別ですが、普段のラウンドでのベタピンのバーディチャンスなんて、本当は狙いがズレて偶然ピンの近くに行っちゃっただけで、そこを狙ったわけじゃありませんよ。みんなドヤ顔しますけど、内心「うわ、ラッキー」って舌を出してるんです(笑)。

ピンを狙って打つとグリーンを外す確率が上がるうえ、外したきにもアプローチがピンの近くからになってしまいパーセーブが難しくなる

浦大輔
うらだいすけ。身長171cmで420Y飛ばす飛ばし屋にして超理論派。東京・赤坂で√d golf academyを主宰

月刊ゴルフダイジェスト2021年12月号より