【ゴルフの急所】Vol.10 シャフトは自分でしなり戻らせるものではない
30歳からゴルフを始め、トップアマとして活躍したのち、49歳でプロ転向。会社経営の傍ら、2020年には日本シニアオープンを制するまでに至った異色プロ・寺西明が、自身が考える「ゴルフの急所」について、読者からの疑問に答える形で解説していく。
PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/六甲国際GC
よく、シャフトのしなりを使えと言いますが、どう使ったらいいのかよくわかりません。クラブを効率よく使うための、しなりの使い方、感じ方を教えてください。
切り返しでしなったシャフトは
インパクトまでしなり戻ることはない
これは難しい質問です。基本的に、スウィング中のシャフトというのは一方向にしなって戻るものではありません。クラブの軌道や、フェースの使い方によって、シャフトがしなる方向は変わるし、しなると同時にねじれ、それが元に戻ろうとするわけです。
つまり、フェードヒッターとドローヒッターでは、シャフトのしなり方は違うし、切り返しの力感やフェースの使い方によって、シャフトの挙動はまったく違ってしまう。だから、それを詳細に説明するのはとても困難なのです。
ですから、シャフトのしなりを完全に理解する必要はないと思うのですが、覚えておいてほしいことがひとつあります。それは、切り返しでしなったシャフトが、インパクトまでにしなり戻ることはないということです。
アマチュアゴルファーの方と話をしていると、切り返しでしならせたシャフトを、しなり戻らせてインパクトするものだと思っている人が、非常に多いようです。
しかし、そのようなイメージを持つと、ダウンで体の回転を止め、手元にブレーキをかけてヘッドを出していくような動きになります。でも、特殊なショットを除いて、そんな打ち方をしているプロはいないし、そんなことをしたら、チーピンが止まらなくなってしまうので注意しなくてはいけません。「しなりを使う」などと言われると、自分でシャフトをしならせ、自分でしなり戻らせるものだと考えてしまうかもしれませんが、それは勘違いです。
ボクの感覚で言えば、切り返したときにしなったシャフトが、しなり戻る前にインパクトを迎え、その後にしなりが解放される、という感じでしょうか。
シャフトのしなりは切り返したときに最大になりますが、それは結果的にしなるだけ。決して強くしならせようとはしていないし、しなったシャフトをしなり戻して打つ意識などもないのです。
基本的に、体の回転を止めずに打とうとすれば、インパクトまでにシャフトがしなり戻ることはないはずです。まずは、シャフトがしなりながらインパクトを迎える。そんなイメージでスウィングしてみてはいかがでしょうか。
軟らかい素振り用スティックを振ってみよう
「しなりを感じてスウィングするには、『ワンスピード』(エリートグリップ)のような、軟らかい素振り用スティックを使うとよいでしょう。これを、切り返しで急激にしならせることもなく、インパクト前に急激にしなり戻らせることもなく振る。それができれば、自然なしなりを使ったスウィングが身についてくると思います」(寺西)
しなり戻って見えるのはトウダウンが原因?
月刊ゴルフダイジェスト2021年12月号より