【待ってろ、ウエハラ!】Vol.14 バンカーはスマホを打てってどういうこと?
ラグビー元日本代表の大畑大介が、高校の同級生で元メジャーリーガーの上原浩治をゴルフで打ち負かすべく、精鋭コーチ陣に教えを請う本連載。第14回は、前回に引き続きメジャーチャンプコーチ青木翔が本気レッスン。苦手なバンカーの攻略法を教えてもらった。
ILLUST/Koki Hashimoto TEXT/SHOTANOW PHOTO/ARAKISHIN THANKS/六甲国際パブリックコース
スポーツには、イチかバチか勝負しなきゃアカンって場面がある。特にピンチに陥ったとき、ワンプレーで形勢を逆転する“賭け”は有効な打ち手。ただ賭けに出るのはここ一番のときだけね。毎回イチかバチかなんてプレーをしてたら勝負にならんでしょ。でも、残念ながらオレのバンカーショットは、常に賭けをしてるような感じ。出たとこ勝負で、どうなるかは打ってる本人もわからん……。出ないのが嫌やから思い切り打つんだけど、大量の砂と一緒にちょこっとだけ飛んだかと思えば、とんでもないトップでグリーン奥のOBゾーンに突き刺さることもある。バンカーに入るたびに、どんな球が出るのかドキドキするのはもうイヤや。自信満々にドンと構えていたい。なんとかして対決までに安定感のあるバンカーショットを身につけなくては。待ってろ上原!
バンカーショットでもOBが怖い!
冬の薄芝を想定したベアグラウンドからの打ち方を教わった大畑。それよりも、さらにボールと地面のすき間がないバンカーショットに不安を覚えている様子。
青木 ベアグラウンドよりバンカーのほうが簡単ですよ。
大畑 そんなこといってオレの苦手意識をなくす作戦でしょ。
青木 自信を持たせたいけど、そうじゃありません。技術的に簡単ってことです。まぁ、まずはあのピンを目標に1発打ってみてください。
バンカーからピンを狙うように指示する青木コーチだったが、大畑氏はいつになく不安げ。
大畑 ちょっと方向を変えてもいい?
青木 いや、ピンに向かって打ってください。
大畑 奥にクラブハウスがあるやろ。窓とか割っちゃったらアカンから。
青木 大丈夫でしょ。だって、あそこまで100ヤードはあるし。
大畑 トップすると行っちゃうんですって、あれくらいまで……。
青木 じゃあ、念のため逆方向に打ちましょうか。
大畑氏が力まかせに振り抜いたところ、ボールは大量の砂とともに3ヤード先のバンカー内にポトッと落ちた。
大畑 ほらこんな調子よ。芝の上にボールが乗って、地面とのすき間があるほうが絶対簡単でしょ。
青木 ボールに直接コンタクトするならそうですが、バンカーは砂を打つもの。その砂がボールを弾き飛ばすので、シビアに考える必要ありません。今は高い球を打とうとして右肩が下がり、ボールのはるか手前を打っています。
大畑 それでもボールは上がらん。やっぱり芝の上より難しい!
青木 いつになくネガティブですね。よしっ! 僕のアドバイスで、もしバンカーから出なかったら、神戸の美味しい焼肉をごちそうしましょう。
大畑 オレの胃袋を知らんな。来月、カードが止まっても知らんよ。
青木 ではポイントを2つだけ。1つはフェースを開くこと。もう1つは、ボールの下にスマホがあると思って、そのスマホの面積の砂を払うように打ってください。
「砂に描いたラインがスマホの形って、なんなん?」(大畑)「この形の砂をとるイメージで打ってみてください」(青木)
いつもとは違う狙い方に戸惑いながらも、大畑氏が放ったボールは高い弧を描き、さらに着弾してからはギュギュッとスピンでボールが止まった。
大畑 うわぁ! ほんまにボールを無視して打ったのにちゃんと出た。
青木 フェースの開き加減は、練習でどの程度の高さになるか体感しておきましょう。高く上がるか不安だったら、最初は大きめに開いてもいいと思います。
大畑 こんなに高さが出るなら、もうマン振りしなくていいからトップしてのOBも怖くない。
青木 えー、焼肉は上原さんに勝ったときのご褒美に取っておきましょう(笑)。
大畑 さすが名コーチ! ニンジンのブラ下げ方が上手いわ。
青木 それ褒めてますか……?
次はいよいよパッティングのレッスンだが、ここでも大畑は意外な(?)才能を発揮することに。乞うご期待。
【オオハタ’s MEMO】
バンカーではボールは打たない。
砂ごと弾き飛ばすんだ!
令和の武蔵になる!
オオハタダイスケ
大畑大介。1975年11月11日生まれ。ラグビー元日本代表、伝説のウイング。大阪の東海大仰星高で上原浩治と同クラス。ゴルフのベストスコアは91だが「本気を出せば上原に勝てる」と豪語するスーパーメンタル&フィジカルでゴルフ修行へ
迎え撃つは
ウエハラコウジ
上原浩治。1975年4月3日生まれ。読売巨人軍の元エースで、メジャーリーグでも活躍したレジェンド。マウンド上の緊張感を今はコースで味わうのが楽しいという根っからのアスリート気質を持つエンジョイかつ本気ゴルファー。同窓生・大畑の挑戦を待つ
週刊ゴルフダイジェスト2021年10月26日号より