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【浦ゼミナール】Vol.21 ハンドファーストは勝手に“なる”もの「右足をめくってみてください」

身長171㎝で420Yという驚異の飛距離を誇る浦大輔が、飛ばしのコツを伝授する連載「解決! 浦ゼミナール」。第21回は、アイアンショットの大原則「ハンドファースト」について。

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/√dゴルフアカデミー

前回のお話はこちら

アイアンは設計上
ハンドファーストが必須

――浦さん、今日はアイアンについてお聞きしたいんですが……。

浦 なんでしょう。

――やはりアイアンはロフトを立ててハンドファーストに打つようにしたほうがいいんでしょうか?

浦 出た! うちの生徒さんもみんなこれを聞いてくるんですよ(笑)。結論から言うと、アイアンは絶対にハンドファーストで打ちます。それは、アイアンはスウィング軌道の最下点で打たなければならないから。ティーアップせずに地面にあるボールを直接打つのに最下点より先で打とうとしたらダフりますからね。

――それはわかります。そのためにロフトを立ててハンドファーストにする必要があるってことですよね。

浦 それは嘘ではないけれど、少し違うかな。ハンドファーストでないと最下点で打てないのは、アイアンがそういう形状をしていることが最大の理由です。ハンドファーストになれば確かにシャフトが垂直な状態よりもロフトは立ちますが、ロフトを立てること自体には意味はありません。ロフトを立てて飛ばしたいなら、番手を1つ上げればいい。アイアンは、設計時点から「プル角」というのがついていて、ソール面に対してシャフトが少し傾いてついているんです。だからそのプル角なりにインパクトしないと本来の性能が発揮できない。アイアンをハンドファーストでインパクトするのはそのためです。

軌道の最下点でインパクト

地面にあるボールをダフらずに打つには、スウィングの最下点かそれより手前でインパクトすることが必須。アイアンはソール面に対してシャフトが傾いてついている。その角度なりにインパクトすれば自然と最下点で当たり、ハンドファーストにもなる

――アイアンの設計コンセプトが理由ってことですか?

浦 そうですよ。ちなみに9番アイアンと4番アイアン、どっちのインパクトのほうがハンドファーストが強いかわかりますか?


――9番ですね。

 そう。アイアンは短い番手のほうがプル角が大きい。だからショートアイアンのほうがハンドファースト強めで打つんです。これが理由でないなら、どの番手も同じでいいはずでしょう。

――なるほど……。

浦 そのためには、バックスウィングで曲げた手首が戻り切る前にインパクトしさえすればいいんですが……まぁこれができないって言うんですよね、アマチュアの人は。

手首が戻る前に当たれば
自然とハンドファーストになる

スウィング中の手首の動きは、バックスウィングで左手首を掌屈、右手首を背屈したものを、ダウンスウィング以降で戻すだけ。手首が戻り切る前にインパクトしさえすれば最下点の手前で当たる。ハンドファーストにならない人は、手首を返すようなフリップ動作が入っている

ハンドファーストは
普通に振れば勝手になる

 ということで「ハンドファーストで打つ方法を教えてください」とよく言われるわけですが、「そんなものない」というのが本音です。

――ええーっ? じゃあプロはどうやって打っているんですか?

浦 ハンドファーストにならないようにする動きをしていないから、勝手にハンドファーストになるだけです。だからハンドファーストにすることを意識しているプロなんて、1人もいませんよ。ハンドファーストということはヘッドが手元を追い越す前にインパクトしているというだけのこと。バックスウィングでは左手首が手のひら側に、右手首が甲側に折れるので、トップでは誰もがハンドファーストになっているはずです。あとはダウンスウィングで手首を無理やり止めてフリップしようとしたりしない限り、インパクトまでにヘッドが追い越してしまうことはないんです。手元は止まらずに動いているし、フェース面には空気の抵抗がかかる。ハンドファーストに打てない人というのは、余計な動きが強すぎる人。相当に余計なことをしていると自覚してください。

――うーん。その「余計な動き」はどうして生じてしまうんでしょう。

浦 早く当てたいとか、球を上げたいという意識が原因の場合も多いですが、基本的には体、とくに下半身が止まっていることが元凶ですね。私は「ハンドファーストに打ちたい」という生徒さんに対しては、ひざから下のことしか言いません。ハンドファーストに打つためには、インパクトで腰が45度以上ターゲット方向を向いていることが絶対条件。ハンドファーストにならない人はだいたいこれが足りていません。そのインパクトを作るためには、右足を蹴ってめくればいいんです。「右のかかとを上げて打て」。ほぼそれだけですよ。

インパクトで腰が45度以上回っていることが条件

ハンドファーストにインパクトするためには体の回転が不可欠。インパクトで腰が45度以上ターゲット方向を向いていなければハンドファーストには打てない。「ハンドファーストにならない」と悩んでいる人の多くは回転不足だ

――浦さんがいつも言っている形そのものですね。

浦 そうですよ。だから普通に打っていれば勝手にハンドファーストになるって言っているんです。一応細かいところを説明しておくと、右ひざ、右腰、右肩全部がそれぞれボールに近づいた状態でインパクトすること。後方から見ると下の写真のようにボールに向かって矢印が集まる感じ。この形をアドレス→インパクトと作ってみれば、いやでもハンドファーストになっています。一部、体の柔軟性が高い人は、右かかとを浮かさずにこの形が作れますが、かなり窮屈なので普通の人はかかとを浮かせましょう。最後に、私がやっているアイアンの練習法をお教えします。ボールの手前に印をつけて、そこにソールを落とすイメージでスウィングする練習。ぜひやってみてください。

右肩・右腰・右ひざを
全部ボールに近づける

ボール手前に“ソールから”ヘッドを落とすイメージ

浦さんはボール手前にソールを落とすイメージでアイアンを打っているという。その感覚を養うにはボールの手前に印をつけて練習するのが効果的。上から打ち込む意識も手元を先行させる感覚も不要。リーディングエッジやフェース面ではなく、ソール面を意識して練習するのがポイント

浦大輔
うらだいすけ。身長171cmで420Y飛ばす飛ばし屋にして超理論派。東京・赤坂で√d golf academyを主宰

月刊ゴルフダイジェスト2021年11月号より