【脱! カット軌道】<基本編>「スライスも出るしチーピンも出る……」それ“カット軌道”が原因です!
スライスも出るが、たまにチーピンも出る……。実はこれ、どちらも「カット軌道」が原因であるケースが多い。真っすぐ飛ばないだけでなく、飛距離のロスにもつながるなど、過度なカット軌道は百害あって一利なし。そこで今回は、諸悪の根源であるカット軌道を修正するための方法を教えてもらった。
TEXT/Daisei Sugawara PHOTO/Takanori Miki、Hiroaki Arihara ILLUST/Masafumi Ohno THANKS/キングフィールズGC、千葉よみうりCC
解説/目澤秀憲コーチ
めざわひでのり。松山英樹のコーチとして一躍話題に。データと感覚を融合させたレッスンが持ち味。河本結や有村智恵の指導も行う
「カット軌道」とは……
ターゲットに対してアウトサイドインで振ること
カット軌道とは、ターゲットラインに対してヘッドが外から入ってくることを指す。アマチュアにもっとも多い軌道と言われ、さまざまなミスを招く原因になる
ゴルファーの7割が
カット軌道だった
千葉よみうりCCの1番ホール。ティーオフするアマチュアのスウィングを弾道計測器で分析してみると、実に70%以上の人が「カット軌道」でインパクトしていることがわかった。松山英樹のコーチで、アマチュアの指導実績も多い、目澤秀憲コーチによると
「アマチュアの方はアウトサイドイン軌道で振ることが圧倒的に多いです。クラブパスに対してフェースが開くとスライス、閉じると引っかけになります」
カット軌道はスライスだけでなく、引っかけの原因にもなるということ。そしてカット軌道になる最大の理由が、切り返しで上半身から動くことだという。
「下半身から切り返すと、上体とクラブが遅れて下りてきて、自然にイン-アウトに振れますが、上半身から動くと、その時点でカット軌道確定です」
ボールに当てたい思いが
上半身の力みを生む
50人中38人がカット軌道!
弾道計測器「フライトスコープX3」でゴルファー50人のヘッド軌道を測定したところ、38人がアウトサイドイン軌道だった。38人のインパクト前後の軌道の平均値は5.4度左向き。大きなスライス弾道の人が多かった。
角田 彰さん(65歳・平均スコア85)
軌道/3.7度(左)
スピン/3308回転
ヘッド速度/40.7m/s
飛距離/210.3Y
細谷柾徳さん(28歳・平均スコア95)
軌道/8.4度(左)
スピン/4777回転
ヘッド速度/44.8m/s
飛距離/233.4Y
カット軌道だと「飛ばない」「曲がる」
【カット軌道のデメリット1】
スライスが出やすい
フェース向きに対してヘッドがアウトから入るとスライス回転がかかる。フェース面がターゲットにスクエアに当たったとしても、ヘッドがアウトサイドインに動いていれば、スライスになる
【カット軌道のデメリット2】
スピン量が増えて飛距離をロスする
カット軌道は入射角が鋭角になりやすく、かつフェースが開いて当たりがちなので、スピン量が増える傾向にある。必要以上にスピン量が多いと、推進力より浮く力が大きくなってしまい、飛距離をロスしてしまう
【カット軌道のデメリット3】
左へのミスも出る
ボールが打ち出される方向はフェース向きによって決まる。同じカット軌道でも、軌道に対してフェースが開いていればスライスになるが、軌道に対してフェースがスクエアなら左に真っすぐ、それよりもフェースが閉じていると左に出て左に曲がる球(チーピン)となる
カット軌道を直すには
下半身から動くこと
目澤コーチによると、カット軌道を防ぐうえで大事なポイントは「下半身リード」。よく聞くワードだが、実際にやろうとしてもなかなか上手くいかないもの。
「切り返しで下半身から動き出せない人は、上半身と下半身の『分離動作』が苦手です。たとえば、アドレスの姿勢から、腕を胸の前でクロスさせ、上体をまったく動かさないで、腰だけを回せるかどうか、やってみてください。腰の動きと一緒に上体も回ってしまう人は、分離動作が不得意ということです」(目澤)
上半身と下半身を「分離」させられると、正しい順序で体を動かしていくことができる。
「先ほどもお話したように、切り返しで上半身から動き出してしまうと、カット軌道になりやすい。左の骨盤から胸、肩、そして腕と下半身から順序よく体を回していくことで、腕があとからついてきて、ヘッドが背中側から下りるような動きになります。こうすると、自然とインからヘッドが下り、カット軌道を防ぐことができます」
下半身から動き出せば
自然とヘッドがインから下りる
CHECK 1
腰だけを回転させられる?
CHECK 2
スプリットハンドで真っすぐ打てる?
>>カット軌道の直し方・田村尚之プロ編
月刊ゴルフダイジェスト2021年11月号より