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【通勤GD】時松隆光プロを育てた異次元打法「みんなの桜美式」Vol.34 シャフトは「先調子」で。 ゴルフダイジェストWEB

今週の通勤GDは「みんなの桜美式」Vol.34。

【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

ゴルフ向学者
たけひさ先生
篠塚武久・73歳。福岡市で「桜美ゴルフハウス」主宰。福岡大学の大石迪夫教授と作り上げた「OSゴルフ理論」で多くのジュニアが結果を出す。「テンフィンガー研究ははや20年。今後『分担型グリップ』時代がくることを確信

前回のお話し

ジュニアは
先調子を選ぶ

篠塚 今回も「デジタルスウィング」の面白い効果についてお話しましょう。クラブのシャフトの性能には、「先調子」や「元調子」がありますよね。

GD はい。シャフトの最もしなるポイントを示した言葉ですよね。「先調子」なら、ヘッド寄りの部分がよりしなり、「元調子」なら、グリップ寄りの部分がよりしなるという。

篠塚 その「先調子」と「元調子」、アマチュアのみなさんは勘違いをして選ばれているように思えることがあります。シャフト選びの際、多くの人は自分の体の動かし方を中心に考える。たとえば、タメを効かせつつ、素速い腰のキレで打つようなタイプは、「元調子」だと振り遅れてしまうのを嫌い、手元が硬めで先がよりしなる「先調子」を選ぶ。反対に、体を使って、腰のキレよりもボディターンで打つタイプは、シャフトのしなりを大きく使いたいので、先よりも手元が軟らかめでよりしなる「元調子」が合うと思っている。しかし、「桜美式」では、これまでのそうした常識とはまったく異なる視点から、ジュニアたちは「先調子」を選んでいます。

GD え? 「桜美式」は体をねじらないことで有名ですから、体をゆったり使ってシャフトを大きくしならせる「元調子」がいいのかと思っていました。

篠塚 いいえ、そもそも「桜美式」では、体の動かし方の違いによって、「先調子」か「元調子」かを選ばせてはいません。体とは、いかようにも動いて変化してしまう不確実なもの。位置や角度や速度など、どこかがほんの少し狂ってしまえば、同じ動きを再現できず、とても曖昧。それに合わせてクラブ選びするなど、アナログ的な古い発想です。たとえば前述した腰を切るタイプが「先調子」を使えばいいかというと、一概に言い切れない。体の動かし方は安定しないので、シャフトがどこでよりしなろうと、球の飛び方も当然、不安定なまま。つまり、1.体をどう動かすか、2.道具をどう使うか、という順番だと、曖昧さが基盤になるので、いつまでも上達できないんです。

GD 「桜美式」はそれが逆?

どうすればクラブで
上手く球を打てるのか

篠塚 自分の体の動かし方を優先させてしまうのではなく、不変なもの、確実なものを基盤とし、それをどう動かすかをイメージする。それに体が自然と反応すればいい。先程とは逆で、1.道具をどう動かすか、2.体をどう使うか、という順番がいい。竹ぼうきで掃除するのに、誰も体の動かし方なんて考えない。まず竹ぼうきを握って特徴を知り、どうすれば落葉を上手くはけるかをイメージして体を反応させているだけでしょ。

「シャフトとヘッドを分担して考えられ、シャフトを振ればヘッドが当たるイメージができます。『先調子』のシャフトが合うのもわかるでしょ」

GD ゴルフも同じで、どうすればクラブで球を上手に打てるかが先なんですね。

篠塚 そのとおり! 実際にうちのジュニアにやってもらいましょう。まずは、シャフトの先のほう、ヘッドが取りつけられているソケットのすぐ近く、よくしなる部分に目で見てわかりやすいようにシールを貼る。そのシールの位置を支点と考え、そこからヘッドがくるくる回るイメージで振ってみる。すると、ジュニアの脳は柔軟ですから、ヘッドがピュンと勝手に走って球を拾い、力まずとも飛んでいってくれることを体で覚えてしまう。これは私が作った道具、「デジタルくるくるヘッド」の代わりにもなります。道具がない方でもイメージできる。道具という確実なものを基盤にしたデジタルスウィングだから、うちのジュニアは毎回同じようなスウィングができる。デジタルはコピーが簡単でしょ。そして、このイメージで考えると、デジタルスウィングは、「先調子」のクラブが合うのもわかるでしょう。

「シールを貼った場所で打つイメージ(支点と考える)をするだけで、クラブの動きが変わり、自然に体の動きも変わって、球の高低が打ち分けられる」

低い球
ヘッドが回転する円が大きくなるので、球が上がらない

高い球
ヘッドが回転する円が小さくなるので、パッと球が上がる

GD シャフトにシールを貼ってイメージするだけ。面白い。確かに、先生の「デジタルくるくるヘッド」こそ、ある意味先調子のクラブですよね。

篠塚 そして、次に、シャフトの中間あたりにシールを貼り、その場所を支点に、そこが当たることをイメージして打ってごらん、と。すると、これがとても興味深いことに、クラブの動きが変わるので、体の動かし方も自然と変わり、同一のクラブであったとしても、球の高低が実際に打ち分けられる! シャフトの先にシールを貼ったジュニアは、弾道が高い。シャフトの中間にシールを貼ったジュニアは、弾道が低いでしょ。

GD ホントだ! 体の動かし方を作り込むのではなく、道具に貼られたシールをイメージするだけで、こんなにたやすく高低を打ち分けられるなんて!

篠塚 読者のみなさんも、ぜひ練習でシールを貼ってイメージし、デジタルスウィングのイメージだけでなく、高低の打ち分けを楽しんでみてください。「道具が先で体が後」、その意味を体感できるはずですし、人間という機械はイメージで動きが変えられることもわかるはず。それを利用すればゴルフがもっと楽しくなりますよ。

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