★【アイアンショット】マネジメントと技術が試される。グリーン面が見えないところから、4打以内で確実にオン!
距離感がなかなか出しづらいグリーン面の見えないホール。「とりあえずピン方向」が大きな落とし穴。そんなホールでダボを打たないための極意を日下部光隆プロに聞いた。
集めた情報を基に徹底した
「危険回避」を考える
グリーン面が見えない打ち上げのホールを、日下部プロはどう攻略するのか。ピンは右奥で、距離は打ち上げ入れて138㍎。打つ前に大事なのはレーザー距離計などを使った情報を集めておくこと。情報収集はいわば見えないグリーン面の『見える化』で、これで不安感を軽減する。
手にしたのは9Iで、ピン方向ではなくグリーンセンターに向けてかまえる。右サイドはバンカーがあって危険だが……。
打球は低めの弾道のつかまったドローで、ピンより左のグリーンセンターで止まった。日下部プロはどういう意図でこのホールを攻めたのか。
日下部 この状況で一番怖いのはミスをして右手前のバンカーや左奥に外すことです。それを避けるために、マネジメント面と技術面の両方を考えてショットしました。
そのマネジメントと技術をもう少し詳しく日下部プロに聞いてみよう。
マネジメントと技術が凝縮された1打
ショットまでの流れ
●まずはボールからピンまでの距離を測る
●ナビを見てグリーン周りをチェック
●グリーンの拡大図を見てセンターまでの距離を把握
●番手と打ち出す目標を決める
●すべてが決まって打つ
2打目の条件
●ライは良好
●左足上がり
●打ち上げ10㍎
グリーンセンターまで打ち上げを入れて130㍎の距離を普段はPWだが、9Iでの8割ショットで、PWと同じ距離を打つ。打った球は、つかまった低めのドローボールで、グリーンを捉えてからセンター付近で止まった.
【マネジメント】
どんな状況でもセンター 狙い
―― 日下部プロが勧めるグリーン面が見えない打ち上げホールの狙い目は、グリーンセンターだ。
日下部 打ち上げは基本的にアドレスで左足が上がっている状態なので、普通に打つとボールはつかまりやすくなります。しかしその一方で、グリーン面が見えないことにより球を上げたくなるから、体重が右に残り手元が浮き、ぺらぺらと右に飛ぶ球が出ることあるわけです。
―― つまり、「打ち上げ」を考えれば球はつかまり左奥へいくが、「グリーンが見えない」ことの影響が出れば、球は右手前に落ちることになる。そこで、このふたつの可能性を見越したうえでの狙いどころが「グリーンセンター」になるわけだ。
(左)【無理に飛ばそうと振ると…】
引っかけて下りのアプローチが残る
「この番手がちょうどなはずだけど、ちょっと遠く感じるなぁ」と考えて飛ばそうという気持ちが大きなひっかけに。目一杯振ることが大きなミスの原因に
(右)【ピンを狙って右に外すと…】
難しいバンカーショットが要求される
ピンを狙いにいって右に外してしまうとアゴの高いバンカーに。出すことが最優先となるバンカーは、ボギーで上がれるかも怪しいところ
日下部 グリーンのセンターを狙えば、少し右に出ても右手前に乗るし、ひっかけてもグリーンの左奥に乗ります。あとはそこから3打以内で終えればダボは回避できますよね。
なぜセンター狙い?
アイアンショットのミスを目標でカバーする!
下図のように、グリーン面が見えないホールでピンが右奥に切ってある場合、ショットの狙い目はグリーンセンターだ。
日下部 左足上がりの影響で球がつかまった場合はピンに横並びの左サイドに。グリーン面が見えない影響から球を上げにいった場合でも、結果は右手前で次のパットはやりやすい。このように目標をピンからセンターに変えることで、ちょっとしたミスも許容範囲内に抑えることができます。似たような状況になればまずは試してみてください。
グリーンが細長いときは…
無理に狙わずセーフティゾーンへ
グリーン面が縦に長いホールは基本的に横幅が狭い。無理に狙うとグリーンを外れて難しいアプローチが残る。その場合は見えているセーフティゾーンに向けて打ち3オン2パットのボギーでよし。
【要チェック】コース上にあるヤード杭は必ずスタート時にチェックしよう
セルフプレーの場合、スタート前にヤード杭の距離はセンターまでかエッジまでかの距離を把握しておこう。キャディマスター室で聞いておくと、その場に来て慌てずに打てる。
【技術】
左足体重で打ち球を斜面に突き刺す
―― グリーン面の見えないホールでは、高い球でピンの根元に打ちたくなるがこれは煽り打ちになるのでダメ。
日下部 この状況はマネジメント編で言ったように、センターまでのちょうどいい番手でグリーンを狙うのがベストです。ライナーを打つイメージで、目線はピンではなく手前の土手に向け、そこに打球を突き刺す気持ちで打ちます。
―― 目線と共に大事なのは左足だ。
日下部 打ち上げホールで上手く打ったのにショートをするのは、インパクトで微妙に右足に体重が残り、ロフトが開いているからです。そういう場合は、スタンスを狭くして、インパクトで『左足を重くする』というイメージで打ってみましょう。そうすると、ハンドファーストのインパクトを作ることができ、球はしっかりつかまってくれて打球もロフトなりの高さで上がってくれます。
グリーンをとらえる3つのポイント
【ポイント①】
スタンスはいつもより狭めに!
左足上がりでスタンスを広くすると右足に体重が残りアッパースウィングになりやすい。スタンスが狭ければ、右足に体重が残りにくくなるし多少体重が右に残ったとしてもバランスよく振れる。
【ポイント②】
目線は斜面の中腹に
目線を手前の斜面の中腹に向け、あそにボールを突き刺すというイメージで打つ。体が持ち上がらないと共に、フォローサイドが抑えられることで、手元が浮かないインパクトになりダフリやトップなどのミスも出にくくなる。
【ポイント③】
スタンスは右を向いてボールをつかまえる
グリーン面が見えない場合、センター狙いが基本。その場合、距離がピッタリの番手を持ち、スタンスだけ右を向く。打ち上げのホールだと、無意識に『つかまえにいこうとする』ので、ボールを上げにいくあおり打ちが抑えられる。またスウィングに緩みが出にくいので縦の距離感も合い、ちょっとしたミスでもグリーンをとらえてくれる。
ラフで沈んでいたら
フォローを抑えて8割ショット
―― グリーン面が見えないアイアンショットの、ライ別の打ち分けについて教えてもらおう。
日下部 グリーン面が見えない状況で最もやってはいけないのが、球を上げに行く打ち方です。その点、ラフに浮いている球は、球を上げるプレッシャーが無いので、この場合は、フェアウェイからのショットと同じで構いません。問題は、ラフに沈んだボールです。この場合のポイントは、低い球を打つ意識でフィニッシュまで振り切らないということです。振り切らなければ手元が浮きにくいので、煽り打ちやトップといったミスは減ってきます。10時のトップから4時のフィニッシュに向けた振り幅でコンパクトに打つことで、確実にボールにコンタクトすることができます。
―― グリーン面が見えないホールのアイアンショットを苦手としていた人も、このマネジメントと打ち方を身に付けることで、もうダボを叩くことはない!
打ったら終わりだるま落としみたいにドスン
グリーン面が見えないことでプレッシャーになり、悪いライから飛ばしに行こうとする人は多い。ココで大事なのは、確実にボールにコンタクトすることなので、ボールを少し内側に入れて打ったら終わりの打ち方で十分だ
8割ショットでフィニッシュはとらない
8割スウィングの鉄則は振り切らないことが大事。グリップを肩より高く上げないという意識でショットをすることで、インパクトでの手元の浮きがなくなる。これにより、確実にボールを飛ばすことができる
PHOTO/Tsukasa Kobayashi
TEXT/Masaaki Furuya
週刊GD9月22日号より
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