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重~い夏ラフからのアプローチは「芝目の向き」の見極めが大事! 重永亜斗夢の寄せワン術

PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/イーストウッドCC

夏の敵は暑さだけじゃない! セカンドでグリーン周りまで運んでも、密集した芝がアプローチの難度を極端に高めるのだ。そして重要なのは芝目の「向き」。しっかりと見極めて、夏ラフを攻略しよう!

解説/重永亜斗夢
しげながあとむ。1988年、熊本県出身。2014年に初シードを獲得してから、安定したプレーでシード権をキープ。2018年、東建ホームメイトカップで優勝。アプローチは“ ちょい上げ”が得意という。ホームメイト所属

【CASE1】順目のラフ

ボールが適度に浮いていて、芝の抵抗もほとんどなく、素直にやさしく打てる

最もシンプルな
ピッチ&ランでOK

GD 重くて粘っこい夏ラフは、どうすれば寄せられますか?

重永 夏芝は葉が強くて、密集しているので、芝目の向きによって難しさが大きく変わります。たとえば順目と逆目では、芝の抵抗がまったく違いますよね。そのため、芝目によって打ち方を変える必要があるんです。

GD 打ってから「逆目だった!」と気づくことがあります。

重永 まずは素振りで、芝の抵抗を確認しておかなければなりません。

GD 順目の場合はどうやって打てばいいですか?

重永 完全な順目の場合は、ボールが適度に浮いていて芝の抵抗も気にならないので、通常のピッチ&ランを選択します。芝目に沿ってクラブを振り子のように振って、サラッと払い打つだけです。スピンをかけるとか、上げにいくとか、特別なことをやってはいけません。上げるのが好きなボクでも、ここはピッチ&ランで転がします。それが、もっとも安全かつ確実に寄せられるベストな方法だからです。

Point 1
フェースを開かずスクエアに構える

「ヘッドとボールの間に芝がはさまらないので、フェースは開かずスクエアに構えてOK。ボール位置は体の真ん中、スタンスはややオープンです」

Point 2
振り子のように横から緩やかに払い打つ

「振り子をイメージして、横からヘッドを入れます。手がピン方向に出てしまうと、ヘッド軌道が鋭角になり、パンチが入って距離感が合わなくなりますし、最悪の場合ヘッドがボールの下をくぐってしまうことも。芝の抵抗がほとんどないので、低い位置からヘッドを入れていっても簡単に振り抜けます」(重永)

【CASE2】横目のラフ

ネックからトウに流れる横目は難度がアップ。逆方向の芝の流れならやさしい

バンカーショットのように
開いてドンッ

GD 続いて横目のラフです。たとえばネック側からトウ側に流れている芝目の場合、どんなことに注意すればよいでしょう?

重永 この横目は、ネックに芝がからみやすく、芝の抵抗が大きくなります。反対に、トウ側からネック側に流れる芝目の場合は、抵抗は小さくなるんです。いずれにしても、同じような芝目の場所で素振りをして、芝の抵抗を確認することが大切です。

GD 打ち方のコツはありますか?

重永 芝の抵抗が小さいトウ側からネック側に流れる芝目なら、順目のときと同じピッチ&ランでOKです。でも、ネック側からトウ側に流れる芝目の場合は、バンカーショットのように打ちます。

GD バンカーですか!

重永 ヘッドを上から落とす感じで、ボールの手前にバウンスを「ドンッ!」と強く当てていくんです。この状況でいちばんやってはいけないのが、ビビッてグリーンに届かないことですから、ピンを少しオーバーしてもいいつもりで、保険をかけて少し強めに打ってください。

Point 1
ヘッドが抜けやすいようにフェースを開く

「構えるときのポイントは、ヘッドが抜けやすいようにフェースを開くこと。ボール位置は両足の真ん中。バンカーのように強めに振るため、スタンス幅を少し広げてオープンに構えます」

Point 2
ボール手前の芝にバウンスを当てる

【CASE3】逆目のラフ

逆目のラフは、抵抗がもっとも大きくなる。ヘッドスピードを上げて振り抜く

勇気をもって
しっかり振り抜く!

GD 完全な逆目です。これはやっかいですよね。

重永 夏ラフでいちばん難しいアプローチですね。どうやって打ってもボールとヘッドの間に芝がはさまるので、ある程度、ヘッドスピードを上げて、振り抜いていかないと、まったく飛ばないということも起こります。

GD うっかり「二度打ち」してしまうこともあります。

重永 横目のラフ同様、まずは同じような逆目のラフで素振りして、芝の抵抗をしっかりと頭と体にインプットしておくことが重要です。

GD どうやって打てばいいんでしょうか?

重永 ここは頭を切り替えることが大切。ピッタリ寄せることより、しっかりヘッドを振り抜いて球を上げることに集中するんです。このとき注意してほしいのが、球を上げるといっても、特別な打ち方はしないこと。手前の芝ごと振り抜くイメージで、大きくゆったり振ることです。

Point 1
素振りで芝の抵抗を確認

「逆目は、ボールとフェースの間に必ず芝が挟まります。これが、逆目が難しい原因。素振りで芝の抵抗を確認したら、その抵抗に負けないようにしっかり振ります。芝の密度や長さにもよりますが、ボクは順目の2~3倍飛ばすくらいのイメージで振ることもあります」(重永)

フェースを開くことで芝の抵抗が減るとともに、ソールが滑りやすくなる

Point 3
緩めず、力まず一定のスピードで振る

Point 3
手前の芝ごとスパッと振り抜く

「逆目のアプローチは、ボールの手前の芝ごとスパッと振り抜いていくことが最大のポイント。インパクトで合わせにいってしまうと、思ったほどボールが飛ばずグリーンにさえ届かないことがあるので、思い切りのよさが必要です」

【CASE4】逆目の花道

バリバリの逆目は、エッジが突っかかって、思わぬミスが起こる要注意ライ

ヒールを浮かせてザックリ回避

GD 最後は花道なんですが、バリバリの逆目のところでリーディングエッジが引っかかって大失敗したことがあります。

重永 ピンが目の前にあって、しかも花道だと、失敗するとショックですよね。そういうときはウェッジのヒールをちょっと浮かせて打つ裏ワザがおすすめです。

GD ヒールを浮かせるだけでいいんですか?

重永 構えさえちゃんとできれば、誰でもカンタンにボールだけをクリーンに拾えます。長い距離は打てませんが、芝が薄いところやディボット跡、ベアグラウンドなどでも重宝しますよ。

Point 1
ヒールを浮かせてトウだけ接地させる

「SWのヒールを少し浮かせて、トウだけ接地させて打ちます。逆目の花道はもちろん、薄い芝やディボット跡でも、ボールだけを簡単に拾えます。少しでも噛むとミスしそうなときに使える裏ワザです」(重永)

Point 2
ボールの近くに立ちウェッジを吊って構える

「ボール位置は右足の前。ボールのすぐ近くに立つのがポイントです。SWを短く持ち、パッティングのように吊り気味に構えます。スタンスはオープン。これで準備OKです」

週刊ゴルフダイジェスト2021年7月27日号より