【動画あり】長尺に替えたらスウィングが良くなった! 小鯛竜也の開眼レッスン
PHOTO/Yasuo Masuda、Hiroaki Arihara、Tadashi Anezaki、Blue Sky Photos THANKS/高室池GC
全米プロに勝利したミケルソンがその手に握っていたドライバーは、なんとルールギリギリの47.9インチ! 長いとヘッドスピードが上がるのはわかるが、一方で振り遅れのミスが怖い。そこで、ドライバーを長尺化して飛距離アップに成功した小鯛竜也プロに、長尺を打ちこなすための秘訣を聞いた。
小鯛竜也
こだいたつや。1990年生まれ。大阪府出身。高校時代から谷川健コーチに師事し、2017年、マイナビABCでツアー優勝。46.5インチの長尺ドライバーで300ヤードオーバーをたびたび見せる
谷川健
たにがわけん。1971年生まれ。小鯛プロを厳しくやさしく教えるコーチ。03年から06年までPGAツアーの帯同インストラクターを務めたアメリカ通でもある
かる~く飛ばせて
スウィングも良くなる!
GD 長尺ドライバーで飛ばしている小鯛プロですが、いつから長尺にしたんですか?
小鯛 以前から興味があって、実は一昨年も46インチを試したんです。そんなとき、ベンタスシャフトと出合って、ひと振りでこれだ! って思ったんですよ」
GD 長尺にできる、と?
小鯛 そうです。それで、今年の頭から長尺にしました。シャフトを長くすると、普通はヘッドがもたつくんですが、ベンタスはスムーズに動いて、イヤなねじれがないんです。それと、46.5インチでもD4バランスなので気持ちよく振り抜けます。8割の振りでヘッドスピードはマックスです。
GD シャフトとの出合いがきっかけだったんですね。
小鯛 それと、長尺はスウィングがよくなるメリットもあるんです。
GD というと?
小鯛 手と体をシンクロさせて振る必要があるため、長尺を練習するほど、手打ちが直る、とも言えるわけです。
長尺にするメリット 1
スウィング弧が大きくなりHSが上がる
「現在使っている46.5インチと以前の45.5インチを打ち比べてみると、スウィング弧が大きくなるぶん、ヘッドスピードが2㎧上がり、飛距離が11Yアップ。叩きにいかずに、8割のスウィングで300Y飛ばせる感覚です」(小鯛)
ヘッドスピード | 飛距離 | |
---|---|---|
46.5インチ | 53.3㎧ | 301Y |
45.5インチ | 51.3㎧ | 290Y |
長尺にするメリット 2
振り子のエネルギーを使える
「クラブが長くなると、スウィングバランスも2ポイントくらい増えるため、いわゆるヘッドを利かせて、遠心力を使ってヘッドを加速させやすくなります。左右対称の振り子をイメージして振ればOKです」
長尺にするメリット 3
シャフトのしなりを使える
「シャフトが長くなると、シャフトのしなりが大きくなり、そのぶん、しなり戻りも大きくなります。すると、インパクト時のロフトが大きくなるため、飛ばしに有利な高弾道を打ちやすくなります」
長尺にするメリット 4
手打ちを矯正できる
「打ってみるとわかりますが、長尺は手先では振りにくく、手と体をシンクロさせて振らなければ当たりません。つまり、長尺を使えるようになると、スウィングがよくなるというメリットもあるんです」
2拍子の連続素振りで
理想の長尺スウィングが身につく
GD 長尺が飛ぶのはわかるんですが、ちょっと振りにくそうなイメージが……。いい練習法はありますか?
谷川 それなら連続素振りがいちばんです。
GD なぜでしょう?
谷川 連続素振りは、自然と体全体を使って振る感覚がわかってくるんですよ。
GD 手先では振れませんね。
谷川 フィニッシュから戻しながら「イ〜チ」、トップから折り返して「ニ〜イ」と、ヘッドが真下を通るあたりで声に出したり、頭の中で唱えたりして、2拍子のリズムで振るんです。3分間続けて、腕や腰が痛くならないスウィングを目指してください。
体全体で振る感覚がつかめる
「長尺を振りこなすには、体全体を使うことが必要です。そのスウィングを身につけるには連続素振りしかありません。フィニッシュから振り戻すときに『イ~チ』、トップから振っていくときに『ニ~イ』と2拍子で振り続けていくと、体全体で振るコツがつかめます」(谷川)
小鯛プロの連続素振りを動画でチェック
「小鯛プロは15分×2セットですが、みなさんにおすすめするのは3分間です。3分間振って、腕や腰などが痛くならないスウィングが、その人にとってベストの長尺スウィングなんです」(谷川)
スウィングのリズムは
歩くリズムと同じ
GD 連続素振りは2拍子という話でしたが、実際に打つときも2拍子ですか?
谷川 もちろんです。スウィングリズムは、歩くテンポとリンクするので、自分の歩きのテンポに合わせるのも、スウィングリズムを見つけることにつながります。
GD 大股で歩く人はゆったりしたテンポ、小股で歩く人はクイックなテンポが合う?
谷川 そうです。それと、手先で振れない長尺は、もっと足のチカラを使いたいところ。
GD 足のチカラですか?
谷川 そうです。歩きながら両手を左右に振るドリルがあるんですが、足のチカラを使うコツがつかめて、長尺を振るにはもってこいですよ。
谷川コーチおすすめ“欽ちゃん歩き”ドリル
後ろ足で地面を押しながら腕を左右に振る
“欽ちゃん歩き”ドリルを動画でチェック
アップライトに構えれば
腕とクラブが一体化
GD 長尺クラブはフラットな軌道で振るんですよね?
小鯛 実際には少しフラットになっているかもしれませんが、アップライトに振るイメージなんです。
GD それはなぜですか?
小鯛 手と体をシンクロさせる、と言いましたが、もっと言えば、腕とクラブを一体化させて振りたいんです。これができると、長尺を振っていても長く見えない。他の人から見て、長尺に見えなければ本物です。そのためには、アップライトに振るイメージで、少しハンドアップ気味に構えることが大切です。
Point 1
ハンドアップ気味に構える
Point 2
手と体をシンクロさせて振る
「長尺ドライバーでもっとも注意してほしいのは振り遅れです。体の回転が先行しすぎるとヘッドが遅れてフェースが開いてしまいます。そうならないためには、手と体をシンクロさせてスウィングする感覚が必要です」
アップライトな構えをつくる4ステップ
【STEP 1】
両腕をリラックスさせて、胸の前でクラブを真っすぐに立てる
【STEP 2】
クラブを前に倒し、前腕とシャフトを一直線に近づける
【STEP 3】
前腕とシャフトの角度を保ったままクラブを下ろす
【STEP 4】
股関節から前傾すると、アップライトなアドレスが完成
前傾角キープも忘れずに
GD 最後に、小鯛プロが長尺を振るときに、気を付けているポイントを教えていただけますか?
小鯛 いちばん重要なのは、左股関節を伸ばさず、体の前傾角を保ってインパクトすること。長尺には、これが絶対です。体が伸び上がると、振り遅れ確定ですよ。
Check 1
左股関節の角度をキープ
「クラブの遠心力によって体が引っ張られやすい長尺クラブは、左股関節を曲げたままインパクトすることが大切です。腰が伸びて体の前傾角が変わると、フェースが開いてしまいます」
Check 2
インパクトまで胸は下向き
アドレス インパクト
週刊ゴルフダイジェスト2021年7月20日号より