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頑固おやじのクラブ工房Vol.39 グリップを太めにチューンしたい! でも、バランスはどう合わせるの? 

グリップを太くしてくれっていうリクエストはたまにあるんだが、クラプ全体のバランスに影響を及ぼすんじゃないかって心配するお客が来たんだよ。今週の通勤GDは「頑固おやじのクラブ工房Vol.39」

知人のシングルさんのクラブを打たせてもらったら、グリップが太めですこく打ちやすかったんです。そこで、自分もグリップを太くしたいんですが、重量バランスはどうすればいいですか?(37歳・HC11・会社員)

グリップを太くすると
バランスが軽くなる?

「オヤジさん、グリップを太くするのって、下巻きを増やすのと、グリップ自体を肉厚のものに換え
るのでは、どっちがどうなんですかね?」

常連さんの甥っ子なんだが、月2のラウンドと週2の練習で、始めて3年ちょっとでシングル手前まで来たせいか、最近はやたらと新しいギアやスペックが気になるようなんだな。

「まあ、どちらも一長一短があるけど、なんだよ急に」

「この間、知り合いのシングルさんと一緒に練習に行って、ちょっと彼のクラブを借りて打ってみた
ら、グリップがやや太めだったんですが、すごく良かったんです! それで、自分も同じように太くしようと思ったんですけど……。気になるのが、重さ、というかバランスなんですけど、グリップを太くしたら手元が重くなりますよね? で、その加減を調整するのに下巻きを増やすのと、肉厚グリップを付けるのではどっちがいいのかな、と……」

なるほど。グリップが太く、重くなってバランスがC7とかになるとヘッドが効かなくなると思ってんのかな。

「なあ、バランスは全番手の振り心地を合わせるためのモノだろ。グリップが重くなってバランスの
数値が軽いほうに動いても、関係ないんだよ」

「エッ、そうなんですか?」

「番手ごとのシャフト長さに応じた、ヘッドの重さが最初にある。グリップは最後でいいんだ」

グリップを決める
2要素重視で選ぶ

奴さん、またオイラが変なことを言い出した、みたいな顔をしてたから、少し説明してやったよ。

「ヘッドはインパクトで当たり負けないのに十分な重量がありつつ、シャフトの長さに応じてスピ
ードが最高に乗りやすい軽さが欲しい。そのせめぎ合いで、適正な重量は物理的にほほ決まる。その
意味では、シャフト重量は軽いほどいいんだが、強度やフレックスの関係で、そこそこの重量にな
る。さて、グリップは? 実は、これはスウィングとの兼ね合いで考えれば、重くても軽くてもいい
んだよ」

以前、グリップを重くする、いわゆるカウンターバランスにするとヘッドをコントロールしやすい
とか、ヘッドが走るとか言われたがね。実効があったら、今でも採用されているはずさ(笑)。

「グリップが重くて手元が浮きにくくなる、というのは?」

「それなら、重い腕時計でもしたほうが効くだろうよ。それより、グリップは太さ·硬さの2要素を、どう自分に合わせるかが大事。ヘッドを軽く感じつつ、シャフトのしなり、フェース向きを感じ取れるようにできるのは、このふたつの兼ね合いなんだ」

グリップの理想は、軽く握っても滑らず、コントロールが効くこと。それには、テーパーやバック
ラインも含めた太さの形状と、コード入りや素材の違いが生む硬さが重要。このふたつを微調整できるという点では、肉厚を換えるより下巻きの増減のほうがいい。

「でも、グリップを太くすると、ヘッドが軽くなるように感じたんですが……」

「それでいいんだ。手元でグリップの収まりが良くなれば、ヘッドが同じ挙動でシャフトをしならせ
ても、軽く感じるはず。そうなれば、さらにグリッププレッシャーが下がるんで、好循環になる。長
尺クラブをあえて短く持つ、なんてのも似たようなことだよ」

逆にヘッドを感じたい人はグリップを細くするといい。シャフト選びと同様、5、6番アイアンでいろいろ試してみるといいよ。

月刊GDより(2015)(イラスト/コーチはじめ)