Myゴルフダイジェスト

  • ホーム
  • レッスン
  • 時松隆光を育てた異次元打法「みんなの桜美式」Vol.35 スクエアは「する」ではなく「なる」

時松隆光を育てた異次元打法「みんなの桜美式」Vol.35 スクエアは「する」ではなく「なる」

テンフィンガーグリップを始めとした斬新な理論で、時松隆光プロをはじめ数多くのゴルファーを上達に導いてきた「桜美式」の篠塚武久氏が、その教えを余すところなく公開!

篠塚武久
73歳。福岡市で「桜美ゴルフハウス」主宰。福岡大学の大石迪夫教授と作り上げた「OSゴルフ理論」で多くのジュニアが結果を出す。「テンフィンガー研究ははや20年。今後『分担型グリップ』時代がくることを確信

真っすぐ飛ばすって?

篠塚 時松くんの素晴らしさは、とにかく球を曲げないこと。今回のテーマも、彼を見習って徹底的に曲がらない「デジタルスウィング」を学んでいただきます! スコアメークに何より重要なのは、ショットを狙いどおりに運ぶこと。「桜美式」のジュニアたちはそれを大前提としているから、100以上も叩く大人のプレーを、なぜあんなに苦労しているんだろう? と不思議そうに見ている。

GD 「桜美式」のジュニアたち、実に簡単そうに真っすぐ飛ばしているのが、羨ましい!(笑)。

篠塚 これまでの古い「アナログスウィング」では、球が曲がってしまう方法を教えられているようなもの。しかもその曲がってしまう根本要因をそのままに、体の部分的な動かし方ばかりに着目させ、堂々巡りをさせている。つまりゴルフにおいては、球は曲がって当たり前、上達するのに時間がかかり、たくさんの練習が必要ということになっている。

GD 「球が曲がってしまう方法」をやらされてきたんですか。

篠塚 なぜ球は曲がるのかを考えてみる。球がフェースと当たる瞬間だけ、スクエアにとらえられればいい、という発想がアナログスウィングにはある。すべてがその「タイミング」をつかむための練習となり、連日練習場で球を打ち込み、真っすぐ飛んだ、また曲がった、と一喜一憂する。タイミング重視の考え方は、ヘッドというのはシャフトを中心に扇状に回転運動をし、フェースはオープンからスクエア(ここにインパクトをそろえようとしている)、そしてクローズと、ローテーションさせるものだという概念があるから。だから、上体をねじり、上腕をねじり、そのねじり戻しで、ヘッドの回転運動を起こそうとさせているんです。

GD 確かにいかにインパクトでスクエアに合わせるかをいつも考えます。そしてこのタイミングが難しいんです!

篠塚 「桜美式」のジュニアたちには、インパクトでスクエアに、などというタイミングの話など教えたことはありません。それどころか、ジュニアたちはスクエアという言葉さえ知らないかもしれない。なぜなら、そんなことを気にせずとも、「デジタルスウィング」なら、スクエアに当たってしまって当然だから。アナログが「球が曲がってしまう方法」を教えているなら、うちでは「球が真っすぐに飛んでしまう方法」を教えているということ。体の動かし方も、うちのレッスンには不要です。この道具を見てください(写真①)。

GD これ、以前教えていただいた、「刀打法」で使用した道具ですよね。ん? その刃先に、「くるくるヘッド」がついています!

篠塚 そう、「刀打法」をさらに改良し、「デジタルスウィング」と合体させました。「デジタルスウィング」は、ヘッドとシャフトを分割し、「打つ」のではなく、シャフトを「振る」ことが大原則でした。それに加え、シャフトを「刀」にするイメージで、より「打つ」動きが減ります。ジュニアたちのスウィングに、軽やかさ、滑らかさのみならず、鋭さ、ブレのない正確性が加わりました。

GD 刀になっているシャフトを「振る」。そして、「くるくるヘッド」は勝手に球に当たってくれる、というイメージですね。

篠塚 刀で球を「切る」イメージがあれば、より上体や上腕をねじろうとしなくなる。ねじったら刀がうねって球を切れません。そのためには、時松くんはもちろん、「桜美式」のジュニア同様、握りはナチュラルグリップのテンフィンガーが理想。右手のひらを上に向け、刃と平行に握るグリップなら、刀の刃が、常に球を切る方向を向いている(写真②)。タイミングなどとは無関係のスウィングができる。

GD 刀で「切る」意識で、あとは「くるくるヘッド」に任せてしまうんですね。確かにヘッドの回転運動などという難しいことは、しようとは思わなくなります。そして、この道具を振ったままのイメージで、実際にクラブで球を打ってみると、インパクトの感触がないほどスムーズで、しかも、真っすぐ飛んでくれました!

篠塚 簡単でしょ? アナログは曖昧で再現性が低い。上体や上腕をねじり、ねじり戻してスクエアの瞬間のタイミングをとらえるなんて、人の書いた文字を真似して何度も同じように書こうと四苦八苦するようなもの。デジタルは明瞭で再現性が高い。上体も上腕もねじらないから、いつでもスクエアを保てる。インパクトのタイミングなんて関係ない。これをたとえるなら、デジタルの文字を、何度もコピー機で印刷するかのように、とてもシンプルで簡単です。ぜひみなさんも、家に木刀などがあれば、刀のイメージと握り方、そして刃先に「くるくるヘッド」を想像して、気持ちよく振ってみてください!