時松隆光を育てた異次元打法「みんなの桜美式」Vol.37 初心者こそ「デジタルスウィング」!
テンフィンガーグリップを始めとした斬新な理論で、時松隆光プロをはじめ数多くのゴルファーを上達に導いてきた「桜美式」の篠塚武久氏が、その教えを余すところなく公開!
篠塚武久
73歳。福岡市で「桜美ゴルフハウス」主宰。福岡大学の大石迪夫教授と作り上げた「OSゴルフ理論」で多くのジュニアが結果を出す。「テンフィンガー研究ははや20年。今後『分担型グリップ』時代がくることを確信
初心者のように頭をすっきりと!
篠塚 初心者にこそ「デジタルスウィング」をオススメしたい、というお話をしましょう。
GD いきなり初心者に、ですか?
篠塚 どうやら何年もプレーしている大人は、旧来の「アナログスウィング」に固執して、新しい「デジタルスウィング」を疑っている節がある。ところが初心者の、しかもジュニアだと、すぐに振り方を覚えてあっという間に順応してしまう。すでに液体が入っている大人のコップに、新たな液体を注いでもこぼれてしまうだけ。初心者のコップはまだ余計な液体で満たされていない。古い先入観、常識だと思わされてきた固定観念がなく、すっと新理論を受容してくれる。先日うちの道場に、まったくの初心者の7歳の女の子がやってきて、最初から「デジタルスウィング」にトライしてもらいました。
GD 初心者の7歳がいきなり「デジタルスウィング」を?
篠塚 ①グリップは自然に10本の指で握る。②体の各部位のカタチなんて気にしない。③球にスクエアに当てられるかなんて関係ない。④ただシャフトを棒だと思って「振る」。⑤ヘッドはシャフトから分離していて勝手に球に「当たる」と思う。それだけを伝え、例の「くるくるヘッド」のクラブを与え、さあ、打ってごらんと。いきなり打席で球を打ってもらいました。
GD カタチは教えず、イメージだけで、いきなり球を?
篠塚 すると、私もびっくり。シャフトをピュンと力を入れずに振り、回転するヘッドをくるりと走らせ、それは見事に球を打ったんです。これには連れてきたお父さんが驚いてしまって、これ本当にうちの娘ですかと(笑)。しかも、ほんの数回打っただけで、球は勢いよく飛ぶし、しかも曲がらない。娘がまるで魔法にかけられたみたいだというアマチュアのお父さんは、スコアで娘さんに抜かれてしまうのも時間の問題でしょう。
GD そんなに簡単に初心者の7歳が球を打てるようになるなんて。
篠塚 大抵は最初にカタチを教え込まれたアマチュアが球を打つと、大きなスウィングで空振りするか、ミスショットです。不自然に指を重ねたグリップと、不自然にねじらされるフォームとで、クラブを必要以上に振り回しますから。ゴルフって球に当てることすら大変なんだと、最初に痛感させられることからスタートです。これではゴルフは間口が狭いスポーツのままで、よほど運動神経がいい人しか上達することができない。私は、初心者にこそ、ゴルフなんて簡単なスポーツなんですよ、ある程度まではスイスイ上達できて、すぐにラウンドを楽しめるようになりますよと、伝えたいんです。
GD だからこそ、いきなり初心者から「デジタルスウィング」を試してほしいと。
篠塚 大人の意識を変え、コップに注がれた古い液体を捨てて、新しい液体を注ぐ作業も、もちろん大切です。しかし、これから始めようと思っている初心者には、できるだけ上達を早めてあげたし、パーシモン時代から引きずっている古い不自然な理論を教えることで、いらない苦労をさせたくない。もし、初心者がみなさんの周りにいたら、カタチを教えてしまうことで、豊かな可能性をがんじがらめにしてほしくない。まずは右ページの図を見せてください。うちへ来た7歳の女の子にも、これを見せましたよ。
GD シャフトを振る方向に、「くるくるヘッド」が従って、同じ方向に回転する、という図ですね。
篠塚 体をねじってヘッドを扇状にターンさせ、フェースをスクエアに戻す瞬間にどう球をとらえるか、というのが「アナログスウィング」の考え方です。この図のように、肝心なのは、体をどう動かすかではなく、シャフトを飛球線方向に振るということに集中する。それと、同じ方向にヘッドが自然と回転し、結果的に球に当たってくれるというイメージを持つことです。7歳の女の子の「デジタルスウィング」は、トップが小さめで、フィニッシュも小さめなのが特徴。決してカタチを教え込まれた初心者のようには振り回さない。それでいて、体ではなくヘッドに仕事をさせようという無意識の効率の良さにより、力まずともヘッドを走らせて真っすぐ飛ばせている。
GD 無意識の効率の良さ、確かに力みがなく、無駄が省かれている感じが見受けられますね。
篠塚 体のカタチや動かし方、次に道具があっての、イメージはオマケ程度では、いつまでも曖昧に動く体に頼る「アナログスウィング」から脱却できない。イメージは嘘をつかない。道具は変化しない。それに体が従うだけで飛ばせます。みなさんも、まず図を見てイメージしてから、「デジタルスウィング」にトライしてみてください。