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【スウィング解説】「下半身からの動きの連鎖が素晴らしい」“兄弟子”が語る笹生優花のドライバー

力強いスウィングで圧巻のショット力を誇る笹生優花。そのスウィングの特徴について、ジャンボ軍団の“兄弟子”にあたる小山内護に解説してもらった。

PHOTO/Hiroyuki Okazawa


解説/小山内 護

おさない・まもる。1970年生まれ。ジャンボ軍団きってのロングヒッター。レギュラー時代にはツアー通算4勝を挙げ、昨年シニアデビュー。ジャンボ邸に通う笹生にアドバイスを送っていた

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地面のチカラを回転力に転換

優花のいいところは、地面からの反力を利用して、それを回転に変換できるところだよね。普通の人は踏み込みが弱くて、切り返しからいきなり回転運動になっちゃう。それが優花の場合は、まず踏み込む力がめちゃくちゃ強くて、それを一瞬ググッとためてから、ドカーンと地面を蹴って回転してる。極端に言うと、ジャンプしているような感じだよね。それでも上体が起き上がらないところがすごいんだ。


普通にジャンプすると、当然、体は浮き上がる。でも、優花のダウンスウィングからフォローにかけてを見ると、ジャンプしているのに、頭の位置はむしろ下がっている。これって意識してもなかなかできるもんじゃない。相当筋力が強くて、柔軟性もあるんだろうな。

ダウンスウィングに入ったときに、上体の面は下に向けておく。そうすると下からの突き上げに対して、上から押さえつける形になるから、逃げ場がなくなったエネルギーが強烈に回転の力に変換される。優花でも疲れてくると体が起き上がってきちゃうことがあるから、それが課題かなと話していたんだ。

全米女子オープンでもときおり上体が我慢できないようなときがあったけど、最後まで自分のスウィングをやり切っていたよね。まだまだ改善して飛ばせる要素があるから、この先さらに楽しみだよ。

下半身から順序よく動いている

優花のスウィングを間近で見ていて凄いなと思うのは、基本的なことだけど「足から動かせている」ということだよね。人間ってやっぱり手先のほうが器用だし、脳に近い手のほうが動きやすいと思うんだ。でも優花の場合はサッカー選手みたいに、脳から一番遠い足から動かせてそれをパワーにつなげられる。スウィングの始動も下から、打ちに行くのも下から。テークバックで下半身から順繰りに動かしてぎりぎりまでパワーをためて、ダウンスウィングでもまた下半身から順繰りに動かしてクラブヘッドを一気に走らせている。

優花に言っていたのは、「下半身が先に回って、右にミスするのはOKだけど、左にミスするのはダメ」と。実際、下半身が先に回っていれば、ダウンスウィングで「右に行きそうだな」と感じた瞬間に、手がバーンと振れて追いつくから、結局、あまりミスにならないんだよ。

最終日は下半身が止まったショットがいくつかあったけど、それでも最後までもったのは、やっぱりお父さんと子供のころからやってきたトレーニングのたまものだよ。ジャンボさんも初めて優花を見たとき、「この下半身は簡単に作れないぞ。どんな練習したんだ?」と質問攻めにしていたっていうからね。俺も何度かアウトドライブされているから、うかうかしていられないね(笑)。

週刊ゴルフダイジェスト2021年6月29日号より