【寺西明の急がば回るな!】Vol.6「“自分理論”を作る」
寺西明「急がば回るな」
30歳からゴルフを始め、シニアツアーの賞金王にもなった寺西明が、自身の失敗をもとに、スクラッチプレーヤーを目指す全てのゴルファーへ「最短で72を出す」ためのメソッドを伝えていく。今回は自身が長く続ける練習法について語る。
TEXT/Kiyoshi Ogiku PHOTO/Yasuo Masuda
今回は、72を出すための心得についてお話ししたいと思います。まず、ボクは72というスコアを実現するには、自分を作ることが大切だと考えています。
自分を作るというのは、自分オリジナルのスウィングやゴルフ理論を確立するということです。
基本的に、自分で気づき、自分で作り上げたものしか、本当の意味で自分の力にはなりません。だからこそ、72という大きな目標を達成するには、自分を作ることがとても大切なのです。
たとえば、ボクの知人に、74は出したことがあるけれど72の経験がない、という人がいます。それはゴルフが大好きで、研究熱心で、いつもゴルフ理論の話ばかりしているような人です。
70台前半で回れるのですから、一般的なゴルファーから見たら十分に上手いのですが、彼は、「あのプロはこう言った」「あのプロはこうしている」と、いつも人の話ばかりしていて、自分自身のゴルフ理論がない。
ここに、彼が72で回れない大きな原因があると、ボクは考えています。もちろん、いろいろなスウィング理論を試すのは楽しみのひとつですし、いろいろなプロを参考にするのも、決して悪いことではないと思います。
でも、どんなプロの理論も、しょせん、他人の理論であることに違いはありません。自分の体は自分だけのもので、他人とは違うのですから、モノマネをしているだけでは、本当の意味で自分の武器にはならない。
72で回ろうと思ったら、やはり自分オリジナルの理論を完成させる必要があるのです。

継続することで自分自身が見えてくる
では、具体的にどうしたら自分オリジナルの理論を作ることができるのか?
これについては、すでにこのページでお伝えしてきたとおりです。パッティングであれば、パッティングレール(レール型の練習器具)を使って真っすぐの2mに絶対的な自信をつける。
同じ2mでも、スピードを変えて入れる、カップの右縁、左縁から入れる、カットに打ったり、インサイドアウトに打ったり、芯を外して打ちながら入れる。
アプローチであれば、10Y、30Y、50Y、70Yを、低い球、高い球、スライススピン、フックスピンを打ち分けて狙う。
ショットであれば、フック、スライスを3段階の高さで打ち分ける(その中で一番得意な球を自信球にする)など、こういう練習を少しずつでいいから、毎日ずっと続けていくのです。
実際にやってもらえばわかるのですが、こういう練習を続けていくと、球をコントロールする力がアップするだけでなく、さまざまな感覚が磨かれ、自分の得意なものと苦手なもの、自分にとってのいい動きやリズム、自分のミスの原因やミスの傾向がどんなものなのかが自然にわかってきます。
「そんなの自分にはわからない」と思う人がいるかもしれませんが、毎日やっているとわかるようになるのです。
あとは、「このミスが出るときは、自分はこうなっているのだから、こうやって直せばいいんだ」という、自分だけのデータを積み上げていく。
すると、少しずつ自分に合った自分だけのスウィング、ストローク、リズムが作られ、自分オリジナルのスウィングやゴルフ理論を作り上げることができるというわけです。
ただ、それでも72というスコアは一朝一夕には手に入りません。
72で回ろうと思ったら、1年やそこらでは、なかなか難しい。最低でも3年から5年は、この練習を続けていく必要があります。鉄は熱いうちに打てといいますが、それを打ち続けることもまた大事なのです。
ひとつのことを3~5年間続けていくのはたやすいことではないと思います。ほとんどの人は、その覚悟を持てないでしょう。でも、逆に言えば、その覚悟を持って、3~5年続けることができれば、72というスコアは、とても現実的なものになってくるのです。

解説/寺西明
30歳から本格的にゴルフを始め2015年のプロテストで一発合格。20年には日本シニアオープンを制し、シニアツアーの賞金王となった異色の経歴を持つプロ。自ら起業した製造業の社長を務める
月刊ゴルフダイジェスト2026年11月号より


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