世界も認めた美スウィンガー・伊澤利光が、ゴルフで大切にしていることを語る連載「イザワの法則」。今回は、前回に続きジャンボとの出会いを振り返る。

「打ってみろ」とクラブを差し出された

GD　伊澤プロは、のちにジャンボ軍団に加わることになるわけですが、初めての出会いとなったときまでは何も接点はなかったんですか?

伊澤　ええ、学生時代にプロの試合に何度か出させてもらいましたけど、ジャンボさんと一緒の組になることはなかったですね。練習場でもなぜかいつもすれ違いで、その時が本当に初めてでした。

GD　伊澤プロが練習しているところに、ジャンボさんが現れた?

伊澤　いえ、私はスタートが早くて、もうとっくに上がってたんですが、ジャンボさんが練習してるらしいって聞いて、「じゃあ見に行ってみようかな」という、軽い感じでした。

GD　その時、何か声をかけたりしなかったんですか。

伊澤　実は、ジャンボさんのほうから声をかけられたんですよ。私はギャラリーロープの外から静かに見てたんですが、ふいにジャンボさんがこっちを見て、なんだか目が合った気がしたんです。でも、まさかジャンボさんが自分のことを知ってるとは思ってませんから、じっとしてたら、急に「お前が伊澤か?」って。もう、ドキーッて感じで、心臓が止まるかと思いましたよ（笑）。

GD　ジャンボさんは、伊澤プロのことを知っていたわけですね。

伊澤　試合に出た時に、メシさん（飯合肇）と一緒の組になることが何回かあって、それでメシさんがジャンボさんに私のことを話してたらしいんです。それで、知ってたみたいです。

GD　呼びかけられて、それでどうなったんですか。

伊澤　すぐに「ちょっと打ってみろ」と。こっちはビビってるから、「いや、もうクラブ置いてきちゃったんで」なんて言って断ろうとしたんですけど、「これで打て」って、ジャンボさんのクラブを差し出されたら、もう打たないわけにいかないじゃないですか。グローブもジャンボさんのを貸してもらって、9番、7番、5番くらいまで、結構打たされました。

GD　それを見たジャンボさんの反応というのは。

伊澤　「まあまあだな」って言ってましたね。「その程度じゃまだオレには敵わないな」的な。

GD　でもわざわざ呼びつけて自分のクラブで打たせるというのは、相当、興味があったということでしょう?

伊澤　メシさんが、「すごいのがいるよ」ってだいぶ宣伝したみたいです（笑）。ジャンボさん、その時はそっけなかったけど、私が帰った後にこっそり、「あいつ、やっぱりスゲーな」って言ってくれたらしいんです。直接言ってくれたら、もっと頑張ったのになぁ（笑）。

イザワ’s ワンポイント
「アプローチでフェースを開くのは上級者
フェースはスクエアのままでいい」

通常のアプローチなら、スクエアスタンスでフェースもスクエアにして打てばOK。少しスピンを効かせたいと思った時だけ、ボールを少しだけ左足寄りにして、その分、少しフェースを開いて打つ。

伊澤利光

1968年生まれ。神奈川県出身。学生時代から頭角を現し、プロ入りしてからは、プロも憧れる美しいスウィングの持ち主として活躍。2001年、2003年と2度の賞金王に輝く。また、2001年、マスターズで日本人最高位（当時）の4位入賞。現在はシニアツアーを中心に活躍中

月刊ゴルフダイジェスト2015年8月号より