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世界のトップは練習グリーンでどんなことをしているの? 名手の「パタ練」大公開

世界のトップ選手はパットの練習にとにかく時間をかける。映像ではいとも簡単に沈めているように見えるが、実はその裏には、地道な練習があった。テレビには映らない一流たちのパタ練をのぞき見!

解説/橋本真和
1984年、三重県生まれ。ゴルフ関連機器を輸入・販売する「エンジョイゴルフ&スポーツ社」のスタッフにして、日本では珍しいパッティング専門コーチとして活動

マスターズ王者はパタ練の虫

松山英樹プロのマスターズ優勝はまだ記憶に新しいですが、その勝因はパットの練習内容にもあると思います。パットの練習量が多いことでも有名ですが、明確な目的を持って効率のいい練習をしているのがいいですね。ストローク時のシャフトプレーンとヘッド軌道の確認や、ボールの打ち出し、回転など、すべてのメニューをこなす選手は稀だと思います。

松山プロは試合を重ねていくとテークバックがアウトに上がり、フェースが閉じるクセがあるように見えます。ドリル1はその微妙なズレを修正するのに欠かせない練習です。

#1 松山英樹

<ドリル1> アウトに引くクセを修正

<ドリル2> 出球の方向をチェック

<ドリル3> 2色ボールで転がりをチェック

2色に塗り分けられたボールでパッティング時の回転を可視化。軌道に対して極端にフェースが開いて当たったりするとボールはキレイに転がってくれない

<ドリル4> フェース向きをチェック

重視するのは「打ち出し」
「回転」「スピード」の3点

PGAツアーで活躍している選手のパッティング練習を見てみると、ほとんどの選手が何かしらの練習器具を使用しています。日本のツアーでは器具を使う選手は少数ですが、PGAツアーでは使うのが当たり前のようです。その理由はやはり明確な目的があるからだと思います。いろいろな選手を見ていて感じるのは、どの選手も「打ち出し」「回転」「スピード」の3つにフォーカスしている点です。

まずはB・デシャンボー。“GCクワッド”という計測器で、ボールのスピードや回転をチェックしています。テークバックの大きさを定規で確認しながら一定に保ち、ボールがどのように転がるか、どれくらいのスピードが出るかを確認しています。毎週コースが変わるので、変化するグリーンの速さに対応することを目的としているのでしょう。まさにゴルフ科学者らしい練習ですね。

J・ローズ、T・フリートウッド、V・ホブランの3人は、一見違う練習をしているように見えますが、同じ目的があります。それはイメージしたラインに対し、打ち出しとスピードが合っているか。ラインの読み方にエイムポイントを採用している人は、このタイプが多い印象です。

※エイムポイント……マーク・スウィーニーが開発したグリーンの傾斜を測る方法。傾斜・速さ・打ち出しの3つが合えばカップインするという考え方

#2 ブライソン・デシャンボー

グリーン上でも計測器を使用

超ハイスピードカメラを備えた計測器でボールの動きを確認。ボールが無回転で移動する距離と、その後の回転量とスピードを見てグリーンの速さに自分のタッチを合わせる。ボールの後方に定規を置いて、テークバックの大きさを一定に保つのもデシャンボーらしいところ

#3 ジャスティン・ローズ

ロープを使って出球をチェック

仮想カップを置き、想定したラインの“曲がりの頂点”とボールを結んだロープに対してストロークする。ラインを固定したうえで、「打ち出し」と「スピード」にズレがないかを同時にチェックできるドリルだ

#4 ビクトール・ホブラン

水準器で斜度を計測

ラインをまたいで斜度を足で感じて測定。水準器で計測した斜度の数値と体感を合わせていき、その数値からラインを決める。「スピード」と「打ち出し」が合えばカップイン

#5 トミー・フリートウッド

ティーで作った2つのゲートを通過

仮想カップまでのラインを決め、ボールのたどる道の中間にティーでゲートを作り、打ち出す方向にもゲートを作る。適正な「打ち出し」と「スピード」でないと2つのゲートを通過しない

週刊ゴルフダイジェスト2021年6月1日号より