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【解決! 浦ゼミナール】Vol.17「シャフトをしならせるには手を締めろ!」

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroaki Arihara
THANK/√dゴルフアカデミー

身長171㎝で420Yという驚異の飛距離を誇る浦大輔が、飛ばしのコツを伝授する連載「解決! 浦ゼミナール」。第17回のテーマは、飛ばしに不可欠なシャフトをしならせる方法について

棒をしならせるには
片方を固定する必要がある

――浦さんは、シャフトの話をよくしていますが、やはり飛ばしにシャフトは重要ですか?

 とても重要です。自分に合ったシャフトを使っていないと飛ばせるものも飛ばせません。スウィングもどんどん悪くなる。シャフトは、切り返しでしなってそれがしなり戻りながらインパクトを迎えるわけですが、合わないシャフトを使っていると、ダウンスウィングでスムーズにしなり戻らずに、インパクトに間に合わなくなる。だからそういうシャフトを使っている人はシャフトをしならせないようにそーっと振っているので飛びません。

――しならせないように?

浦 すごくやわらかいシャフトのクラブを振るとよくわかります。気持ちよくビュンと振ったら、確実に振り遅れて全然当たりません。こういうシャフトでうまく打とうと思ったら、シャフトがしならないようにそーっと振る。でもそんなの飛ばないということはわかりますよね。だからシャフト選びはとても大事なのですが、実際に合うシャフトを見つけるのはけっこう大変です。実はツアープロでも自分にピッタリ合ったシャフトを使っている人は10%以下だと思いますよ。

――そうなんですか?

浦 ツアープロは、自分の昔からの感覚を重視しすぎて、学生時代に使っていたシャフトのフィーリングをプロになっても好んでいる人が多いんです。スウィングもヘッドも変わっているのにシャフトだけ昔のままなので、結果的にシャフトをしならせずに振るスウィングになってしまっている。ちゃんとシャフトをしならせて振れれば、みんなあと10~20ヤードは飛びますよ。

――シャフトをしならせて振るにはどうすればいいんでしょうか?

浦 まずグリップをしっかり握ること。下の写真を見てください。フニャフニャのやわらかいシャフトのクラブを持って、これをしならせようとしたら、手元を締めて体全体でクラブを揺さぶるように動かすでしょう? シャフトをしならせるって、こういうことですよ。

シャフトをしならせるには、上の写真のように手元を固定して体全体でクラブを揺らすように動かす。手元や体がゆらゆら動いてしまったら、クラブは動くがシャフトはしならない。これは鉛筆が曲がって見えるように揺らしているのと同じだ

――たしかに、手元が動いたらシャフトはあまりしならせられません。

浦 小学生のころ「鉛筆を曲げる!」とか言って手をゆらゆらさせて鉛筆が曲がって見える手品というかジョークみたいのやりましたよね? 手元をゆるく握ってスウィングしたら、あれと同じでしなっているように見えるけれど、実際にしならせるにはあれじゃダメ。飛ばすにはグリップをしっかり握り、それを支えるためにある程度の握力も必要です。

HSを上げるには握力も必要
シャフトを生かすには、ヘッドスピード45m/sなら握力45㎏が目標。握力を鍛えるには、バネ式のグリッパーを心臓より高い位置で握るトレーニングが有効。まずはやわらかいもので200回、次に硬いもので10回。腕を一度も下げずにやろう

切り返しでヘッドを
斜め上に押し返す

――シャフトをしならせるイメージはわかりましたが、スウィング中にそれを上手にやるにはどうすればいいんでしょうか?

浦 やることは1つだけ。切り返しでシャフトが最大にしなるように負荷をかけることです。そして、そのスウィングをしたときに、インパクトでタイミングよくしなり戻るシャフトを選べばいいんです。僕の場合は、フィニッシュでももう1回シャフトがしなる感覚があります。そのほうが左右対称になってバランスがいいからなんですが、これは必須ではありません。

――浦さんはスウィングの最後、フィニッシュから跳ね返るように振り戻して、胸の前にクラブが収まりますが、あれはフィニッシュ側の「しなり」なんですね。

浦 そうです。じゃあ切り返しでシャフトをいちばん大きくしならせるにはどうすればいいかというと、バックスウィングの力を受け止めて、そのあとヘッドを右斜め上方向に押し返すように力をかけるんです。ポイントは、バックスウィングの軌道と同じ方向に真っすぐ押し返すこと。このときクラブを受け止めるのが、右手の親指と人差し指の間の「V字」の部分。右手のこの2本と、左手の小指、薬指、中指の3本とを締めてグリップをホールドすることで、シャフトに負荷をかけてしならせることができるんです。

切り返しでは、バックスウィングのエネルギーを右手の親指と人差し指の「V字」で受け止め、右斜め上方向に押し返す。この「V字」の締まりと向きがとても重要

――なるほど。浦さんがグリップを強く握らなければいけないと言っているのは、ここにつながるんですね。

浦 アドレスで右手の親指とか人差し指を浮かせる人がいますが、あんなのあり得ません。飛ばしたかったらとくにこの2本はしっかり締めておかないとダメ。

シャフトをしならせる=シャフトに負荷をかけるには、グリップがゆるんでいるのは絶対NG。切り返しでクラブを支えるべき右手の親指や人差し指をアドレス時に浮かせている人は、その時点でシャフトをしならせずにそーっと振ろうとしている意識が表れている。アドレスの段階から右手の親指と人差し指はしっかり握って、切り返しの負荷に備える必要がある

――負荷をかけるのは切り返しの一瞬と言いましたが、その後はどうすればいいんですか?

浦 基本的には何もする必要はありません。実際に最大に飛ばすためには、ダウンスウィングでクラブのしなり戻りを後押しするようにリリース動作をプラスしたりしますが、それは「おまけ」みたいなものなので、ちょっと別の話。シャフトをしならせるのは一瞬です。そこからのダウンスウィングはすごいスピードでインパクトに向かっているんですから、その短い時間に何かしようとしても間に合いません。切り返したら、あとはよどみなくぶっ叩く! これが大事です。

切り返しだけでなく
フィニッシュもしならせてみよう

シャフトをしならせたいのは切り返しの瞬間。ただし浦さんは、左右対称のイメージを出すために、フィニッシュでも同様のしなりを作るので、フィニッシュから振り戻す動きが生じる。飛ばしたい人は真似してみよう


浦大輔
うらだいすけ。身長171cmで420Y飛ばす飛ばし屋にして超理論派。東京・赤坂で√d golf academyを主宰


月刊ゴルフダイジェスト2021年6月号より