非常に個性的なスウィングを持つ堀琴音だが、そのスウィングで日本女子オープンを制し、フェアウェイキープ率は80%超えと堂々のトップ。なぜここまで強いのか。コーチの森守洋に話を聞くと、アマチュアゴルファーが勘違いしがちなスウィングの核心が見えてきた。

PHOTO／ARAKISHIN、Tadashi Anezaki、Shinji Osawa、Hiroyuki Okazawa　THANKS／学芸大ゴルフスタジオ、大王製紙エリエールレディスオープン、伊藤園レディスゴルフトーナメント

森守洋

もり・もりひろ。1977年生まれ。静岡県出身。堀琴音、柏原明日架、香妻陣一朗ら多くのツアープロを指導。原理原則を謳い文句にゴルフスウィングの核心に迫る

>>前編はこちら

• 
  【森守洋 “オンプレーン”の真実】＜前編＞「誰でもできる“棒を振る動き”にスウィングのすべてが詰まっています」

  非常に個性的なスウィングを持つ堀琴音だが、そのスウィングで日本女子オープンを制し、フェアウェイキープ率は80%超えと堂々のトップ。なぜここまで強いのか。コーチの森守洋に話を聞くと、アマチュアゴルファーが勘違いしがちなスウィングの核心が見えてきた。 PHOTO／ARAKISHIN、Tadashi Anezaki、Shinji Osawa、Hiroyuki Okazawa　THANKS／学芸大……

まずはボールを叩ける位置を知る

GD　では、スウィングで森コーチが大事にしていることはあるのでしょうか。

森　インパクトで叩く動作です。これは人によって叩くだったり、運ぶだったり感覚は異なるものですが、とにかく棒でモノを叩くことを大事にしています。ゴルフは面のスポーツなので、いかにフェース面を真っすぐボールに当てるかが大事な部分です。

GD　堀プロがやっている打つ前の独特なルーティンもそのためのモノですか。

森　そうです。右手1本でクラブを持って、地面に置いてあるモノを真っすぐ飛ばそうと振り上げてみるとよくわかります。叩けるポジションって1カ所、だいたい右腰あたりになります。1000人振ったら1000人がだいたい右腰あたりから叩くはずです。なぜなら、そこからしか真っすぐ叩けないし叩きにくいからです。こっちゃん（堀琴音）がルーティンで体の右側でお辞儀をするような動きをするのはトップでリバースピボットになる癖があるから。ダウンスウィングであのお辞儀する動きを体に染み込ませることで、彼女が叩けるポジションに戻しやすくなるんです。フルショットは叩けるポジションまで戻すだけの余白と時間があるから、それまでの動きは彼女みたいな独特な感じでも何の問題もないんですよ。

GD　大事なことはスウィングは人それぞれということですね。

森　そうです。インパクトでフェース面をスクエアに戻す感覚やフェース面の感じ方は指紋の差ほどの違いがあって共通項ではないんです。でも、道具としての扱い方は変わらないわけで、僕とタイガーがまったく同じように球を打ったらインパクトの物理はまったく同じわけです。ボールを叩く動作は絶対に揺るぎないもので、一見格好良く見えるスウィングでもそこがおろそかになっていると意味がないということです。

GD　堀プロのように独特に見えても絶対的に揺るがない部分は守られているということですね。

森　そのとおりです。自然にできることをやっているだけです。いわゆるトッププロは努力とか練習はするけれど、体が拒否するような動作を覚え込ませるための練習はやらないんです。ゴルフって面白いもので心でやるスポーツなので、信じ切れたやつが強い場合もあるんです。逆に言えばどれだけ良い理論だとわかっていても心のどこかで信じられていなかったらそれは機能しないわけです。

GD　堀プロは森プロのことを心の底から信用しているということですね!

右手1本でクラブを持ち
ボールを叩ける位置を探る

右手1本でクラブを持ってモノを叩こうとすると、叩けるポジションはスタートがだいたい右腰の高さになることがわかる。スウィング中にこの叩けるポジションに戻すことができればスウィングの形なんてどうでもいいのだ

体が拒否するような動きを
覚え込ませる必要はない

GD　大事なことはスウィングは人それぞれということですね。

森　そうです。インパクトでフェース面をスクエアに戻す感覚やフェース面の感じ方は指紋の差ほどの違いがあって共通項ではないんです。でも、道具としての扱い方は変わらないわけで、僕とタイガーがまったく同じように球を打ったらインパクトの物理はまったく同じわけです。ボールを叩く動作は絶対に揺るぎないもので、一見格好良く見えるスウィングでもそこがおろそかになっていると意味がない
ということです。

GD　堀プロのように独特に見えても絶対的に揺るがない部分は守られているということですね。

森　そのとおりです。自然にできることをやっているだけです。いわゆるトッププロは努力とか練習はするけれど、体が拒否するような動作を覚え込ませるための練習はやらないんです。ゴルフって面白いもので心でやるスポーツなので、信じ切れたやつが強い場合もあるんです。逆に言えばどれだけ良い理論だとわかっていても心のどこかで信じられていなかったらそれは機能しないわけです。

GD　堀プロは森プロのことを心底信用しているということですね!

森　こっちゃんのキャディをするときも間近で見て思いますけど、言葉は悪いですがいい意味で変なスウィングかもしれません。でも、それでも上手いのは棒を振る本質を絶対に忘れないからなんです。
ゴルフはフェース面で打つスポーツだと話しましたが、多くの人はフェース面の意識が強くなりすぎるから、曲がったら面をどうにかしようとして棒を振ることがおろそかになるんです。だから、こっちゃんのようにちょっと思考がぶっ飛んでるほうが、ただ棒を振るから強いんですよ。

GD　フェース面を意識しすぎると速く振りにくいですよね。

森　だからリズムよく振れないんです。いかに気持ちよく振れるか、まずはそこを忘れずに自由に振ってほしいです。

週刊ゴルフダイジェスト2025年12月16日号より