【イザワの法則】Vol.61 スウィングの問題は“前段階”にある
伊澤利光「イザワの法則」
アマチュアとはレベルが違うが、プロにだってスウィングの悩みはある。そういうときに、どんな考えで練習に臨み、実際に何をするのか。スウィングを修正する上で伊澤プロが大事にしていることとは?
TEXT/Daisei Sugawara ILLUST/Kenji Kitamura PHOTO/Hiroyuki Okazawa THANKS/福岡レイクサイドCC(PGM)

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プロもスウィングに
迷うことは珍しくない
プロはみんな、「自分のスウィングに自信を持っているのだろう」と思われているかもしれませんが、一概にそうとも言えません。日々試行錯誤で、ずっと「迷い」の期間が続いているというプロだっているはずです。現代はスマホがあれば、いろんな情報にアクセスできますが、その中から正しい情報だけをすくい取るのは本当に難しい。そういう意味では昔より「迷いやすく」なっているかもしれません。現に、私のことを長年慕ってくれる某プロも、動画投稿サイトにアップされている動画を手当たり次第に見た結果、「何が正解かわからなくなっちゃいました」とぼやいていました。
私自身も、12〜13年前にやっと気づいたというか、改めて大事だと感じたことがあって、それは「胸の前から手が外れない」ようにするということです。とくに方向性については、これより大事なことはないんじゃないかというくらいで、そういう練習を今は自分でもしていますし、他の人にもすすめています。最初はごくごく小さいスウィングから、胸と手を連動させた素振りを繰り返す地味な練習ですが、効果は抜群です。
昔は「自分のやっていることが正解」と思い込んでいた節があって、そういう基本の部分が実際はどうなっているか、検証したことはなかったような気がします。だからこそ、「今さら」のように、大事なことに気づけたのかもしれません。
原因をさかのぼって
修正していく
スウィングの問題は、直接的にはすべてインパクトにあります。ですが、インパクトが悪いということは、その前のダウンスウィングが悪いということですし、ダウンスウィングが悪いということは、その前の切り返しが悪い、というふうにどんどん原因をさかのぼっていくことができます。最終的にはアドレスまでさかのぼれるわけですが、プロには変なアドレスをしている人はいませんから、アドレスに問題があるケースというのはアマチュアだけということになります。
たとえば、スライスの原因は「アウトサイドインのダウンスウィング」ということははっきりしているので、そこを直そうと頑張って練習している人は多いと思いますが、それでもなかなか直らないのはなぜかというと、本当の問題はその前の段階にあるからです。原因をさかのぼって少しずつ修正していくことで、スウィングの問題は必ず解決できます。
ただ、そのときに大事なのは、スウィングのスピードを落としてやるということ。切り返しやダウンスウィングは一瞬の出来事なので、通常のスピードで修正するのは至難の業です。狙った動きが確実にできるスピードまで落として、それを何度も繰り返して、無意識にできるようになったら徐々にスピードを上げていくというやり方がベストでしょう。最終的には8割程度のスピードでボールを打てるようになるのを目標に練習してみてください。長い道のりと思うかもしれませんが、できるようになってから振り返ると「意外に早かったな」と感じるはずです。

スウィングの修正は8割以下のスピードで
スウィングの問題点自体は、他人から指摘されたり、自分でスウィング動画を見たりして発見できることが多い。それを修正するときに大事なことは「8割以下」のスピードで練習すること。通常スピードでのスウィング修正はプロでも不可能だ

伊澤利光
1968年生まれ。神奈川県出身。学生時代から頭角を現し、プロ入りしてからは、プロも憧れる美しいスウィングの持ち主として活躍。2001年、2003年と2度の賞金王に輝く。また、2001年、マスターズで日本人最高位の4位入賞(当時)。現在はシニアツアーを中心に活躍中
月刊ゴルフダイジェスト2025年12月号より


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