【ゴルフの急所】Vol.56 データを取ることも大事ですが“どう生かすか”が最も大事です
寺西明「ゴルフの急所」
30歳からゴルフを始め、トップアマとして活躍したのち、49歳でプロ転向。会社経営の傍ら、2020年には日本シニアオープンを制するまでに至った異色プロ・寺西明が、自身が考える「ゴルフの急所」について、読者からの疑問に答える形で解説していく。
PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/美奈木ゴルフ倶楽部
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- 30歳からゴルフを始め、トップアマとして活躍したのち、49歳でプロ転向。会社経営の傍ら、2020年には日本シニアオープンを制するまでに至った異色プロ・寺西明が、自身が考える「ゴルフの急所」について、読者からの疑問に答える形で解説していく。 PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/美奈木ゴルフ倶楽部 >>前回のお話はこちら ……
近年、プロはトラックマンなどの弾道解析器でデータを取り、自分のスウィングを管理していると聞きましたが、我々アマチュアもデータを取ったほうがいいのでしょうか?どんなデータを取って、どう生かすべきなのか、寺西プロの考えをお聞かせください。(大山隆さん・35 歳・HC16)
大事なのは
データを“どう生かすか”
弾道計測器を使ってデータを取るのは、とてもよいことだと思います。軌道、入射角度、インパクト時のフェース向き、打ち出し角度やスピン量などを計測し、いま自分がどんなスウィングをしているのかを数値に置き換えて可視化することは、今後の上達に大きく役立つからです。
では、そのデータをどう生かすのかということになりますが、まずは自分の最高のショットのデータを知り、それを基準にスウィング作りをするのです。今より飛距離を出すには、どの部分をどう変えていったらいいのか。目標とする球筋に近づけるにはどんなデータを目指すのかを、プロやインストラクターに相談しながら練習するとよいでしょう。
また、フック、スライス、高い球、低い球を打ち分けて、そのデータをチェックするのもよい方法です。誰にでも、得意な球筋と不得意な球筋があるもの。しかし、なぜ自分がその球を苦手にしてしまうのか、その理由を知っているアマチュアゴルファーは多くありません。
その点、弾道計測器を使えば、苦手な球筋が生まれる原因も、それを直すための課題もひと目でわかります。あとは、そのデータをもとに練習をして球筋を打ち分けられるようになれば、ボールをコントロールする力も上がりますし、自分が目指すスウィングに近づきやすくなるはずです。
このように、データを取ることには大きなメリットがあります。しかし、データを妄信し、データだけに頼るのはよくありません。
よく、ラウンド中に、「データどおりの結果が出ない」と首をひねっている人がいますが、そのデータは狭い空間で平らなライから打ったショットのデータなのです。コースに出れば、傾斜もあるし、風もあるし、ライも違うし、景色もプレッシャーも違う。その中では、計測したデータとは違う結果になることも多いということを理解してください。
弾道計測器のデータは、あくまでスウィングや球筋を作るためのツールでしかありません。コースに出たら、「こんなときにはこんな球が出やすいから、こういう感じで打つんだ」という、自分なりのデータを積み重ね、それをショットに生かしていく。それが大切なのです。
データを取ることは大事。でも、本当に大事なのは、そのデータを自分のゴルフにどう生かすかということです。データに頼りすぎると、逆効果になるので注意してくださいね。

計測時のポイント①
トラックマンなどの弾道計測器を使うと、自分の軌道、入射角度、インパクト時のフェース向き、打ち出し角度やスピン量などが計測できる。計測するときには、普段自分が使っているボールを使用することが大事。ボールが変われば、データはまったく変わってしまうので注意しよう。
計測時のポイント②
まず、自分の最高のナイスショットを計測したら、そのデータをどう変えたら、自分が目指す球に近づけるかを相談する。たとえば、スライスをドローに変えるのであれば、「入射角度を緩やかにしつつ、アウトサイドインの軌道をインサイドアウトに変えて、バックスピン量を減らす」などが目標になる。
計測時のポイント③
球筋を打ち分けながらデータを取ってみる。球筋を打ち分けようとすると、打ちにくい球があることがわかる(フックが打ちにくい人は、インサイドアウトに振っているつもりでもできていない。低い球を打ちにくい人は、ロフトを立てて当てられないなど)。その原因を知って修正し、球筋を打ち分けることが上達につながる。
こんな人はデータに頼らないほうがいいかも?

過剰反応する人
『ヘッドが上から入る』というデータに対して、必要以上にヘッドを下から入れてしまうような人(過剰反応する人)は、やりすぎに注意する

ラウンド中もデータばかり気にする人
ラウンド中に『スピンを●●回転/分抑えて打とう』とか『あと1度インサイドから入れよう』など、データの数字ばかり考えていると、ターゲットが消えてしまう(狙い所がおろそかになる)ので気をつける

感覚派の人
感覚派の人は、数字やデータを意識するとスムーズに動けなくなることも多い。そういう人には、「ドンと踏み込んでインパクトする」とか、「フィニッシュまでサーッと振り切る」などのアドバイスのほうが有効なことも多い
月刊ゴルフダイジェスト2025年11月号より


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