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【「体の正面で打つ」を極める】#1 スウィング中、腕と体の関係性をキープして振ろう

レッスンでよく「体の正面で打て」という言葉を耳にするが、果たして正しく理解していて、実践できている人がどれぐらいいるだろうか。そこで今回は、「体の正面で打つ」とはどういうことか、どうすれば実現できるのか、詳しく話を聞いてみた。

TEXT/Daisei Sugawara PHOTO/Hiroaki Arihara、ARAKISHIN、Tadashi Anezaki THANKS/ハイランドセンター、知多CC、ETGA愛知校

解説/内藤雄士

ないとう・ゆうじ。丸山茂樹の米ツアー3勝を始め、これまで数多くの選手の優勝をサポート。現在は清水大成など、若手男子プロの指導をしている

「体の正面で打つ」
ってどういうこと?

「体の正面で打つ」とか、「腕(クラブ)が体の正面から外れない」ことには、具体的にどんなメリットがあるのか。内藤雄士プロによると、「主に軌道が安定することと、強くヒットできることの2つです」とのこと。腕が体の「正面」というのは、言い換えると、動き出しからフィニッシュまで、腕と体との関係性が変わらないということだ。

「腕と体が一体となって動けば、クラブは当然、毎回同じところに戻ってきやすくなりますし、極端なアウト-イン、イン-アウトにもなりにくいです。正しい軌道が手に入るというわけです。そうするとインパクトで力の入るポジションを作りやすい。なので、しっかりボールに圧を加えられるようになります。また腕と体の関係性が変わらず一体に動けるので、アマチュアに多い『振り遅れ』にならないというのも、最大のメリットと言えるでしょう」

体の正面で打つメリット①
ボールに圧を加えられる

腕を体の正面に保とうとすると、スウィング中に両わきが適度に締まった状態になる。これにより、インパクトで腰を回したときに自然にヘッドに力が集中する形になり、ボールを押せるようになる

体の正面で打つメリット②
再現性が高くなる

腕と体を一体にして動かすことで、手首やひじなどの動きは最小限に抑えられる。フェース面の管理がしやすくなるため、インパクト条件が一定になりやすい

体の正面で打つメリット③
振り遅れがなくなる

とくにダウンスウィングで、腕が体の正面に「ない」ということは、「振り遅れ」ということ。腕と体を一体に動かし、インパクトまで体の正面にキープできれば、振り遅れない

手の位置を
肩幅の範囲内に収めよう 

腕、あるいはクラブを体の正面で維持するには、どんなイメージが必要か。

「いわゆる『両腕の三角形』を、少なくとも腰の高さまではキープして上げることが大事です。もっと細かく言うと、胸、グリップ、ヘッドの関係性を変えずに上げる。胸の動きと腕の動きが『同調』するということが、クラブを正面で扱うということなのです」と、内藤プロ。腰の高さを過ぎると、手首のコック動作、右ひじをたたむ動作が生じるため、アドレスと同じ「三角形」は維持されない。それでも、

「手の位置が肩幅の範囲内にあること、右ひじと体との関係性が大きく変わらないことに注意すれば、体の正面をキープできます。テークバック後半はどうしても、胸の回転に対して腕が速くなり、腕と体との距離が近づきやすいので注意してください」

Point 1
テークバックで左腕と胸の距離を保つ

始動の際に胸が回転せずに腕だけを上げる(引く)と、左腕が胸にくっつく。また、テークバック後半で右ひじをたたむ際も、腕だけでクラブを上げようとすると、左腕が胸に近づく。トップまで、胸と左腕の距離感を保つことが「同調」の第一歩

Point 2
スウィング中、常に手が肩幅の範囲に収まるように

胸の回転量を超えて手を左右に動かさなければ、スウィングのどの地点においても手が肩幅の範囲から外れることはないはず。逆に言うと、手が肩幅の範囲内に収まっていることが、胸と腕が同調しているかどうかの目安ということ

Point 3
アドレス時から右ひじの位置が動きすぎない

釘を打つ際に、支点となるひじが固定されているほうが、正確に金づちを振り下ろせる。これと同様に、テークバック後半で右ひじをたたむ際、右ひじの位置のずれが小さいほど、インパクトで正確にヘッドを戻すことができる

ドリルの多くは
胸と腕の同調が目的

「自分でもたくさん練習器具を開発しましたが、結局やらせたいことは一緒だったなとつくづく思います」と言う内藤プロ。つまり、これまでに生まれたドリルや練習器具の多くが、胸と腕の同調を目的にしているということ。たとえば、松山英樹プロがやっていることで、一気にゴルファーに広まった「片手打ち」ドリル。だが、目的を知らずにやっているとしたら、ドリル本来の効果は期待できない。

「松山君は『右手のほうが難しい』と言っていて、興味深かったです。右利きだと右手は手打ちでも芯に当たっちゃうから、『胸と一体』をより強く意識する必要があるわけです」

同調ドリル①
両腕にボールを挟んで打つ


内藤プロは、大西魁斗プロをはじめとした契約プレーヤーに、今でも必ずこのドリルをやらせているという。「腰から腰の高さの振り幅で、胸と腕の一体感を得るのには、依然として最良のドリルです」

同調ドリル②
片手打ち

右利きの場合、左手の片手打ちでは、体(胸)と一体に動かさない限り芯に当たらない。つまり、当てようとすれば自然に胸と腕が一体となって動く。右手は器用なので、より強く一体感を意識しないと、ドリルの効果が半減してしまう

同調ドリル③
狭いスタンス幅で振る

下半身を固定することで、上体と腕の動きを意識しやすくなる効果がある。両足を閉じ、最初は小さいスウィング(素振り)から始めて、徐々に足幅を広げ、スウィングも大きくしていく。何度も繰り返すことで、胸と腕の同調した動きが体に染み込んでいく

同調ドリル④
わきにタオルを挟んで振る

アマチュアの場合、テークバックでクラブ(あるいは右ひじ)を極端にインサイドに引くケースが多いが、このドリルでは両わきが開かないのでそれができない。タオルは背中側から回すほうが、正しい姿勢で行いやすい

月刊ゴルフダイジェスト2025年10月号より