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【ゴルフの急所】Vol.54 グリップはゆるく握ったほうがいい?

30歳からゴルフを始め、トップアマとして活躍したのち、49歳でプロ転向。会社経営の傍ら、2020年には日本シニアオープンを制するまでに至った異色プロ・寺西明が、自身が考える「ゴルフの急所」について、読者からの疑問に答える形で解説していく。

PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/美奈木ゴルフ倶楽部

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  • 30歳からゴルフを始め、トップアマとして活躍したのち、49歳でプロ転向。会社経営の傍ら、2020年には日本シニアオープンを制するまでに至った異色プロ・寺西明が、自身が考える「ゴルフの急所」について、読者からの疑問に答える形で解説していく。 PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/美奈木ゴルフ倶楽部 >>前回のお話はこちら ……


よく、「クラブはできるだけゆるゆるに握れ」などと言われます。しかし、ゆるゆるに握ったら、クラブが飛んでしまいそうな気がします。それでも、ゆるゆるに握ったほうがよいでしょうか?(大本義明さん・50歳・HC24)


まず、知ってもらいたいのは、グリッププレッシャー(クラブを握る力)というのは、ハンディキャップが小さくなるほど弱くなるということです。これは、ゴルフが上手くなるほどムダな力が抜けていくとも言えるし、ムダな力が抜けないと上手くなれないとも言えるでしょう。

とはいえ、絶対にゆるゆるに握らないといけないかというと、そんなことはありません。肩やひじに力が入らないのであれば、実は強く握っても構わないのです。

ただ、ほとんどの人は、強く握るほど、肩やひじに力が入り、体がスムーズに動かなくなります。肩に力が入れば、肩甲骨は動かなくなるし、ひじに力が入れば、自然な曲げ伸ばしや腕のローテーションを妨げてしまうのです。

さらに、強く握れば手が単独で動きやすくなるため、手が体の正面から外れ、手と体との距離が変わって、飛距離もスピードも反復性も落ちてしまう。だからゆるゆるに握ったほうがよいわけです。


ここでチェックしたいのは、クラブをフィンガー(指先)で握っているかどうか、ということです。

基本的に、パーム(手のひら)で握ると、クラブを手のひらで挟んで持つため、どうしてもグリッププレッシャーが強くなってしまいます。また、パームグリップで力を抜くと、クラブが抜けそうな気がするので、なかなか力を抜くことができないのです。

その点、フィンガーグリップは、クラブを指先に引っかけて持つため、小さな力でクラブを持てるし、力を抜いてもクラブが抜けてしまう危険がありません。

ですから、力を抜きたいのであれば、まずはフィンガーグリップで握る。これがポイントです。

アドレスするときには、腕を脱力してだらんと垂らし、そのときの肩、ひじの状態を保ったままクラブを持ちます。この構えができたら、できる限り握る力を抜いて、球を打ってください。

大事なのは「ゆるゆるに握っても打てる」という経験をすること。その経験を積み重ねることです。初めはクラブが飛びそうな気がするかもしれませんが、どんなに力を抜いていても、フィンガーで握っていればクラブが飛ぶことはありませんし、インパクトになれば、人間は必要なぶんだけ力を入れるものです。まったくの初心者は別ですが、経験者であれば、体がインパクトの衝撃を覚えているので、本能でしっかり握るものなのです。

新しい技術を身に付けるためには、今までやったことのない何か、今やっていない何かにトライする必要があります。その試行錯誤の先に上達の道が開けているので頑張ってください。

フィンガーで握る=力が抜ける

クラブを左手の小指、薬指、中指に引っかけるようにして持てば、クラブにはテーパーがついているので、力を抜いてもクラブが飛ぶことはない。この感覚がわかると、握る力を抜くことができる

パームで持つ=力が入る

パームグリップは、クラブを手のひらで挟んで持つため、どうしてもグリッププレッシャーが強くなる。また、力を抜くとクラブが抜けそうな気がするので、なかなか力が抜けない

腕をだらんと垂らしたときの感覚で構える

腕をだらんと垂らし、肩やひじを脱力した状態で構えよう。「ボクは、左手の小指、薬指、中指。右手の薬指と中指の5本でクラブを持っています」(寺西)

グリップの形や太さを変えてみよう
「同じグリップでも、バックラインの入ったグリップのほうが、入っていないグリップよりも引っかかりが強くなるため、小さな力で握りやすいです。また、太いグリップのほうが握りやすい人と、細いグリップのほうが握りやすい人がいるので、自分にとって力の抜きやすい太さをいろいろ試してみるのもよいでしょう」

月刊ゴルフダイジェスト2025年9月号より