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パワーがなくても飛距離は伸ばせる!<前編>自分で「振る」のではなく、クラブに「振られる」が正解です

年を重ねるにつれ、体が硬くなって筋力も落ち「なんか最近飛距離が落ちてきたかも…」と思う人も多いだろう。しかしシニアツアーの選手を見ると、レギュラー時代と同等、いやそれ以上に飛ばしているプロも。体のパワーに頼らない飛ばしのコツを、長谷川高弘プロに教えてもらった。

TEXT/SHOTANOW PHOTO/Tadashi Anezaki THANKS/船橋CC

片山晋呉プロのスウィング。左は2010年(37歳)、右は2024年(51歳)。

解説/長谷川高弘

はせがわ・たかひろ。1975年生まれ、千葉県出身。今年で50歳を迎える。茨城県を中心にレッスンを行い、これまで多くのアマチュアの飛距離を伸ばしてきた実績を持つ。父はツアー通算2勝、宮本留吉最後の弟子でもある長谷川勝治

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シニアになると
肩周りの柔軟性が低下する

シニアツアーに参戦するプロのスウィングを見てみると、明らかに若い頃とは違うカタチになっている。その理由を、自身も今年で50歳を迎える長谷川高弘プロに聞いた。

「体の変化に合わせて、スウィングをモデルチェンジしていますね。実体験も含めると40代中盤くらいから、『このままではキビシイな』と思うようになります」

変わるのは具体的にどの部分なのだろうか。

「関節、特に肩周りの柔軟性が落ちます。ですのでシニア選手のスウィングを見ると、皆トップが浅く低くなっていることが分かると思います。また筋力も衰えてきます。下半身やお腹周辺の大きな筋肉が減ると踏ん張りが利かなくなる」

けれどもシニアツアーの選手を見ると、大幅に飛距離を落としている選手はいない印象だ。

「若い頃と同じ動きができなくなっただけで、他の方法でヘッドを走らせることができれば、落ちていた飛距離を取り戻し、さらにプラスして飛ばすことも可能です」

「内力」ではなく
「外力」を上手く利用しよう

「みなさんも以前は筋力と柔軟性でクラブを動かせていたと思います。でも50歳からは、クラブが動いて体は後からついてくるスウィングを目指してほしい。これには深いトップも上半身と下半身の捻転差も要りません」

50歳を過ぎてヘッドを走らせるにはどのようにすればいいのだろうか。

「力には『内力』と『外力』という2つの種類があります。前者は自分自身で生み出すエネルギーで、後者は物理法則を使って生み出すものです。外力の代表例が遠心力です。インパクトからフォローにかけてヘッドが外側に向かおうという力を利用することで、ヘッドを加速させることができます。大事なのはその力を妨げないこと。ベタ足で頭を後方に残す、フォローではヘッドが上がってから起き上がるようにすると、未体験の加速感を味わえるはずです。体への負担も少ないので、50歳を超え飛距離が落ちてきたと思ったら、一刻も早く変えることをオススメします」

Point 1
クラブの動きにつられて体が動く

50歳を過ぎたら体が主体ではなくクラブが主体となって動くことが大事。インパクトからフォローにかけては、上半身のねじり戻しではなくクラブヘッドが上がるのにつられて体が起き上がってくるイメージを持つとよい

Point 2
頭をクラブヘッドと逆側に倒す

飛距離が落ちてきたらクラブヘッドを走らせるために遠心力を最大限に利用する。ヘッドが外側に動こうとする遠心力を生かすには、逆側に引っ張り合う力が必要。フォローで頭をやや後方に倒すように動かそう

Point 3
右かかとを浮かさずベタ足を意識

右のかかとが接地していると上半身が左側に突っ込むのを防ぐことができ、インパクトからフォローにかけてヘッドを加速させられる。上に蹴り上げたり左に送り込むような意識は不要

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週刊ゴルフダイジェスト2025年7月15日号より