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【スコアに直結する転がしの技術】<後編>フェースを立てながらインサイドアウトに振ればダフらない

男子ツアーでアプローチが上手いのは誰かと質問するとよく名前が上がるのが小木曽喬。シンプルな転がしからフワッと上げるロブショットまで多彩な技を見せてくれる技巧派だ。そんな小木曽の“小技哲学”に迫った

TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Tadashi Anezaki THANKS/ミズノオープン

解説/小木曽喬

おぎそ・たかし。高校3年時に当時最年少で日本アマ優勝し翌年プロ転向。23年レギュラーツアー初シード。昨年の「ハナ銀行」で念願の初優勝を果たした。「フロンティアの介護」所属

>>前編はこちら

フェースに長く乗るからラインが出る

転がしでもいろいろな打ち方をするという小木曽だが、その中でもスピンが少なくてよく転がるという“ドローの転がし”について詳しく教えてもらった。

「ショットでドローを打つときと同じようにクラブの軌道をインサイドアウトにして打ちますが、このメリットは転がりが良くなるだけでなくダフりにくいということです。インサイドからヘッドを下ろすと入射角が緩やかになるからです」 

ヘッドが低い位置から入るからこそ、ダフりにくいしスピンも少なくなるという仕組みだ。

「さらに左手首を掌屈させてロフトを立てながら打つと、フェースにボールが乗ってラインが出しやすくなります」 

いいことだらけの転がしだが、どんな状況で使うべき?

「ピンが奥でランをしっかり出したいときや、花道でもちょっとダフりそうなライで多用しています。ただし、ラフでボールが少し沈み気味なときや、ライが悪くてヘッドを上から入れたいときは使えません。そういう状況では反対にカットに振って上から入れています」


インから下ろすとダフりにくい

インサイドアウトに振るとヘッドが低い位置から下りていくため、多少手前から入ってもミスにならずに滑ってくれる

Point
左手の掌屈をキープ

転がしでは左手首を掌屈(手のひら側に折る動き)させながらバックスウィングして、その角度を保ったまま打つ。フェースが閉じてロフトが立つので、ボールがフェースに乗ってくれてラインが出やすい

小木曽’s 20Y転がしアプローチ

上げたいときは「ゆっくりロブ」

ドローの転がしを覚えれば寄せワン率が上がるが、大叩きしないためにはロブショットも必要という小木曽。

「皆さんのイメージするロブショットはフェースを開いて大きく、速く振ってボールの下を潜らせる打ち方です。でもこれはフェースにボールが乗らないので距離感が合いにくいし、フェースが潜りすぎるリスクが高い。だから僕はロブでもフェースに乗せてゆっくり振る打ち方を多用しています」 

実際に2つのロブを打ち比べてもらうと、普通のロブはインパクト直後にヘッドがボールを追い越して、かなり高く上がる。対して“ゆっくりロブ”はヘッドとボールが一緒に出てふんわりゆっくり飛んでいく。

「クラブをリリースしないから、ヘッドがボールを追い越さないでフェースに乗ります。クラブを体の正面に保ったままゆっくり振ると上手く打てますよ」

Point 1
左手首を背屈させてフェースを開く

転がしでは掌屈させた左手首を、ロブでは縦にコックして背屈(手の甲側に屈曲)させる。フェースが開いて高い球になる。ただしウィークグリップだと背屈させにくいのでストロンググリップがオススメ

Point 2
リリースさせずに等速で振る

“ゆっくりロブ”の最大のポイントがクラブをリリースしないこと。体の正面にホールドしたまま、スピードが減速したり加速しないように、等速に振ること

小木曽’s 20Yゆっくりロブ

週刊ゴルフダイジェスト2025年8月号より